名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集 20171105

2017-11-05 | 大山将棋研究
先手番です。

第1問


方針を間違えないで。
A 35歩 B 77角 C 66歩


第2問


受け方は?
A 47歩 B 57銀 C 55歩

第3問


攻めましょう。
A 22歩 B 32角 C 35歩

第4問


後の展開も考えましょう。
A 26歩 B 31馬 C 65桂

第5問


これは後手番森安先生で、チャンスがやってきました。
A 67歩 B 98歩 C 75歩
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大山将棋研究(694);四間飛車に袖飛車(森安秀光)

2017-11-05 | 大山将棋研究
今日の棋譜20171105
昭和57年12月、森安秀光先生と第32回NHK杯です。

森安先生の四間飛車に大山先生は袖飛車というか、右46銀の急戦です。先に46銀だと45歩があるので、38飛を先にするわけです。43銀ならやや先手よし(35歩同歩46銀)、82玉で迎え撃つのもあります。

森安先生は角交換へ。45歩ポン戦法みたいですが。

角交換の後の駒組みですが、森安先生のほうが苦労しています。美濃囲いをあきらめて

(高美濃にして13角を打って44銀~55歩というのが45歩ポン戦法です。)森安先生は88玉を見て自陣角を打ったのが狙いの手です。

大山先生はしっかり78金と固めて、角を打って対応します。

森安先生は再度自陣角を打って66歩の取り込み。66同銀直は35歩26飛65歩~36歩同飛64歩という筋があります。よって大山先生は銀右で取りました。

飛車をさばかれて

46歩に65歩、というのは互いにまあまあのわかれでしょう。

大山先生は狭いところに角を打ちこみました。

森安先生は飛馬交換を甘受して桂をさばきます。

しかし桂飛を取られて3筋攻めが不発に終わりました。

成桂得ですから大山先生が優勢です。森安先生は端を突き捨て銀にひもを付けて、何かないかと狙っているのですが。

大山先生はもっと手堅く指せばよいのですが、角を追おうとしたのが危ない手でした。

これは事件発生。97角成同玉78角成の筋があります。

大山先生は飛打ちで耐えたのですが

森安先生は角を切って89飛。大山先生でも30秒なら慌てるでしょう。86玉ならなんとか耐えていたのですが、

86歩で頓死です。

早指しならではの逆転劇でした。いくら優勢でも二人掛かりで寄せれば逆転します。
森安先生の自陣角が不発だった、というのは、いくら手順を尽くしても飛角だけではうまく攻められないからです。桂を取られてどうしようもないところですが、大山先生にしてもこういうこともあるのですから、私たちがポカを指すのもわかりますね。優勢の意識があると、追いつかれた、という状況は悪手を指しやすいのです。
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20171105今日の一手(その596); 両取り逃げるべからず

2017-11-05 | 今日の一手

20171105今日の一手

8月6日の名南将棋大会から、HさんとWさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
少し前から見てみます。

急戦矢倉でしょうか、先手は2枚の銀を繰り出して攻めています。後手は通常の1段玉(32金41玉とか)ではなくて2段玉なのであたりがきつくなっています。早繰り銀の要領で2筋で銀交換しようとしたら(多分)43金と守られたのでしょう、3筋の歩を取り込めば、34同銀35歩45銀左

桂銀交換に持ち込めます。駒得で攻めているのですから先手有利です。45同桂同歩55銀右に、77歩同角57歩

これは68金右とかわすほうがわかりやすかったのですが、57同金と取って、55銀同銀65桂というのが問題図です。

☆ 形勢判断をします。
桂と銀歩歩歩の交換です。後手に持ち歩がないので歩もカウントして(3枚あっても1枚の勘定ですが)先手の駒得です。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は持ち駒銀2枚。
後手の攻め駒は72飛82角65桂と持ち駒銀で4枚あります。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として

問題図の前では先手が駒得で攻めていたのですが、後手は駒損を甘受して4枚で攻める体制にもっていけました。ここでは形勢不明です。先に書きましたが、57歩68金右だったら先手玉が堅くなっているのでやや有利だったと思います。

後手の攻め駒が4枚なので受けきりは難しいのですが、歩切れなので攻めにくくなっています。少し攻めを遅らせて、寄せ合いまでもっていきたいです。

とりあえず角金両取りで、どちらを取られても痛そうです。どうしますか?


× 実戦は自然に66角と逃げたのですが57桂成

成桂を取っても取らなくても58金あるいは58銀が厳しいです。適当な受けもないので敗勢です。(実戦は68銀と打って58金から詰まされました。)


△ 金を逃げるなら66金で

77桂成同桂57銀

という図は先手の指し手が難しいのですが、68銀、24歩、73歩、など手段はいろいろあるので互角の順もあるでしょう。(一例は24歩同歩73歩同角24飛23歩74飛というのがアクロバティックで66銀成に同歩と取れるようにしています。)やや後手もちですが。

66以外に金を逃げると37角

があるので、56金ではだめです。66金なら56飛とまわれます。


×か△ 受けるなら66銀打と入れるのが手堅いものです。

55角は65銀

でまあまあ指せます。

57桂成と金を取られるのでしょう。

後手は持ち歩がないので77桂成同桂よりも攻めやすいのです。57同銀に77飛成同桂55角

飛車を持っているので先手有利、ではありません。2段玉なので後手は飛の打ち込みに抵抗力があるのです。歩切れでも金得です(角金と飛歩歩歩の交換)し、37角成を見て少し後手有利でしょう。先手はひどいというほどではありません。


○ 56飛は

攻防兼用です。37角と打たれるのを避けているし、金銀にひもを付けていて、5筋から攻めるのも見ています。77桂成同桂

は歩切れの後手が攻めにくくなっています。

後手は57桂成と取って

57同飛48銀56飛57金に44桂

こんな調子で攻防が続きます。例えば31玉73歩56金72歩成55角

32銀同金51飛、という変化は形勢不明です。(やや後手もちかも。)


△ 24歩同歩

77桂不成あるいは57桂不成の余地がありますが、取られていても難しいところです。歩を渡したマイナスもあるので指さないほうが良さそうです。変化によってはマイナスにならない場合もあります。


△ 73歩同角

というのもほぼ同じです。一時的に飛車先が止まっても角を切られて同じことになるかもしれません。歩を渡しているだけマイナスか。


× 86飛は一発狙いで

77桂成同桂55角83飛成

は駒損でも結構やれそうです。

後手は55角の方が良く

55同角57桂不成68玉59銀

というのが寄りなので先手が悪いのです。

角を取らずに83飛成でも

77飛成同桂57桂不成

79玉に69銀という寄せ方で後手の勝ち筋です。


○ 一番有力なのは44銀打

で寄せ合いです。後手は金を逃げると0手で55銀にひもを付けさせてしまうことになります。と言って77桂不成同桂

でも55銀にひもがついているのは同じことです。

57桂成のほうが優り

43銀成同玉44銀52玉54歩

がどうか。58銀79玉69銀打(詰めろ)に53歩成61玉62銀

という寄せ合いです。62同飛同と同玉53金61玉62飛71玉76飛

後手玉は詰みませんが、77角を移動すると78金にひもがついて先手玉の詰めろが消えるという寸法です。こういう攻防の手が出現するかもしれませんから、寄せ合いは先手有望です。


○ 54銀打でも

57桂成ならば44銀打と同じことです。
77桂不成同桂55角

がどうかなのですが、43銀成同玉56飛19角成44銀

というのがうまい寄せなので、54銀打は44銀打と同じことではないかということになります。
(19角成とせざるを得ないというのは、後手が歩切れであるので56飛に54歩という受けがないのです。)



☆ まとめ
両取り逃げるべからず」という不思議な将棋格言がありまして、とは言っても多くの場合は両取りにはどちらかを逃げるのが最善なのです。でもそうするとどちらも悪い、ということがあります。そういう時に逃げないでほかの手を指したほうが良い、だって両方とも取られることはないではないか、という主張なのです。
なぜか両取りを放置して別の手を指すのが好手になるときがあります。相手が2手かけて駒を取るのですから、自分はその2手で有効な手があればよい、ということなんですね。多めに見積もっても3割くらいしか通用しない格言ですが、それがうまくいく場合には好手になるので珍重されています。

問題図は桂馬での角金両取りでした。

角を逃げると72飛が78金まで利きが通るので、一気に寄せられてしまいます。
金のほうを逃げる(66金)のはあり得ます。これは結構難しいです。
金にひもを付けるなら56飛が攻防の手で、これは良い勝負です。

両取り逃げるべからず、の44銀打(54銀打)が寄せ合いの手で先手有望でした。


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