名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(616);四間飛車に左46銀急戦(勝浦修)

2017-08-19 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170819
昭和56年10月、勝浦修先生と第29回王座戦第1局です。この時はノンタイトルですが3番勝負の挑戦制でした。

大山先生の四間飛車に勝浦先生は急戦で

16歩に52金左、昔の大山先生なら32金を残すのですが、この頃はあっさり金を締まります。

勝浦先生の左46銀急戦になりました。

大山先生は32銀と引いて、これには37桂~26飛~35歩というのがよくある展開なのですが、本局の勝浦先生は堂々と仕掛けました。

角交換から55銀とかわし(34歩46歩33歩成同桂46歩というほうかとも思いましたが)

64の歩を取って34歩で攻撃続行です。

銀を捨てて桂を取って飛が成る、というのは居飛車がうまくいった感じがしないのですが、34の銀が不安定なので難しいようです。

大山先生は飛をさばきます。

勝浦先生は角を打って香を取り、2枚換えで竜馬ができていますから駒得です。

大山先生は駒損でも自陣角を打って銀をかわし、粘りに行きます。ゆっくりした流れになれば桂香を拾って駒得になるという考えです。

勝浦先生は桂香を利用して攻めます。55馬から7筋に手を付けて、かなり厳しそう。

大山先生は飛と馬を交換してしのぎます。

勝浦先生は香を打ち込んで攻めの継続ですが急ぎすぎかも。

香を渡すと75香が気になり

歩を成り捨てましたが、大山先生はそれでも香を打って74歩を消し

66桂との取り合いです。

駒損なのですが51竜を捕獲に行きます。

42歩に33角から竜を取って

手順に23角、78玉をにらんでいます。

勝浦先生は角を打って45の銀取りを楽しみに受けますが

これは銀の取り合いを避けられません。

これでも勝浦先生の香得ですが、後手の攻めが速そうです。

16角を打って粘りに行き、銀を打たせてかわしておきます。

結局は寄せ合いになり

金を埋めた先手玉がずいぶん堅く見えましたが

69銀から角切りがありました。69銀には金を逃げないで79銀と埋めるしかなかったか。でも78銀成同銀66桂がありますね。仕方ない進行です。

受けはなくなったので寄せ合いです。後手玉が詰めろか?

大山先生は78銀不成で詰めろ。詰め将棋の名手にはかなり怖いのですが

詰みはなく投了です。

振り飛車党ならぜひ並べておきたい棋譜です。やや悪いというくらいのところを粘りに行っているようで、実は長引けば有利ですよ、と焦りを誘っているのです。懐の深さを感じます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:勝浦修8段
後手:大山王座
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 5八金(49)
14 7一玉(62)
15 6八銀(79)
16 6四歩(63)
17 3六歩(37)
18 4三銀(32)
19 9六歩(97)
20 9四歩(93)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 1六歩(17)
24 5二金(41)
25 5七銀(68)
26 8二玉(71)
27 6八金(69)
28 7四歩(73)
29 4六銀(57)
30 3二銀(43)
31 2四歩(25)
32 同 歩(23)
33 3五歩(36)
34 4五歩(44)
35 3三角成(88)
36 同 銀(32)
37 5五銀(46)
38 3五歩(34)
39 6四銀(55)
40 6三歩打
41 3四歩打
42 同 銀(33)
43 2四飛(28)
44 6四歩(63)
45 2一飛成(24)
46 2八歩打
47 1七桂(29)
48 4六歩(45)
49 同 歩(47)
50 同 飛(42)
51 5五角打
52 3六飛(46)
53 3七歩打
54 1六飛(36)
55 1一角成(55)
56 5四角打
57 3一龍(21)
58 4五銀(34)
59 6六桂打
60 6三角(54)
61 5五馬(11)
62 7三銀打
63 7五歩(76)
64 5六飛(16)
65 同 馬(55)
66 同 銀(45)
67 7四歩(75)
68 8四銀(73)
69 7三香打
70 4一歩打
71 7二香成(73)
72 同 金(61)
73 7三歩成(74)
74 同 銀(84)
75 4一龍(31)
76 6二金(52)
77 5一龍(41)
78 7五香打
79 7六歩打
80 同 香(75)
81 7七歩打
82 6五歩(64)
83 5七歩打
84 4五銀(56)
85 7六歩(77)
86 6六歩(65)
87 同 歩(67)
88 4一歩打
89 4二歩打
90 3三角打
91 3二飛打
92 4二角(33)
93 4一龍(51)
94 同 角(63)
95 4二飛成(32)
96 2三角(41)
97 6七角打
98 2九飛打
99 5九香打
100 5四桂打
101 8八玉(78)
102 4七歩打
103 同 銀(48)
104 4六歩打
105 3八銀(47)
106 3九飛成(29)
107 2四歩打
108 3四角(23)
109 4五角(67)
110 同 角(34)
111 同 龍(42)
112 3八龍(39)
113 1六角打
114 2七銀打
115 2五角(16)
116 6七歩打
117 同 金(68)
118 3六歩(35)
119 5一銀打
120 4七歩成(46)
121 6八金(58)
122 4九角打
123 6二銀成(51)
124 同 金(72)
125 7八金打
126 6九銀打
127 7七金(78)
128 6七角成(49)
129 同 金(77)
130 7八金打
131 9七玉(88)
132 6八金(78)
133 4二龍(45)
134 6七金(68)
135 6三銀打
136 7八銀(69)
137 7一角打
138 9二玉(82)
139 6二龍(42)
140 同 銀(73)
141 8二金打
142 9三玉(92)
143 8三金(82)
144 同 玉(93)
145 6一角成(25)
146 9二玉(83)
147 投了
まで146手で後手の勝ち


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20170819今日の一手(その557);美濃囲いの攻略

2017-08-19 | 今日の一手

20170819今日の一手

7月8日の名南将棋大会から、TさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金と飛歩の交換で、持ち歩があるので歩はカウントせず、馬を作られていますしほぼ損得なしと見ておきます。終盤ですから細かいところまで比較しないで良いです。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は89飛55角と持ち駒飛桂で4枚。
後手の攻め駒は47銀49馬と持ち駒金桂で4枚。

総合すれば後手有利です。

互いに攻め駒が4枚ある寄せ合いですから、何手で詰めろになるかを数えたほうが正確で、後手玉は74歩~73歩成が詰めろで現状は3手すき。
先手玉は38歩~39馬同飛同歩成が詰めろで現状3手すき。
手番があるので先手有利です。

☆ 大局観として
74歩~73歩成で詰めろですが、73同銀の時に詰めろが続くか、というとちょっと不安です。後手はまだ受ける余地があるわけです。
先手玉はというと、直前に49馬(か角成か)と入られて詰めろ、89に自陣飛車を打って受けたのが好手で、48歩と受けさせて詰めろがかからず、1手すきを1手かけて3手すきにしたわけです。さらには馬が質駒になっている状態で、持ち駒には角もある(代わりに89飛は縦に動けないので攻め駒とは言えない)と思っておいた方が良いです。実際のところは55角と持ち駒飛角桂で4枚の攻め駒です。

互いに弱みがあり、変化も多そうで、形勢不明というところでしょう。


× 受けるなら38桂と埋めるわけですが

後手の38歩あるいは38金を防いでいます。これには15香16歩(同香には16桂の筋)同香同香39馬

39同玉には19銀

で必至です。

39同飛は49金

と打たれて次の39金は詰めろではないようですが受ける手がないです。
38桂の1手で3手すきが4手すきに延びたけれど、持ち駒が少し変わってこの図は先手の負けなのです。(桂馬を持っていないのが原因です。)


× 実戦は74歩と突きだして

38歩に73歩成同銀同角成同桂74桂

とそれらしく迫ったのですが、堂々と39馬同飛同歩成

で後手玉が詰まないので、先手の負けになりました。詰みそうにも見えるのですけれど。


× 74桂は角を持てば詰めろの手ですが74同歩

で早すぎます。(角を持っても)詰めろになる手がないです。


○ 有力なのは82歩で

82同玉なら49飛が詰めろです。

受ければまだ長いと言っても、食い逃げされては駄目でしょう。

よって82歩には38歩

で寄せ合いです。81歩成同玉83歩

が継続の手筋で、39歩成49飛38と17玉25銀(あるいは39馬同飛同歩成)

で詰めろですが、82歩成同玉74桂81玉92角

という格好いい手があって、92同香82歩71玉91飛

清算して82銀で詰みます。

途中74桂に71玉でも83桂

があって、83同銀82角81玉91角成

以下の詰みがあります。


○ もう一つ有力なのが83歩で

38歩に82歩成同玉49飛

が詰めろ。ただしこの先があって71玉に飛車を逃げてよし、というわけにはいきません。48銀同銀成同飛39銀

で後手の攻めは続きます。17玉48銀成に82角(取れば詰み)62玉11飛

で詰めろで飛を打って、上部脱出もあるので先手優勢です。

最初の82歩成に62玉も11飛

が角を手に入れたら詰めろになるので先手が良いでしょう。

さらに戻って83歩に同銀

の時にどうするか。82歩38歩81歩成同玉に49飛

質駒を取って、49同歩成に73角成72金打82歩

82同金同馬同玉55角73歩74桂

74同銀同歩で詰めろ受け無しです。


× 最初に49飛だと

49同歩成83歩39と

82歩成62玉11飛で詰めろですが

後手の寄せが1手速くなっている(38歩を省略できた)わけで、29と17玉16歩26玉25飛

で詰まされてしまいます。


☆ まとめ
美濃囲いの急所、といってもいろいろなバリエーションがあるわけで、金銀3枚が低い美濃囲い(本美濃囲い)では飛で横から攻められるよりも、角桂を使って小鬢(こびん)から攻められる方が怖いです。
高美濃囲いや銀冠ならば小鬢をカバーしていますが横から攻められたら弱いわけです。
万能の囲いはないですね。(入玉したらいくらでも堅い形になりますが。)

この問題の場合は端も絡んでいませんし、55角が存在しているわけですから、82玉と呼んで74桂(あるいは74歩)を狙うのが本筋です。
82歩のほうが厳しいのですが、81歩成同玉83歩が飛角桂桂をもって詰めろになる、というところまでわからないと負けます。
83歩は詰めろがわかりやすいですが、後手もわかるので粘られた時には(桂馬を取っていないので)明快ではないです。

実は後手としては直前の89飛の受けに48歩が失敗で、38金と打ってしまえば

駒を渡しても82角に62玉とかわせば相当に詰まない形でした。38同銀同馬18玉17歩同玉25銀

詰めろは十分に続いて受けなしになるところだったのです。


将棋は終盤で形勢が逆転することも多いです。どうやったら終盤が強くなるか。やはり詰将棋だ、と思われる方も多いでしょうが、詰め将棋よりは必至問題のほうが良いでしょう。もっと良いのは自分が指した将棋の終盤を検討すること、次はプロの将棋を並べて終盤を検討することです。
目的とするスキルが限定されるなら、よりそれに近い形式で訓練するほうが効率的なのです。
訓練を重ねたら実戦で考えてアウトプットしてみることです。これでしっかり身についていきます。

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