名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(608);石田流穴熊に銀冠(大内延介)

2017-08-11 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?

☆ 今日の棋譜20170811
昭和56年9月、大内延介先生と第40期名人挑戦者リーグです。


またも大内先生の石田流で

穴熊です。

大山先生は銀冠。これなら堅さ負けしていません。

大内先生は銀を出て64歩を突かせ(引き角を防いだ意味か)

銀を引いて6筋を狙う構えです。こうなると銀の位置の違いで穴熊のほうが堅いのです。戦い上手という感じがしますね。

堅くなったので少し危なさそうですが8筋から動きました。

大山先生は45桂。隙ありとみて思い切って技をかけに行きました。考慮時間の記録がないのですが、ずいぶん考えたでしょう。

角桂と銀の交換ですが、飛を取れればよくなります。

平凡ですが金で守られて

と金を作ったものの、桂馬が足らないので駒得とは言えないです。

大内先生の66角が好点で

さらに77角左で好調です。大山先生は自陣飛車で受けました。長引けば と金が生きてくるのですが

大内先生は決めに出ます。角を切って14香

から24桂。かなり厳しい攻めです。

大山先生は21玉では負けと見て、上部脱出にかけますが

投了図。25玉に34飛成から44馬です。

このところ大山先生が積極的に動いているのですが、自玉を薄くしての駒得狙いでは、失敗したときのリスクが大きすぎました。大内先生の2枚角できれいに決まった1局です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大内延介8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 4四歩(43)
5 7五歩(76)
6 5四歩(53)
7 7八飛(28)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 7六飛(78)
16 1四歩(13)
17 2八玉(38)
18 1五歩(14)
19 1八香(19)
20 3三角(22)
21 1九玉(28)
22 2二玉(32)
23 2八銀(39)
24 3二銀(31)
25 3九金(49)
26 4三金(52)
27 5六歩(57)
28 8四歩(83)
29 5八金(69)
30 2四歩(23)
31 5七銀(68)
32 2三銀(32)
33 4六歩(47)
34 3二金(41)
35 4八金(58)
36 8五歩(84)
37 6六銀(57)
38 6四歩(63)
39 9七角(88)
40 6三銀(62)
41 7七桂(89)
42 2五歩(24)
43 5七銀(66)
44 9四歩(93)
45 6六歩(67)
46 8四飛(82)
47 9八香(99)
48 2四角(33)
49 3六歩(37)
50 3三桂(21)
51 8六歩(87)
52 同 歩(85)
53 同 角(97)
54 4五桂(33)
55 同 歩(46)
56 5七角成(24)
57 同 金(48)
58 8七銀打
59 4四歩(45)
60 4二金(43)
61 8五歩打
62 8二飛(84)
63 6七金(57)
64 4六歩打
65 6五歩(66)
66 7六銀成(87)
67 同 金(67)
68 4七歩成(46)
69 6四歩(65)
70 5二銀(63)
71 6六角打
72 1二玉(22)
73 6五桂(77)
74 4六と(47)
75 7七角(86)
76 6一飛打
77 4三歩成(44)
78 同 銀(52)
79 1一角成(66)
80 同 飛(61)
81 1四香打
82 同 銀(23)
83 2四桂打
84 2三玉(12)
85 3二桂成(24)
86 同 金(42)
87 1一角成(77)
88 3六と(46)
89 4四歩打
90 2六歩(25)
91 4三歩成(44)
92 2七歩成(26)
93 3三飛打
94 2四玉(23)
95 1三銀打
96 投了
まで95手で先手の勝ち
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20170811今日の一手(その553);駒の損得よりも

2017-08-11 | 今日の一手
20170811今日の一手

7月8日の名南将棋大会から、KさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀と桂歩の交換で歩はカウントせず、やや先手の駒損です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は35桂と持ち駒角桂で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒角銀桂で3枚。もうすぐ86飛も加わりそうですが。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
現状は互角ですが、後手に89飛成を許すと攻め駒5枚。これは先手の左桂がさばけていないのが原因なのですが、このままでは苦しくなりそうです。
つまり、玉を固めて待っているわけにはいきません。
駒損を回復するのは難しそうですし、終盤になるので優先度が下がります。
よって攻める手を考えねばなりません。後手玉が薄い(飛車に弱い形ですし、守りの桂がいない)ということもあって、手がつけばもろいです。


× 実戦は46桂と打ったのですが

これで駒損は解消できそうに見えます。しかし35銀と取られて、54桂では働きがありませんから35同歩。36歩同銀24桂

逆に後手に攻められてしまいました。47銀と引いたのが悪くて、36桂打同銀同桂37玉48桂成同金45金

これでは受けようがないです。

受けとしては37銀と打つほうが良いのですが

36桂同銀24桂25銀89飛成

で36桂打を見て後手の調子が良すぎます。46桂がまったく利いていないのがわかりますね。


△ 金取りなら63角のほうが良いわけで

35銀なら54角成です。なので64金41角成89飛成

46桂35銀同歩36歩に強く34歩37歩成同金左

これなら難しそうです。
この局面を検討すると、後手玉は2手すき、先手玉は3手すき以上だと思うのですが、17銀同玉19竜18銀62角

と角をこのラインに打たれるのが攻防で、後手の勝ちのようなのですが、そんな手を見つけられたら仕方ないです。


× 88歩は打ちたくないけれど我慢の手です。24桂

と打たれて、35銀同歩36歩の狙い。47金直にも35銀同歩36歩

で清算すれば76飛があるので受けにくいのです。


○ 強くいくなら77角で

89飛成に88飛同竜同角に45金

は51飛の両取りを避けた手ですが、思い切って33角成同金42銀

と絡んでみます。駒損ですが攻め駒4枚。32金には41飛31歩24桂

空間にぴったり桂が打てます。

32金ではなく22銀と打つほうが難しそうですが

41飛31歩33銀成同銀43桂成

先手玉が堅いのでこれくらいでも優勢です。

後手は88飛に69竜

とかわしておくほうが良い(51飛と打たれない)のですが、これも33角成同金82飛成22銀42銀

と攻めていけます。32金には24桂があるのが心強く、これは寄り筋です。


☆ まとめ
中盤の感覚ならば46桂が両取りで、駒損を回復できるのでまだまだ、となるところですが、後手は放っておいても35銀同歩36歩と攻めたい(その前に24桂かも)ところです。54桂と取る手が甘いので悪い手になってしまいました。
玉頭戦の場合は玉が下のほうが良い場合があります。21玉のほうが戦場から遠い、ということがあるのです。

金取りだけ考えたら63角の方が厳しいです。64金に41角成ともたれておいたら、後手の悩むところです。これは難しい勝負になります。

77角と打って飛交換という筋は、桂馬を損すること、角を打ってしまうこと、がマイナス要因なのですが、すぐに33角成と切って使えました。駒損でも先手玉が堅い、ということを最大限に生かしているのですね。損得だけ数えたら角損なのですが、飛銀桂桂4枚でうまく迫れました。

終盤は駒の損得よりも速度とよく言われますが、その好例でした。もっとも駒損で攻撃力不足、という場合のほうがはるかに多いわけで、これはその場その場で判断するしかないです。大きな判断基準は攻め駒が4枚あるかどうかです。
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