第1問

飛車取りですが。
A 61歩 B 64飛 C 76角成
第2問

桂香取りですが。
A 65桂 B 76角成 C 63飛
第3問

飛取りですが。
A 91飛 B 41飛 C 68馬
第4問

銀取りには
A 45歩 B 43飛 C 86馬
第5問

竜取りには
A 45桂 B 39銀 C 16桂
20171107今日の一手
8月6日の名南将棋大会から、HさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
香と金歩の交換で馬と竜馬を作り合っています。後手に持ち歩があるので歩をカウントしませんが、少し先手の駒得です。
玉の堅さは先手の方がわずかに堅いか。66銀を守りに働いているとするかどうかの違いです。
先手の攻め駒は42飛44馬と持ち駒金で3枚。
後手の攻め駒は13馬19竜と持ち駒銀桂で4枚。
総合すればやや先手もちです。
☆ 大局観として
先手玉は堅いように見えても37金66銀の働きが悪いのです。そのため駒得のありがたみが減っています。よってこの金銀を使って守ろうという考えが有力です。
一方後手玉は金銀2枚を61香と打って補強したところです。この61香が金並の働きをしているからまだまだ難しい、と考えることができます。いや、金よりも劣るよ、と攻める手段があれば先手が一気によくなります。
攻めと受けとどちらを選びましたか?
○ 攻めるとしたら、かなり意外に思うのですが、71馬
と切ってしまいます。先手玉は堅くはないけれど、まだ寄せられるには時間がかかりますから。
71同玉に52金
が気の利かない手に見えるのですが、62金打をどうやって受けたものか。何か埋めるのですが62桂には53金打
62銀には44歩
と金つくりです。
△ 馬を切らずに52金だとどうか。62銀だと
62同金同香同馬同金同竜と清算してみます。61金と受けて
竜を逃げておいて53桂狙いでも良いですが、52金と打つのが手筋の寄せです。62金同金71桂
竜を捨てればこうなります。53銀と置いて、48歩に72金同玉61銀82玉62銀成
と小駒だけでも寄せていくことができました。
62桂と埋められた時には
清算すると駒が足りなくなります。55歩が攻めの筋ですが、28竜54歩58銀
が厄介で、金を打ってしまったので受けが無く、ぼろぼろ駒を取られてしまいます。
となれば62桂と打たせてからは受けに回ることになりますが、悪くないにしても難しいです。
△ 95歩と端を攻めたらどうか。
95同歩には93歩同香92金
92同玉71馬82金95香同香93歩
としてから銀を取れば寄っています。
後手は93歩の瞬間が甘いので62桂
95香93香同香成同玉
これなら寄りそうにも思うのですが、難しいですね。
93歩ではなく95同香
としても92金の筋が狙えます。でもやはり62桂91香成同玉
で玉の位置が違うのですが、これも難しいです。
あるいは95歩に28竜94歩92歩
というのもあります。1手分で端を詰めたけれども58銀をどうするか。金を打てば手堅いけれど、何とも言えないところです。
ここで71馬を決行しても寄せ合いは怪しいです。(71馬同玉52金62桂44歩58銀となる。)
× 攻めの筋は55歩
で と金つくりです。しかし48歩同金56桂
を食らうと駒を取られてしまいます。
○ 軽い手筋は24歩で
後手は馬筋を通したいので24同馬12竜
これで攻め駒が4枚になりました。28竜に25歩を利かし、25同馬くらい。95歩同歩98香打
香車は端に使えます。62桂に95香同香93歩
も利かせて95香から攻めていきます。まだ先は長いですが、かなり手が続きます。
△ 実戦は35歩と馬筋を止めました。
18竜57銀引64桂
馬の筋が止まれば58銀の方は受けやすくなっています。(58同金同竜48金)
桂を打たれて間違えました。66馬に35馬と使われるのですが、玉が堅くなるので先手が指しやすかったと思います。
香を取れますし。
それを逃したにしても41飛成は一手パスです。76桂
で銀を取られては駒得が消え、77馬68桂成同銀35馬
で形勢逆転しています。手順を省略しますが
馬を封じてもゆっくり攻められて負けました。
△か○ 受けるなら57銀引
28竜47金
というのがどうか。これは47金を先にしても同じことになりそうです。持ち駒の金を打ちたくないので盤上の金銀を引き付けていきます。58銀同金同竜48金
57角成58金同馬59金
二枚換えされていますが、盤上で働きの悪かった金銀が竜と交換になったのです。36馬には32飛打がありますから馬を切られて攻められるのですが、後手玉も堅いわけではないですから先手が十分指せそうです。
△ 77銀引
と守っておくのもあります。これだと28竜47金58銀
が厳しくなってしまうのです。58同金同竜48金打68馬
68同銀69銀77玉78金66玉68竜35角
ここに角を打てるのでまだ大変です。でも守ったのにここまで攻められるのでは、好んで指すものではないです。
47金ではなくて48金打
としておけば手堅いです。でも攻撃力が落ちるので長期戦です。
☆ まとめ
44馬が攻防のかなめに見えてしまうのですが、攻めるなら71馬と金を取るのが重要な手です。
理想を言えば端を攻めて、92金同玉71馬という筋を狙います。後手玉は7筋が壁なので考えやすかったでしょう。ただし62桂と埋められたり、92歩と謝られたりではっきりしません。
単に71馬と切るのは見えづらいです。先手玉が遠い(穴熊だったらと想像してください)ので馬を切っても寄せてしまえばよかったのでした。その後の52金も指しにくい感じなのですが。馬が消えると と金つくりがスムーズになるということが背景にあります。
手順前後で52金では、やはり62桂と埋められてよくわかりません。
危ないようでも24歩同馬12竜、香を取るのが成立していました。そのあとに25歩で馬筋をそらせられることを確認しておきます。
攻める手が見えないときは、自玉を固めておくのが無難なものです。後手から48歩もあるので47金と寄せたいですし、66銀を引いて馬を引き付ける、というのも指しておきたい手です。馬を引いたら44歩から と金で攻めるというのが確実な手です。
形勢は悪くないので、これらの手あるいは方針を発見できたかどうかです。棋風に左右されるのですが、じっくりした戦いが好みならば一度は受けに回ります。軽い棋風ならば24歩が見えたでしょう。攻めの棋風ならば、71馬は盲点かもしれませんが、95歩は考えねばなりません。
盲点に入る、というのを避けるために、これはないだろうという手も一度は考えてみるものです。実戦の中では難しくても、棋譜をつけて検討するときには是非とも考えてみてください。指し手の幅が広がります。
20171107今日の一手
8月6日の名南将棋大会から、MさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の桂歩歩得です。後手に持ち歩があるので歩をカウントしませんが、先手の駒得です。
玉の堅さは先手の方が堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角桂で2枚。28飛はすぐ使えそうで3枚に近いです。
後手の攻め駒は86飛と持ち駒角で2枚。65銀も使えそうで3枚に近いです。
総合すれば先手有利です。
☆ 大局観として
駒得で玉が堅いのですから先手有利は間違いありません。当面は後手から66歩や76歩があるのですが、これを受けるか、無視して攻め合いか、という比較です。後手の攻め駒が少ないのでどちらもありそうなのです。
先手の攻め駒がせいぜい3枚なので後手玉を一気に寄せてしまうことはできないのですが、攻め合いなら後手から駒をもらえる(65銀が何かと交換になって攻め駒が増える)ことを期待できます。
攻めを考える時には後手玉の位置が深いので横から寄せるのは遠いのではないか、上から攻めても届きづらいのではないか、という懸念があります。攻め方に工夫が必要です。
受けを考えると、37桂36銀という形が不安定でして、銀取りか桂取りに角を打たれる筋に気をつけねばなりません。87歩の存在も不気味です。
だから形勢から考えたよりも難しい局面だと思います。
△ 実戦は63歩52金73歩成
と攻めました。けれど後手玉は遠いです。嫌なのは66歩同銀同銀同金88歩成
で取れば十字飛車という攻め筋です。けれどこの時に73と が働いていまして、67玉とかわしておいて上部に逃げ出す指し方で、先手が十分に指せます。先手玉が安定すればゆっくり攻めればよいです。
実戦はそれが分かって指したのかどうかは不明ですが、76歩
の方でした。76同銀同銀同金54角
これで両取りなのですが、58角と打てば受かります。
元が桂得ですから36銀の方は捨てて指すのもあります。実戦は銀を捨てて87玉でしたが75銀
これは危ない受け方を選んだようです。87玉ではなくて65銀とかなら良かったでしょう。
ここで受け方は難しくなっていて、自然に思える65銀が疑問手でした。
76銀同玉36角62歩成
というのを先手は期待していたわけですが
65同角
と取られてしまって、65同金86飛
78玉88歩87歩62歩成88歩成
これでは寄せの速度が違います。逆転に成功した後手が順当に押し切りました。
65銀と打つところでは65桂(あるいはおとなしく77歩もあるか)
ならば、65同角同金86飛77玉
がアクロバティックな受けです。89飛成75金は先手よし。後手は持ち駒が銀ではなく桂なので76銀打がありません。これならどうにか有利を保てたのですが、気が付きにくいです。
○ 攻めるなら24歩のほうで(34歩を先でも同じことになりそう)
飛車を使わないと攻め駒が足りません。24同歩に25歩では遅いので、34歩同銀22歩同玉24飛
と走ります。途中22歩と打って玉を呼ぶのが手筋です。23金と受けるのでは心細いので、23銀25飛(銀取り)54角24歩
と縦横に飛を使って攻めます。34銀65飛同角35歩
飛は切ってしまいますが、後手の攻めは遅いのです。43銀は仕方なく、例えば34桂同銀同歩75桂66金67歩58金
もう少し駒をもらって23銀から一気に寄せられるかどうか。先手有利は保てているはずです。
△ 普通の受けは66歩で
76歩同銀同銀同金54角58角
と受けるか、
76歩に65歩と取り合って
77歩成同金上88銀97香
で受けきれるか。
どちらもそれなりに怖いですが、駒得ですから受けきりを狙います。
×か△ 73歩成を利かせて
ここでは手抜きにくくて、多分取るでしょう。73同金に76歩66歩
76歩のほうを受けるのもあります。後手は66歩の一手で、66同銀同金59角
76歩を打ったので十字飛車の筋は消してあるのですが、これが案外に受けにくくて、26角48銀29桂88歩成
飛の横利きを止めさせられて88歩成が入ります。まだ先手有利だとは思いますが、かなり食いつかれているので勝ちにくそうです。
歩を成り捨てても66歩なら
最初から66歩と同じようなものなのですが、1歩渡して後手陣を乱したというのは善悪不明です。
× 55角は攻防のようですが
66歩の方は緩和しています。76歩同銀同銀同金54角
58角とは打てないので、65歩36角73歩成27銀
これはかなり怪しくなっています。
○ 47角はしっかりした受けで
36銀にひもを付けています。54角と打ちあえば66歩76歩
65歩77歩成同金寄88銀
ここでは97香で受けきりを狙うのは少し危なさそうです。55銀99銀成35銀89成銀24歩同歩44銀左
攻め合いに出れば47角が受けに良く利いていますし、後手の角を狙って攻めることができます。
後手が単に76歩とすれば
76同銀同銀同金55角66歩46角38飛
かなり利かされた感じがありますが、先手の方だけ手が進んでいるとも見えます。後手から有力な攻め筋がなく、先手の方は遅くても確実な攻め(35銀打~34歩、24歩同歩25歩など)があります。
66歩の方は
65角67歩成同金
次に24桂がかなりの厳しさです。
× 87玉はだめな受け方で、54角
で困っています。
× 45歩は攻めているようでも
76歩を取れず(清算して88歩成同玉55角の筋)66銀同銀同金86飛
に97銀くらいしかなく、81飛86歩95歩
で受けが無くなっていきます。
☆ まとめ
攻めて勝とうとすればあまり選択肢がありません。
実戦のように63歩52金73歩成は後手の金を守りにつけさせているし、どこかで捨てられて速度負けかもしれません。
24歩あるいは34歩から攻めよう、というのが一番早いでしょう。歩の手筋、飛の手筋を駆使して攻める順はないか、と読みます。
受ける方はあれこれ選択肢がありますが、後手からは66歩と76歩の二通りの攻め方があるために容易ではないのです。
元の形勢が良いので66歩あるいは73歩成同金76歩、と歩で受けるのが常識的で、ひどいことにはなりません。後手の攻めは66歩のほうが厳しいようで、先に66歩と打つ方が優りました。
受ける場合は寄せのセオリーとはかなりずれます。大きな駒でも自陣に打ってしまうほうが手堅いです。この場合は47角と投入するのも手堅い手なのです。銀取りですし、36銀にひもを付けて後手の54角を緩和する効果もあります。
55角は66の地点を受けただけで、73歩成に期待しましたがうまくいきませんでした。
実戦の63歩52金73歩成というのは受けとしては高級なテクニックで、上部に と金を作って、先手玉を上にかわしていく感じです。攻めとしてはだめな手だけれど、受けを考えたら大きな意味がありました。