名南将棋大会ブログ 名古屋

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将棋が強くなるための記事を書きます。
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大山将棋研究(600);四間飛車に天守閣美濃(中原誠)

2017-08-03 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170803
昭和56年7月、中原誠先生(王位)と第22期王位戦第1局です。


大山先生は四間飛車、端を受けないのは珍しいですね。中原先生はすかさず位を取って

天守閣美濃にしました。端の位があるので玉が広い、という当時の評価だったと思いますが、今はどうなんでしょうね。藤井システムで絶滅した戦法なので、見向きもしなくなりました。

この頃はまだ66銀~77銀ではないのでしょう。66歩を先にすると65の位を取られないのですが、角筋が止まっている時間が長いので、動かれたら悪くなります。

そういう意味で、大山先生が銀冠に組んでから石田流にする、というのはおかしいのです。ましてや端の位を取らせているので早く動くべきでした。

中原先生の玉がかなり堅くなり

46歩から動けば、大山先生は3筋から飛車をさばきます。

この筋は27飛と浮いて37飛とぶつけるのが手筋。この当時に知られていたかどうか。中原先生が編み出した可能性もあります。

大山先生は飛車交換ではまずいです。

26飛に35飛が軽い手で、54銀と我慢するものかもしれませんが、普通は56銀と出たくなります。

金銀交換は損ですが、29桂取りを避けたわけで

右桂を使えれば調子が良いです。

大山先生は69金で角を殺すつもりが、銀を打たれて逃げられてしまいます。

右桂を跳ねれば中原先生が好調です。

飛と角桂の交換になり少し駒得です。

大山先生は少しひねって49竜から39飛と打ち、2枚飛車で攻めます。でも9段目から攻めるのは大山好みではないのですが

香を取り合って、やはり中原先生の駒得です。振り飛車で左桂を逃げ出して大駒交換になっているのと同じ理屈です。11成桂に働きがないのですが、1枚の戦力差というのがあります。

大山先生は44香から47香成とするのですが、効率は悪いです。

85歩のタイミングで切り札の68金。

中原先生は桂香を埋めて受けました。

大山先生も85歩から62金打と受けます。この後48竜から69竜と攻めるのですが

58成香~69成香と攻めるのは好みではないのです。竜は8段目、出来れば7段目で使いたいのが大山流。ただしここは成香で攻めるのが優りました。

中原先生は馬を使って

47の成香を取ってしまったのです。竜2枚が当たりで

先手玉がかなり安全になってしまいました。中原先生の攻める番です。

73の地点で清算して

84香が痛打。

投了図です。82玉には74銀あるいは74金打のほうが確実でしょうか。受けにくいです。

大山先生らしい将棋なのですが、ちょっと裏目に出ています。
端の位を取らせたのは玉頭位取りを嫌がったのかも。66歩からの天守閣美濃にはもっと早く動きたいです。組みあがってからは玉の堅さの差が出やすくなります。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原誠王位
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 9六歩(97)
14 7一玉(62)
15 9五歩(96)
16 5二金(41)
17 8六歩(87)
18 6四歩(63)
19 8七玉(78)
20 4三銀(32)
21 7八銀(79)
22 7四歩(73)
23 5八金(49)
24 6三金(52)
25 5七銀(48)
26 8四歩(83)
27 6六歩(67)
28 8三銀(72)
29 6七金(58)
30 7二金(61)
31 6八銀(57)
32 3二飛(42)
33 2五歩(26)
34 3三角(22)
35 7七銀(68)
36 3五歩(34)
37 7九角(88)
38 5一角(33)
39 1六歩(17)
40 1四歩(13)
41 8八玉(87)
42 8二玉(71)
43 8七銀(78)
44 4五歩(44)
45 7八金(69)
46 4四銀(43)
47 4六歩(47)
48 3六歩(35)
49 同 歩(37)
50 同 飛(32)
51 2七飛(28)
52 3三角(51)
53 4五歩(46)
54 同 銀(44)
55 3七飛(27)
56 2六飛(36)
57 3五飛(37)
58 5六銀(45)
59 同 金(67)
60 同 飛(26)
61 4四歩打
62 4二歩打
63 3七桂(29)
64 6九金打
65 6七銀打
66 5九飛成(56)
67 4六角(79)
68 5四金(63)
69 4三歩成(44)
70 同 歩(42)
71 4五桂(37)
72 3四歩打
73 3三桂(45)
74 3五歩(34)
75 2一桂成(33)
76 4九龍(59)
77 3五角(46)
78 3九飛打
79 5七角(35)
80 1九飛成(39)
81 1一成桂(21)
82 4四香打
83 5五歩打
84 4七香成(44)
85 1三角成(57)
86 4四金(54)
87 8五歩(86)
88 6八金(69)
89 7九香打
90 7八金(68)
91 同 銀(67)
92 3五歩打
93 6九桂打
94 8五歩(84)
95 3一馬(13)
96 6二金打
97 4一馬(31)
98 4八龍(49)
99 5一角打
100 6九龍(19)
101 8四歩打
102 同 銀(83)
103 7四馬(41)
104 7三銀(84)
105 8三歩打
106 同 金(72)
107 4七馬(74)
108 7八龍(69)
109 同 銀(87)
110 4七龍(48)
111 2二飛打
112 7二金(62)
113 6三金打
114 7一歩打
115 7三角成(51)
116 同 金(83)
117 同 金(63)
118 同 桂(81)
119 8四香打
120 8三金打
121 同 香成(84)
122 同 玉(82)
123 7五銀打
124 5六角打
125 8四金打
126 投了
まで125手で先手の勝ち







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20170803今日の一手(その549); 自玉を安全にする

2017-08-03 | 今日の一手
20170803今日の一手

2013年3月の名南将棋大会から、私とMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀銀香歩歩と金金の交換で、持ち歩があるので歩をカウントせず、やや駒損ですが終盤なのでこれくらいなら損得なしくらいに見ておいてよいです。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は25桂と持ち駒金金で3枚。59飛もすぐに使えそうで、4枚弱。
後手の攻め駒は82飛75桂と持ち駒銀銀香香で6枚。十分すぎます。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
相矢倉の終盤戦です。矢倉はあまり指さないのですが、矢倉の大家Aさんに教えてもらおうと うそ矢倉を受け入れました。実際にも先手の私はここまでまあまあうまく指せていると思います。

後手の攻め駒が多いので受けていても仕方なく、攻めることを考えます。後手玉はかなり薄いのでいろいろありそうです。


○ 今見ると一目75角ですね。

75同銀に34桂

がぴったり。13銀を王手で取れる逃げ方は詰みがあります。31玉に13桂成

で詰めろなので勝ちです。先手玉がさらに安全になっているのも見逃せません。


△ 13桂成と取るのもないことはなく

13同玉75角同銀25桂24玉53飛成

と上に追いかけていく感じですが、金銀3枚を持っているので捕まえられそう。少し怪しいですが。


○ 少しひねると76金と歩を取って

67銀に75金78銀成同玉

玉は薄くされましたが銀を余計にもっていて34桂があります。これは先手有利です。


△ 実戦は33歩と打って

51飛成の含みです。でも67桂成同金24角

が攻防で、51飛成とはできません。46桂に83香というのは負けそうで、どうしたものか。

実戦では53香

と飛成を防がれたのですが、ここで75角に気が付きました。59香成34桂

でやはり31玉しかなく、64角同歩(これを入れないほうが良いのかも)43金で詰めろ。79銀

と打たれて間違えました。79同玉や98玉が正解。79同金38飛78歩34飛成

で長い終盤に戻りました。最後は詰みが見えなくて私の負けです。


× 33金なら確実に飛が成れますが

33同歩51飛成が詰めろではないです。67桂成同金24角46桂

ここで75香には71竜くらい。86飛同歩77銀

77同桂同歩成同金同香成同玉76歩同竜75歩

竜を引いて受けないと詰みがあります。竜取りで詰めろになる状況は後手の勝ち筋です。


○ 34歩と控えて打つと

67桂成に64角と銀を取って

78成桂同玉64歩に33銀

かなり難しいのですが清算して(33同歩同歩成同角同桂成同玉53飛成43金34歩22玉33角)

追いかけていけば詰みがあります。


△ 68角と引くと詰めろ。57歩

の焦点の歩をどちらで取るか。57同角24銀

は飛車先が止まっているので指しにくく

57同飛11香

という受け方(24銀は13金からの詰み筋)です。76金67香75金68香成34桂31玉68金

は先手が良さそうです。


× 65歩はさらに難しい変化で

65同銀75角は楽勝。86飛同歩87歩同金67桂成は21金

で詰みがあります。

とすれば83香

で、75角同銀34桂31玉13桂成

これは65歩83香の交換があるのが単に75角との違いです。そのため87香成同金同飛成同玉77金同桂86銀打

以下、かなり長いのですが詰まされてしまいます。


☆ まとめ
相矢倉に限らず、終盤での寄せ合いは互いの玉の安全度を優先します。手番をキープして自玉が安全になるなら一番に考えるべきです。
それが75角で、角桂交換で駒損、なんていうのは忘れなければなりません。もちろん忘れてよいのは、それで攻め駒が増える(確実に攻め駒が4枚になる)からですが。

76金とするのは金で75桂を取ろうという手ですが、67銀を打たせて(78金を剥がされますが)持ち駒を増やして一気に後手玉を詰まそう、と狙っています。

自玉を見ないで後手玉に迫るなら、33歩、34歩、33金 あたりから選びます。この選択は悩ましいです。

68角は詰めろですし、よさそうに見えるのですが、将来87桂成から王手が続くのが少し嫌な感じ。角の利きがあればまだ大丈夫ですが。

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