名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集 20171115

2017-11-15 | 大山将棋研究
先手番米長先生の手を考えます。

第1問


プロ好みの手です。
A 55銀 B 38飛 C 55歩

第2問


銀を呼んだのは?
A 24角 B 33歩 C 44歩

第3問 これは後手番大山先生の手を考えてください。


勝負手は
A 37歩成 B 46歩 C 95歩

第4問


ピンチですが。
A 65銀左 B 78金 C 65桂

第4問


寄せ方は?
A 85歩 B 21飛 C 68玉
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大山将棋研究(704);四間飛車に玉頭位取り(米長邦雄)

2017-11-15 | 大山将棋研究
今日の棋譜20171115
昭和58年2月、米長邦雄先生と第32期王将戦第3局です。
この将棋は少し前に将棋ペンクラブブログで取り上げられていました。その内容を含みます。

大山先生の四間飛車に米長先生は玉頭位取りです。

大山先生は腰掛銀で65歩交換を防ぐ形を選択します。83銀~72飛という狙いが残っていて

米長先生の36歩はそのけん制ですが、早いのではないか、と板谷先生森雞二先生が批評されていました。大山先生の45歩も急がなくてよかったのではないか、という酷評です。

45歩と突いているので米長先生からの仕掛けが狙えます。83銀がそのタイミングでした。警戒するなら62金直~83銀~72金なんですが、やってきなさい、という気合なのでしょう。

角交換になり、65銀には87銀というのがこの場合の対応です。銀交換は居飛車が避けます。でも居飛車が歩切れになるからその交換を入れておいた方が優りそうですが。65銀87銀33角で落ち着かせます。

大山先生はどこかで見た角打ちです。まだ並べていないけれどその昔に山田道美先生との将棋で出てきました。こうやって苦しそうなのを耐えるのです。

米長先生の方は好調で、ぴったりの角打ちがあります。

それでも大山先生は耐えています。66銀に22飛から

どうにか角を使おうとするのですが、いっそのこと72金で51角成を許して飛車をさばく指し方を選ぶ方がアマチュア向きです。

米長先生は歩切れで飛角だけで攻めようというのですからなかなか難しいです。こういう飛の使い方を板谷森両先生は褒めていましたが、85歩から1歩持っておくほうがわかりやすいかも。

26歩を突かせて飛を戻るというのがかなり考えた手順です。

37歩成は33歩62飛37桂同桂成21飛成で先手よし、と解説されていましたが、47角成も生じるので桂得なら戦えそうに見えます。

本譜は46歩と突いて、55歩から銀を追って24角。46銀が助けにくいです。

大山先生は銀を取らせて飛を成るのですが

端だけで手になるのか、というのが普通の見方です。

69歩を打ったのに99同玉とは取りにくいです。ここでの16歩をまたも酷評されていました。37歩成に15歩の予定が、36と同飛37桂成同飛69角成で悪かったのだろうと。

15歩とできないからと言って、飛車をぶつけるのでは事件です。

大山先生は89飛よりは98飛のほうを好むのです。この場合は香を取る保険付きに見えますし。でも89飛78玉98と ならば速い寄せになりました。

96飛成でも78玉98と87金で飛車を取られてしまいます。この金を寄って耐えていた、というのが米長先生の勝因です。大山先生は香を取って入玉という保険が利かなくなってしまいました。

先手玉が捕まるかどうかですが

米長先生の85歩が力強い手です。41飛成よりも速い寄せだと。66香同金に57銀が打てないけれど、55銀があって、まだ難しいみたいです。

大山先生は1手分かけて銀を取り

24角の筋を止めたのですが、これが詰めろにもならないので敗着です。86銀から上部脱出できたかどうか。

投了図。

板谷森両先生の辛口批評にあるように、名局とは言えませんが、何度も逆転している面白い将棋です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄棋王
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4三銀(32)
9 7八玉(68)
10 4二飛(82)
11 5八金(49)
12 6二玉(51)
13 5六歩(57)
14 7二銀(71)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 7一玉(62)
19 5七銀(48)
20 5二金(41)
21 7五歩(76)
22 6四歩(63)
23 7七銀(68)
24 6三金(52)
25 7六銀(77)
26 8四歩(83)
27 2五歩(26)
28 3三角(22)
29 6六歩(67)
30 5四銀(43)
31 3六歩(37)
32 4五歩(44)
33 6七金(58)
34 8二玉(71)
35 6八金(69)
36 1二香(11)
37 8六歩(87)
38 8三銀(72)
39 2四歩(25)
40 同 歩(23)
41 3五歩(36)
42 同 歩(34)
43 6五歩(66)
44 8八角成(33)
45 同 玉(78)
46 3六歩(35)
47 7七桂(89)
48 2五角打
49 6四歩(65)
50 同 金(63)
51 3五角打
52 5二飛(42)
53 6五歩打
54 6三金(64)
55 2四角(35)
56 1四角(25)
57 1五角(24)
58 2五歩打
59 6六銀(57)
60 2二飛(52)
61 3四歩打
62 3二飛(22)
63 3三歩成(34)
64 同 桂(21)
65 3八飛(28)
66 2六歩(25)
67 2八飛(38)
68 2五桂(33)
69 2六飛(28)
70 4六歩(45)
71 5五歩(56)
72 4五銀(54)
73 4六歩(47)
74 同 銀(45)
75 2四角(15)
76 3五銀(46)
77 3三歩打
78 4二飛(32)
79 3五角(24)
80 4九飛成(42)
81 6四歩(65)
82 6二金(63)
83 5四歩(55)
84 同 歩(53)
85 3二歩成(33)
86 9五歩(94)
87 同 歩(96)
88 9七歩打
89 同 香(99)
90 9八歩打
91 6三歩成(64)
92 同 金(62)
93 6九歩打
94 9九歩成(98)
95 1六歩(17)
96 3七歩成(36)
97 4六飛(26)
98 同 龍(49)
99 同 角(35)
100 9八飛打
101 8七玉(88)
102 3六と(37)
103 2四角(46)
104 9六歩打
105 同 香(97)
106 9四歩打
107 7八金(68)
108 9五歩(94)
109 8八金(78)
110 9六歩(95)
111 9八金(88)
112 同 と(99)
113 7八玉(87)
114 9七歩成(96)
115 5七金(67)
116 2三角(14)
117 5六歩打
118 6四香打
119 4二飛打
120 6二歩打
121 8五歩(86)
122 8七と(97)
123 同 銀(76)
124 8八金打
125 6七玉(78)
126 8七金(88)
127 4一飛成(42)
128 6六香(64)
129 同 金(57)
130 7八銀打
131 6八玉(67)
132 4六歩打
133 8四歩(85)
134 同 銀(83)
135 8三歩打
136 9三玉(82)
137 9五歩打
138 9四歩打
139 8二歩成(83)
140 投了
まで139手で先手の勝ち

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20171115今日の一手(その602);飛車を切る手の是非

2017-11-15 | 今日の一手

20171115今日の一手

8月6日の名南将棋大会から、YさんとFさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
歩歩と銀の交換で馬を作られています。持ち歩があるので歩をカウントせず、先手の駒得です。
玉の堅さは馬まで入れれば後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は49飛56角と持ち駒銀銀桂で5枚。十分にあります。
後手の攻め駒は44馬と持ち駒桂で2枚。

総合すれば先手有利です。

☆ 大局観として
角換わり腰掛銀の終盤で、49飛と馬取りに回って43歩と打たせたところです。
後手よりも劣っているのは玉の堅さだけですから玉を固めてしまうというのが有力な考え方です。
あるいは攻め駒が豊富なので後手玉を薄くしてしまってもよいです。
つまり攻めるのも守るのもあります。実戦だとどっちでもよい時は迷ってしまいそうです。
後手の指したい手は65桂、77桂、または99馬です。それで先手玉を薄くするか駒損を回復していくことができます。それを避けるか、甘受して攻めるか、という選択でもあります。


○ 手の流れとしては44飛

と飛車を切ります。大駒の価値をほぼ同等と思えば馬と飛の交換は駒得です。さらに後手玉が薄くなります。
44同歩に34角29飛49歩

角も使えたし底歩で守れるし、ぴったりした手順でした。43銀を見て先手優勢です。33銀52角成42金には62歩成

とするか、62歩成では43銀と打つべきか、というのは悩むところなんですが、先手優勢に変わりはありません。


△ 実戦は73歩

と攻めました。73同金に62歩成という攻めですが、77歩成同金65桂

で後手の攻めのほうが速そうです。やむなく65同角同歩56桂77馬同桂76歩

一度は角を切って攻め続けましたが、この図は62と が働いているとは言えません。駒得もほぼ消えていては先手玉の薄さだけが残りました。まだ後手の攻め駒が(桂を取って)3枚なので指しようがないというほどではないですが。

途中で73歩同金の時に44飛と切る


あるいは77歩成を同桂としておいて44飛と切る

とする工夫ならまだ互角以上です。


△ 他の攻めは銀を打つ手で52銀

を見てみます。44飛同歩43銀打が狙いです。後手の65桂は同角同歩で手番がまわってきます。99馬には43銀成

があり、44歩32成銀同玉88銀

まで進めばはっきりします。

後手は馬を取られないように33馬

と我慢して、65桂や77桂を狙います。ここでどう指すのかというのがよくわからないです。73歩同金62歩成ではあまり速くないし。

77桂の図で悪くないにしてもどう指すか悩みます。


× 45銀と打つのでは重くて

確実な手ではありますが、99馬88銀同馬同玉55香

34銀~43銀成を実現させるのは大変です。後手が少し良いのでしょう。


△ 変な手ですが92銀

もないことはないです。82飛や84飛は93銀で飛車を取れます。横に逃げても83銀成なので、92同香同角成71飛

ここで73歩(同金82馬)には77銀

と打ち込まれて、72歩成がやぶ蛇なので後手よしです。

ここでも44飛同歩93角

とかでゆっくり指すならまだ駒得なので悪くはないです。


△ もっと激しく83銀

ならば後手は金を逃げにくいし。83同金に72銀というのも嫌な感じです(飛を横に逃げるので後に62歩成から追われていく)。結局83同飛同角成同金51飛

角銀で飛を取るので効率が悪いですが、後手の83金も遊んでしまうので(81飛~83飛成ではまずい)、駒得が消えたとしてもこの図はまあまあです。22玉には44飛同歩41角

で案外受けにくいです。ここから先の寄せを読み切って最初に83銀と打てれはとんでもなく強い人です。


○ 守るなら62歩成同金66歩

です。これでも65桂がありますが、65同歩99馬88銀

ならば駒得をキープして攻める手が回ってきます。


× 66銀打は65桂

があるので損な取引です。


☆ まとめ

振り飛車党なら飛を切ることに抵抗がないかもしれません。相居飛車でも自玉が堅い時あるいは飛車の打ち込みがない時には飛車を切って攻めるというのは有力な手段です。
問題図では馬と飛の交換ですし、一段金ですし(「一段金に飛捨てあり」といいますね)、底歩が利くのでかなり切りやすい条件がありました。
後手は馬が消えると先手玉と同じくらい(59金を入れると先手玉が上回る)の堅さになります。

駒得で攻め駒も多いから、後手玉よりも堅くしようというのがもう一つの考え方でした。
受ける時はセオリーみたいなのはいです(私が見つけられないだけかも)。小駒で受けたほうが相手に駒損を強いることができるかもしれませんし、金銀を埋めたほうが耐久力がつくこともありますし、大駒で遠くから守ると駒を渡さないということもあります。ケースバイケースなんです。
この場合は歩で守っておきたくて、成り捨ててから66歩が一番良さそうです。

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