名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

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大山将棋研究(1723);角換わり早繰り銀(丸田祐三)

2020-09-14 | 大山将棋研究

今日の棋譜20200914

昭和27年1月に加藤一二三初段(このとき12歳)との飛香落ちがありますが、省略します。

昭和27年2月、丸田祐三先生と第1期王将戦です。

この出だしならば中央位取り(で当時ならば相居飛車)になるのが普通でしょうが

78銀に77角成と換えて

先手だけ5筋を突いた角換わりになるようです。丸田先生の68金は57の地点をカバーするためだとわかるのですが、

大山先生の32玉42金の形は趣向で、22玉と囲うよりも好きみたいです。

しばらく駒組かと思ったら、大山先生は64角。46銀86歩同歩同角は87歩を打てば受かり、64角78玉74歩というくらいのところでしょう。自陣角でも働きは良さそうです。

対して丸田先生は55角。86歩同歩同角87歩64角78玉55角同歩では得をしていないと思うのですが。ということは86歩同歩同角同銀同飛88歩と受けるつもりだったのでしょうか。

大山先生は55同角でも悪くないのですが、当時は中央の位を好まれましたから54歩。ちょっと変わったやり取りです。

64同角同歩46銀、丸田先生は早繰り銀で攻めます。こうなると後手の32玉型が思わしくないです。

44歩35歩43金右、この受けは形がゆがみます。

34歩同銀35歩45歩、強気の応酬で

34歩46歩同歩47角、攻めの銀をさばいたのは先手の得ですが、69玉型なので馬を作られます。

馬を作って後手よしのようですが、丸田先生の35銀もぴったり。24歩からの攻めが見えています。大山先生は22銀と耐えるようなことはせず

34金は取ってもらえれば良いですが、57歩で馬取り。

29馬から二枚換えで、角と銀桂歩の交換は駒得です。このまま収まるならば後手有利ですが

44角は金香の両取り、34金と引いて

香を取らせ、銀を2枚打って馬を殺します。

またも二枚換えをして、トータルでは香歩歩と桂の交換です。後手の駒得ですが、金銀4枚がバラバラですね。34金が浮いているので

61角は私でも見えます。43角に83香と進んだのですが、先に83香同飛61角もあったか、といえば74角が29飛取りなので先に捨てるのは難しいでしょう。ならば56角にして61角と受けてとか、違う手順もいくつかあります。この図では角を打っているので74角はなく、角飛を取り合って

37桂のふんどし。駒を取る筋がいくつも飛び交います。

大山先生が少し駒得ではあるのですが、攻め駒は2枚しかありませんから と金作りです。

丸田先生のほうは攻め駒が3枚、飛を持っているのでわかりやすそうです。

91成香と補充して4枚。大山先生は38歩成79飛、と金は出来ましたが、まだ先手玉から遠いです。

47角に82飛、飛打ちのほうが厳しいですね。ここは71金の一手、ひねっても51金だと思うのですが、戦力はさらに低下します。25角成とかで入玉をみせるのが大山先生らしい感じですが

71銀82飛成72銀。とりあえず先手を取れるのですが、桂を取らせるし、角銀が壁にしか使えていないです。これは寄せ合い負けでしょう。

71竜に48と。予定通り と金を使うのですが

26桂の金取りを逃げられないのでしょう、35金34桂打だって成立しそうです。よって58と の寄せ合いですが

金を取り合い

34桂を取ったら35香、王手になる田楽刺しは痛いです。

66桂88玉78金と追っても詰みはなく(形つくり)

駒を渡して61金では望みがないです。

34香33歩44桂、これは詰みではないですが

角銀を渡さずに詰めろを掛ければよいだけです。ここで投了でした。

 

69玉型での丸田先生の仕掛けは無理をしているようなのですが、馬を作られても悪くありませんでした。最初の馬を切って銀桂との二枚換えというのは、先手の29桂をさばかせているのであまり良くはなりません。直後に44角の両取りがあり、これは馬と後手の守りの香と持ち駒の銀を交換しているので少し得です。そのあとも両取り筋が飛び交う華やかな将棋ですが、丸田先生がリードを保ちました。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.43 棋譜ファイル ----
開始日時:1952/02/05
手合割:平手  
先手:丸田祐三8段
後手:大山九段
手数----指手--
   1 7六歩(77)  
   2 8四歩(83)  
   3 5六歩(57)  
   4 8五歩(84)  
   5 7七角(88)  
   6 3四歩(33)  
   7 7八銀(79)  
   8 7七角成(22)
   9 同 銀(78)  
  10 2二銀(31)  
  11 4八銀(39)  
  12 3三銀(22)  
  13 6八金(69)  
  14 4二玉(51)  
  15 2六歩(27)  
  16 3二玉(42)  
  17 2五歩(26)  
  18 4二金(41)  
  19 6九玉(59)  
  20 6二銀(71)  
  21 5七銀(48)  
  22 5二金(61)  
  23 3六歩(37)  
  24 6四角打    
  25 5五角打    
  26 5四歩(53)  
  27 6四角(55)  
  28 同 歩(63)  
  29 4六銀(57)  
  30 4四歩(43)  
  31 3五歩(36)  
  32 4三金(52)  
  33 3四歩(35)  
  34 同 銀(33)  
  35 3五歩打    
  36 4五歩(44)  
  37 3四歩(35)  
  38 4六歩(45)  
  39 同 歩(47)  
  40 4七角打    
  41 7八玉(69)  
  42 5六角成(47)
  43 3五銀打    
  44 3四金(43)  
  45 5七歩打    
  46 2九馬(56)  
  47 同 飛(28)  
  48 3五金(34)  
  49 4四角打    
  50 3四金(35)  
  51 1一角成(44)
  52 2二銀打    
  53 1二馬(11)  
  54 1一銀打    
  55 同 馬(12)  
  56 同 銀(22)  
  57 6一角打    
  58 4三角打    
  59 8三香打    
  60 6一角(43)  
  61 8二香成(83)
  62 3七桂打    
  63 3九飛(29)  
  64 4九桂成(37)
  65 同 飛(39)  
  66 3七歩打    
  67 9一成香(82)
  68 3八歩成(37)
  69 7九飛(49)  
  70 4七角打    
  71 8二飛打    
  72 7一銀(62)  
  73 8一飛成(82)
  74 7二銀(71)  
  75 7一龍(81)  
  76 4八と(38)  
  77 2六桂打    
  78 5八と(48)  
  79 3四桂(26)  
  80 6八と(58)  
  81 同 銀(77)  
  82 3四角(61)  
  83 3五香打    
  84 6六桂打    
  85 8八玉(78)  
  86 7八金打    
  87 同 飛(79)  
  88 同 桂成(66)
  89 同 玉(88)  
  90 6一金打    
  91 3四香(35)  
  92 3三歩打    
  93 4四桂打    
  94 4三玉(32)  
  95 3五桂打    
  96 4四玉(43)  
  97 4五金打    
  98 投了        
まで97手で先手の勝ち


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