名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

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20190113今日の一手(その814);4枚目の攻め駒

2019-01-13 | 今日の一手

20190113今日の一手

9月30日の名南将棋大会から、AさんとAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角金交換で先手の駒損です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒金銀で3枚。
後手の攻め駒は54角(は微妙なところですが)と持ち駒角銀で3枚。

総合すれば互角です。玉の堅さの差が大きいと見れば先手もちです。

☆ 大局観として
37銀73銀の同型矢倉にでてくる、角金交換でも棒銀(早繰り銀)で銀をさばいてどうかという変化の類型です。駒得よりも玉の堅さのほうが大事で、この場合の先手のほうが指せるとされています。この図では後手も1歩手持ちにしていますが、83角の働きが悪いから先手が指しやすいのだと思います。
さて先手の駒損は簡単に回復しなさそうですが、82飛83角の配置がわるいのでその手段があります。
攻め駒に注目すれば、先手はまだ3枚なのでもう1枚使って4枚で攻めるというのも自然でしょう。
もう一つ玉を固めて待つというのも有力です。
方針がわかれそうですが、どれを考えますか?


× 実戦は46歩でした。

55歩に45歩として、45同歩ならば37桂

と4枚目の攻め駒にしようという意味だと思います。

しかし45歩を取ってもらえなくて56歩35歩57歩成同金寄39角

先手玉が薄くなり、後手の83角が働き出したので後手もちです。この後の攻防は後手リードで進み、先手が互角に持ち込めそうなところもあったのですが、そのまま後手Aさんが押し切りました。
46歩~45歩と2手かけたのに取ってもらえないのでは緩手なのです。


× 先に37桂というのも

32金46歩36銀

ともたれられてもわかりませんし、

すぐに59角

とされるのも嫌なところです。48銀には27銀ですね。26銀か46銀では先手よしに見えません。


○ 15歩と端を攻めると

19香が4枚目の攻め駒になります。後手は手抜きにくく、15同歩13歩24銀12銀

銀を使って受けると、先手も銀を打ちこんで強襲です。12同香同歩成同玉84香

香を持てば田楽刺しがあります。22玉83香成同飛25歩13銀61角

角を持てば馬を作れる(殺されないように気をつけねばなりませんが)ので駒得になるのです。


○ 24歩と合わせると

24同歩に25歩同歩同飛24歩85飛

という筋が見えるかもしれません。これで71銀ねらい。しかし73桂84飛93銀

か93角か、後手に選択権がありますが、83飛成と切ることになります。83同飛61角82飛34角成33金23歩

飛車を切ったのに攻め駒が3枚のままでは今一つなのですが、形勢は互角くらいです。

手順が前後するかもしれませんが、24歩同歩15歩同歩25歩同歩15香

端も絡めて攻めることもできます。15同香25飛23歩15飛14歩同飛13歩18飛92角

やはり84香をねらって、角をかわされても先手の手番になり攻め駒が4枚です。12歩とか24歩同歩25歩同歩24歩とか、25銀とか、攻撃手段が増えて形勢は良くなっています。

2つ前の図で後手が15同香としないで14歩同香13歩としたら、24歩同歩25歩同歩24歩

32玉か33玉に12歩同香23銀としていく要領で攻め続けることができます。


○ 25銀と打つと

さばいた銀をもう一回打っても効果のないことが多いですが、後手は1,2筋が薄いのです。33銀ならば15歩同歩13歩

端を攻めます。

33金ならば24歩

で銀金の交換をねらうくらいでしょうか。すこしはっきりしないところがありますが、切れないようにゆっくり攻めていきます。


○ 25金でも

同じような意味ですが、33金には35歩同歩34歩43金35金

3筋を攻めやすいというのが利点です。

もっとも35歩には43銀

と埋められると34歩と取り込んでも効果が薄く、15歩と攻めるのでしょう。


△か○ 35歩もありそうで

今なら手抜きにくく、35同歩15歩同歩同香同香14金

24銀34銀33金24飛

飛車を切って強襲です。24同歩23銀打31玉33銀成同桂43金

この銀取りは受けにくく、41玉53金59飛34歩79銀98玉45桂71銀

というような寄せ合いが考えられます。この寄せ合いに自信があれば選ぶのですがどうでしょうか。


△ 71銀はいわゆるB面攻撃です。

52飛82金72角

というのがしぶとくて、角を取ってもだめなので91金に55歩

27銀をねらわれ、27香32金24歩同歩81金・・・というような展開です。


○ 78金と固めておくのは悪い手にはなりません。

まだ後手から早い手はないのです。24銀など補強されたら71銀

52飛82金72角91金86歩82銀成

今度は後手の55歩は怖くないから、角をいじめつつ駒得をねらえます。

後手は待つ手が難しくて、例えば61角でも71銀

が成立します。72飛には63金71飛53金同金62銀

があります。


☆ まとめ
問題図での形勢は互角に近いはずですが、少し動かしてみると先手のほうがよくなりやすいのです。相矢倉だと(攻めている側の)駒の損得の評価が小さく、攻め駒の数や玉の堅さの評価を大きく考えるべきなのでしょう。こういうのはその戦型ごとの違いだと思います。

王道の考え方は4枚目の攻め駒を作ることです。
29桂を使いたいですが、棒銀や早繰り銀と右桂の活用を両立させるのは結構難しいです。銀をさばくと右桂を跳ねても不安定になりやすいのでしょう。棒銀系の攻めには右香を使う、つまり端を絡めて攻めるのが継続手になりやすいです。

後手の82飛83角の悪形をねらうならば、十字飛車で85に飛車をもってくるか、香を手に入れて84香をねらうか、金銀を持っているので71銀をねらうか、というのが考えられます。こういうのは場合の好手ですね。











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