名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

20170125今日の一手(その453): 駒得は味が悪い

2017-01-25 | 今日の一手
20170125今日の一手

1月7日の名南将棋大会から、KさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
歩歩と桂の交換です。持ち歩があるので歩をカウントせず、先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが大分堅いです。金銀3枚と1枚ですから。
先手の攻め駒は35角と持ち駒桂で2枚。
後手の攻め駒は73角1枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
84にいた角を73に引いて飛車取りです。銀は取れますが28角成とされるのでそんなことする人はいませんね。飛車取りをどう受けるかです。

駒得ですから長期戦になれば有利です。でも玉が薄いので苦労するのです。金銀が4枚バラバラですね。どうにか局面を収めて駒得を生かすのが課題です。


× 実戦は64歩で

普通なら好手になりそう。でも64同角同銀同銀

と進んだ局面がどうやら先手が不利なようなのです。歩歩歩銀と角桂の交換ですが、今度は歩切れ。駒得が広がったとも言いにくいです。
59銀と引きたいのですが36歩は嫌味(37歩成同桂36歩の筋)。46角は45歩、57角は55歩という調子で少し困っています。
実戦は86金と引いて、これも好手になりそうな手なのですが、75銀とぶつけられて金が逃げにくく、75同金同飛57角に58金

ハードパンチがありました。取れないので79玉57金同金39角66角

39角で決まったかと思ったら(58飛には67銀)角打ちの返し技がぴったり。後手としては39角ではなく67銀でした。
飛車の取り合いになりこういう図(28角成75角49飛88玉29飛成72飛42銀35桂64銀で52銀と打った仮想図)

52銀と打てば寄りでした。(35桂64銀の前に52銀でもよし。これがあるので後手は42銀では42銀打か。)実戦では52銀に気がつかず、86角77歩から受け身になり、後手Nさんの勝ち。

Kさんはなかなかよい手を指しているのですが、この局面ではうまくいきませんでした。


○ じっと18飛のほうがしっかりしていて

82角74歩64銀76銀

という具合で銀をかわしていけば後手に継続の手段が難しいところでした。駒を交換しないほうが良いのです。

途中66に銀を出られたら75桂

で返しておきます。74歩と飛車を抑え込んでいるなら66の銀を持ち駒の桂馬と交換でもよいでしょう。

戻って82角ではおとなしすぎで、64銀なら引くかどうか悩みますが、74に出て

どうでしょうか。どちらかといえば狙いは73銀成ではなくて63銀成です。


× 37歩はつまらない指し方で

手堅いようでも歩切れになります。66銀74銀に77歩

68金には34銀と角を追われてよい逃げ場所がありません。79金には67銀成ですし、取れば76歩の筋(77同桂に76歩、77同金同銀成同桂76歩)。

歩を使うと74歩と打てなくて困っているわけです。


○ 46角は危なさそうなのですが

46同角同歩66銀に74歩なら77歩

これはやはりうるさいです。取るしかなくて、77同桂に(76歩はないけれど)同銀成同金36桂18飛27角

駒得でも飛車を取られるのは嫌な感じです。ただし上に逃げてしまえばということはあるので難しいところ。

この場合は74歩よりも77歩のほうが手堅いです。

67角が怖いですが58角と合わせて

大丈夫。歩切れですか局面が落ち着けば後手陣に角打ちの隙ができてきそうな感じです。


○ さらに怖いのですが、37銀もあって

銀が死ぬ形ですが、75の銀も当たりです。すなわち36歩46銀45歩に74歩

82角75金46歩73銀

怖いことをしているようでも、飛車の横利きが通ったので案外大丈夫です。47歩成も単独では怖くないです。73同角同歩成同飛74銀

72飛には46角の味が良いので飛車を切って手があるかどうか、でも銀3枚だけでは遅いので、寄せ合いと入玉を見てどうにかなりそうです。

途中66銀と逃げられたら

74歩82角75桂

75同銀同金なら73銀と打ち込む筋です。


× 46歩は筋が悪いのですが、考える人はいないでしょう。

角を殺されても前の変化と同じように74歩82角75金と銀を取る変化ならまあまあ。この場合は74歩に64角で悪いです。(34歩74歩64角同銀同銀)



☆ まとめ

駒得は味が悪いもの。桂得でも守りの金銀が離れていくのですから危険が伴いました。(作戦負けになりそうだったので、桂を取って勝負、というのは行きがかり上仕方のないところだったのですが。)
変化を考える上では歩切れを避けておくのが大事なところ。74に歩を打つ変化にしたいのです。飛車を抑えてしまえばなんとか受けきることもできそうです。
条件が良ければ銀を取って73銀と駒得を拡大する、のではなくて、相手の攻め駒角を性能の悪い銀と交換する、攻撃力が低下するという狙いです。その後歩切れで(73同角同歩成同飛に)74銀とか質駒が増えるので飛車も切られて悪くならないか、本当に注意が必要です。

受けの形としては37歩では29桂が働くことが無くなるので18飛のほうがまだ良いです。25歩から縦に飛車を使えませんが、横利きを通して受けに利かせます。その後は59銀と引きたいです。

37銀は駒損になるようですが、1手で飛車の横利きが通るのが魅力。読んでみれば結構指せそうです。

46角と交換するのはあまりよくない気がするのですが、35の角は後手の攻めの目標になるので交換してしまうという考え方もあります。でも金銀がバラバラなので両取りの筋に注意が必要です。
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大山将棋研究(409); 中飛車に加藤流袖飛車急戦

2017-01-24 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?



☆ 今日の棋譜
昭和53年5月、加藤一二三先生と第17期十段戦です。


大山先生の中飛車に加藤先生は袖飛車で、これが優秀な戦法なのです。

今回は9筋を受けていませんが、歩を交換して右桂を使って攻めます。

大山先生は気合で端を詰めますが(これで案外隙がないということもある)、加藤先生が攻めだします。45同歩には33角成同桂44歩同銀34飛43金24飛、というのが狙いです。こういう攻め筋は軽いのですが、居飛車のほうが堅くて攻められるのですから勝率も高いはず。

大山先生は42飛とまわって受けます。すると飛角桂だけでは攻め駒が足らないように思えるのですが、55歩同歩46銀と応援を出せるのも自慢の攻め筋です。4枚で攻めるので切れることは少ないはず。

大山先生は自然に54銀と使いますが、これには4筋を抑えれば34の歩が取れます。

金で受けられても歩を合わせていけばよいです。

大山先生は角交換の切り札ですが、桂馬が取られそうです。金で取るわけにもいかないので(53角がある)仕方ないのでしょう。

14角は良さそうな利かしで、45桂と捨てます。これには33歩成も有力に見えますが

銀交換(桂損で)から銀を打つのでは振り飛車がつらそうです。駒損したのに持ち駒を守りに投入するわけですから。

加藤先生は31角。62飛には45銀と打つということか。

右桂を跳ねて(取ると33歩成の筋が決まる)加藤先生が十分です。攻め駒が飛車を除いても4枚ありますね。

飛車は見捨てて桂を成り

馬で飛車を攻めます。

大山先生は飛車を打って粘ります。

馬と角で攻めればかなり追い上げた感じがします。でも加藤先生は攻め駒が4枚ありますから、58馬を畏れず42飛から攻めても十分指せたはず。

桂を取って86桂、これで94桂打ちを見ます。84金にも75銀ですから、受けにくい攻め筋でした。端の位を逆用されるようでは大山先生が勝てない流れか。

47歩にもかまわず94桂打ちで寄せの体制です。

詰めろではないですが、受けにくいです。

74金の受けにも と金を活用できました。

大山先生も反撃します。

が、後手は詰めろ。

互いに早逃げで手を稼ぎます。

大山先生の攻めも迫力がありますが

これで後手玉は詰めろ。受けもないです。

先手玉は詰まず

投了図。

加藤流袖飛車の優秀性がわかる将棋でした。疑問手らしいものもないです。まずは先手をもって手順をなぞり、攻め方を学びましょう。2回目に並べる時には違う攻め筋を読んでみるとよいです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:加藤一二三棋王
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 3二銀(31)
9 6八玉(59)
10 5二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5六歩(57)
14 7二玉(62)
15 5八金(49)
16 8二玉(72)
17 6八銀(79)
18 4三銀(32)
19 3六歩(37)
20 7二銀(71)
21 4六歩(47)
22 3二金(41)
23 5七銀(48)
24 6四歩(63)
25 3八飛(28)
26 5四歩(53)
27 3五歩(36)
28 同 歩(34)
29 同 飛(38)
30 9四歩(93)
31 3七桂(29)
32 3四歩打
33 3六飛(35)
34 9五歩(94)
35 2四歩(25)
36 同 歩(23)
37 4五歩(46)
38 4二飛(52)
39 5五歩(56)
40 同 歩(54)
41 4六銀(57)
42 5四銀(43)
43 4四歩(45)
44 同 飛(42)
45 4五歩打
46 4二飛(44)
47 3四飛(36)
48 4三金(32)
49 3六飛(34)
50 3四歩打
51 3五歩打
52 5六歩(55)
53 3三角成(88)
54 同 桂(21)
55 3四歩(35)
56 1四角打
57 3五飛(36)
58 4五桂(33)
59 同 銀(46)
60 同 銀(54)
61 同 飛(35)
62 4四銀打
63 1五飛(45)
64 4六歩打
65 4八歩打
66 3六角(14)
67 3一角打
68 2七角成(36)
69 4五桂(37)
70 3二歩打
71 5四歩打
72 1四歩(13)
73 5三桂成(45)
74 4一飛(42)
75 2二角成(31)
76 1五歩(14)
77 3二馬(22)
78 5三金(43)
79 同 歩成(54)
80 5七桂打
81 5九金(69)
82 3一飛打
83 同 馬(32)
84 同 飛(41)
85 5四歩打
86 3六馬(27)
87 7九金打
88 1四角打
89 5七金(58)
90 同 歩成(56)
91 同 銀(68)
92 4七歩成(46)
93 同 歩(48)
94 同 馬(36)
95 4八銀(57)
96 5六馬(47)
97 8六桂打
98 4七歩打
99 9四桂打
100 9二玉(82)
101 8二飛打
102 9三玉(92)
103 7七桂(89)
104 7四金打
105 6三と(53)
106 4八歩成(47)
107 7二と(63)
108 6六銀打
109 6八銀打
110 5九と(48)
111 8一飛成(82)
112 8四玉(93)
113 7四桂(86)
114 同 玉(84)
115 8八玉(78)
116 7七銀(66)
117 同 銀(68)
118 8五桂打
119 8九桂打
120 6五桂打
121 7五金打
122 6三玉(74)
123 4三銀打
124 7七桂成(65)
125 同 桂(89)
126 同 桂成(85)
127 同 玉(88)
128 6五桂打
129 8六玉(77)
130 7二金(61)
131 5二銀打
132 6二玉(63)
133 3一龍(81)
134 投了
まで133手で先手の勝ち

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大山将棋研究(408); 四間飛車に中央位取り

2017-01-23 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?



☆ 今日の棋譜
昭和53年5月、佐藤義則先生と第5回名将戦です。

大山先生の四間飛車に佐藤先生は中央位取りです。

素直に6筋の歩を交換できれば居飛車が指しやすいです。

大山先生は石田流に組み替えます。

古い棋譜はこの歩を突くのですが、突かないほうが良いです。45歩を防いでいるという意味はあるのですが。

佐藤先生は7筋の歩を交換して

66の銀を繰り替えます。この手順が発見されて、よい戦法だなあと思ったものです。狙いは66角~86歩~77桂~85歩。

大山先生はどんどん歩を突き捨てて動きます。(結局動かれるなら46歩よりも47歩66角の形のほうが良いわけです。)

この場合は16飛があるので大丈夫かと思ったら、端も突き捨てられて

55歩から15歩です。佐藤先生は取るのもあったのですが

飛車を引いて、36飛とさばかれました。

65歩と反撃するも、角筋を止められて、ならばと17角からさばき合いです。

飛車もぶつけて

桂の取り合いです。あれ?11角なんていう手がありました。

22角の合わせに41桂。

角を交換して33角。こんな手が落ちているとは不運です。それでも角を取るしかなかったと思うのですが

99角成は痛すぎます。

懸命に守りますが

大山先生の端攻めで困りました。

投了図。

佐藤先生は中盤に46歩とか15歩とかは後回しにして、玉頭方面に手をかけるべきでしょう。
大山先生がどんどん動いて、11角がきれいに決まってしまいました。振り飛車党は記憶しておくと使えることがあるかもしれません。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:佐藤義則6段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 5七銀(48)
16 5二金(41)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 5五歩(56)
20 4三銀(32)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 5六銀(57)
24 6四歩(63)
25 6八銀(79)
26 7二銀(71)
27 6六歩(67)
28 6三金(52)
29 6五歩(66)
30 同 歩(64)
31 同 銀(56)
32 6四歩打
33 5六銀(65)
34 7四歩(73)
35 5七銀(68)
36 3二飛(42)
37 6八金(69)
38 3五歩(34)
39 1六歩(17)
40 5一角(33)
41 2六飛(28)
42 3四飛(32)
43 1五歩(16)
44 3三桂(21)
45 6七金(58)
46 1二香(11)
47 4六歩(47)
48 6二角(51)
49 6六銀(57)
50 8四歩(83)
51 7五歩(76)
52 同 歩(74)
53 同 銀(66)
54 7四歩打
55 6六銀(75)
56 5二銀(43)
57 6五歩打
58 同 歩(64)
59 同 銀(66)
60 6四歩打
61 7六銀(65)
62 3六歩(35)
63 同 歩(37)
64 4五歩(44)
65 同 歩(46)
66 5四歩(53)
67 1六飛(26)
68 1四歩(13)
69 同 歩(15)
70 5五歩(54)
71 同 角(88)
72 1五歩打
73 1八飛(16)
74 3六飛(34)
75 6五歩打
76 5四金(63)
77 2八角(55)
78 4六歩打
79 1七角(28)
80 同 角成(62)
81 同 飛(18)
82 3八飛成(36)
83 3七飛(17)
84 2九龍(38)
85 3三飛成(37)
86 1一角打
87 2二角打
88 4一桂打
89 2三龍(33)
90 2二角(11)
91 同 龍(23)
92 3三角打
93 1二龍(22)
94 9九角成(33)
95 6九香打
96 8八香打
97 9七桂(89)
98 8九香成(88)
99 7七角打
100 9八馬(99)
101 6六桂打
102 5三金(54)
103 7四桂(66)
104 8三玉(82)
105 7五歩打
106 9五歩(94)
107 8五桂(97)
108 9六歩(95)
109 5七金(67)
110 9七歩成(96)
111 1三龍(12)
112 8八成香(89)
113 6七玉(78)
114 8七と(97)
115 投了
まで114手で後手の勝ち

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20170123今日の一手(その452): 盤面を広く見る

2017-01-23 | 今日の一手
20170123今日の一手

1月7日の名南将棋大会から、KさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀歩歩と角の交換で馬と竜を作りあっています。持ち歩があるので歩はカウントせず、少し先手の駒得です。終盤で寄せを目指すなら重視しませんが、長期戦になるなら効いてきます。
玉の堅さは89飛を加味して先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は43馬と持ち駒角桂で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒桂1枚ですが、すぐに38竜58銀は働きそうです。

総合すればやや先手有利です。

☆ 大局観として
寄せ合いの一歩手前というあたり。後手からの67歩成あるいは67銀成が見えていて、それを受けるかどうかの判断です。駒得ですから受けを選んで長期戦もあるでしょう。
飛車が攻めに参加していないので寄せ合いの手段を考えるのは難しそうですが、58の銀が手に入りそうなので攻め駒は4枚になり、寄せ合いも考えられます。

どちらにしても、58銀が38竜の利きをさえぎっているので今がチャンスです。

× 普通の受けは79桂ですが67桂と打ち込まれて

かえって受けにくくなってしまいます。


× 58金同竜68歩

は手堅い受けに見えます。67金と打ち込むなら79銀78金同銀引67金69金

これは竜を近づけさせて受けたことになります。

でも67歩成から

67同歩66歩同歩67歩79銀68金

で受けにくいので、変化はありますが、これも悪そうです。(69銀と竜取りで受けても48竜で馬に当たる)


× 97玉は早逃げの手筋で

67で清算できるようになります。でも95歩同歩67歩成同金直同銀成同金96歩

96同銀98歩同香95香同銀96歩

途中94桂の筋があっても後手玉に詰みはなく、この歩を取っても取らなくても98竜で困ります。


○ 受けにくそうなのですが、61馬と切ってしまい

61同銀に39金47竜48歩

と竜を追って銀を取ろうというのがあります。56竜には34角があります。67竜も取らずに79桂37竜38歩

と追ってしまえば歩切れですが銀得になります。長期戦でも構いません。


△ 寄せ合いなら寄せのセオリーで考えて64歩。

64同金なら53角63金64歩

53金同馬の時に63歩成を受けるうまい手段がありません。71桂には63桂

です。62歩とか(あれば金銀とか)打てないのです。

よって64歩には62金引です。

桂馬が使えればよいのですが、うまい手がなく、44角67歩成62角成同金63金

61歩には72金から攻めればよいので、後手は78と同金71金

と受けてこれは千日手です。


× 他の攻めとして62歩は同金上

で無効。


× 53桂は71金

で無効。


△ 実戦は41角で

これはなかなか有力で、62金引には63歩です。後手は71桂と受けて、75歩67歩成74歩

で寄せ合いに進みました。68と63角成78と同銀67銀成73歩成同銀同馬同玉65桂82玉

激しいはがし合いでしたが、この後手玉が詰みません。後手Mさんの勝ちに終わりました。

75歩から攻めるとどうも一手負けのようで、63角成と切るのが良かったのです。

63同桂に61馬同銀64歩

これで63歩成が詰めろになるので先手の確実な1手勝ち。(というか2手勝ちかもしれません。)

後手としては62金上

が正しい受けで、角や馬の筋は避けておくのが受けの手筋です。これで43馬が働かなくなるので、後手の寄せ合い勝ちになるのでしょう。


○ 他には39歩があって

これも受けの手のようなのですが、竜の位置を変えて、角を打とうという意味なのです。28竜なら17角という狙いです。
47竜には61馬同銀57金打

で駒得を狙います。

48竜が馬取りですが

61馬同銀26角

このラインに角を打ちます。28竜には64歩

がぴったり。63歩成が入れば楽勝です。62金なら角を切って63金と打ち込めばよいです。
64同金には53角成72桂58金

として71銀からの寄り筋です。

26角に47竜でも58金と銀を入手してしまえば同じこと。

こっちで説明すれば、58同竜に71銀

93玉に95歩同歩94歩

香を走って99飛の筋で詰みがあります。


☆ まとめ

後手の攻め駒は38竜58銀を含めても3枚なので受けがあるようなのですが、どこかで6筋に と金ができると4枚になるので受けにくいのです。作らせないようにすると駒を打ち込んで囲いをはがされます。
この場合は89竜の横利きを生かすべきで、金を取って39金というのが有力な受け筋です。

寄せ合いなら64歩から考えるのですが、どうやら千日手のようで、仕切り直しです。
先手で角を打つ(竜取りにして0手で打つ)ことができれば寄せ合い勝ちが見込めるところで、39歩がそれを狙った手でした。58銀の質駒を手にいれて、61馬から71銀で寄りでした。

なんだか作ったような次の一手でしたが(このブログでは正解が一つではないようなものを選んでいるのですが)、盤面を広く見ると好手が落ちていることがあります。

こういううまい手を見つけると検討が楽しいですね。みなさんも自分の指した棋譜を記録しておいて、振り返ってみてください。棋力が向上したなあ、と実感するものです。(ソフトの助けを借りているのですが、それでも感心します。)
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第169回名南将棋大会(壱) 結果速報

2017-01-22 | 名将会
今日は第169回名南将棋大会(壱)を行いました。結果速報です。


A級優勝
松浦正樹さん


B級優勝
丹羽拓郎さん


C級優勝
吉川朋樹さん

紀平倖佑さん

荒木開さん



優勝おめでとうございます。
参加いただいた皆様ありがとうございました。


直近1年の優勝者まとめです。クリックで大きくなります。
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大山将棋研究(407); 四間飛車に急戦

2017-01-22 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?



☆ 今日の棋譜
昭和53年4月、加藤一二三先生と第19期王位戦です。

大山先生の四間飛車に加藤先生は急戦です。

大山先生はまともには受けません。いつものように78金と備え、袖飛車を見せます。加藤先生も玉頭に備えます。

玉頭方面は一段落。今回は39飛~48金の形なので、いつもの袖飛車よりは玉が堅い感じがします。

金銀が分裂していたのですが、大山流の金を寄せる手でまとまってきました。

その効果で飛車をぶつけることができました。

飛車交換にはならず、陣形整備の後、戦闘開始です。

大山先生も66歩と打つ気にはならず、57角から迎撃です。小競り合いから本格的な戦闘になっていきます。

加藤先生は角を使い

銀を追います。

銀を殺せましたが

大山先生は25銀と捨てて桂を取りに行きます。

加藤先生は歩切れでは駒得とはいえず、とにかく動かなければいけません。

大山先生のカウンター。加藤先生は1歩しかないので飛車先を止めにくいのです。

67歩には銀を追って

金をぶつければ飛車先が通ります。

飛車が成って、少し大山先生がリードします。

しかし加藤先生の反撃も厳しいです。

清算して31歩と詰めろを受けたのですが、57金を決めておくほうがわかりやすかったか。

銀で固められました。

これで投了図なのですが、早すぎます。というか、後手玉が詰まないですし、57金から攻めてしまえば(57金同銀37馬58玉36馬47歩57桂成同玉35馬)後手が有利だと思えるのですが。

早すぎる投了が謎で、秒読みで時間が切れてしまったのかもしれません。
投了図以下、後手をもって攻め筋を考えてみてください。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:加藤一二三棋王
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 5二金(61)
15 3八銀(39)
16 4二銀(31)
17 6七銀(78)
18 7四歩(73)
19 4六歩(47)
20 8五歩(84)
21 7七角(88)
22 5三銀(42)
23 3六歩(37)
24 6四歩(63)
25 7八金(69)
26 4二金(41)
27 4七銀(38)
28 4四歩(43)
29 3八飛(68)
30 4三金(52)
31 3五歩(36)
32 同 歩(34)
33 同 飛(38)
34 3四歩打
35 3九飛(35)
36 1四歩(13)
37 1六歩(17)
38 6三銀(62)
39 4八金(49)
40 9四歩(93)
41 3六銀(47)
42 3三金(42)
43 6八金(78)
44 7二飛(82)
45 5八金(68)
46 7五歩(74)
47 同 歩(76)
48 同 飛(72)
49 6八角(77)
50 7二飛(75)
51 7九飛(39)
52 7四銀(63)
53 3八金(48)
54 7五歩打
55 5六歩(57)
56 4二金(43)
57 9六歩(97)
58 4三金(33)
59 9七香(99)
60 6五歩(64)
61 同 歩(66)
62 同 銀(74)
63 5七角(68)
64 6六歩打
65 同 銀(67)
66 5六銀(65)
67 3九角(57)
68 1三角(22)
69 4九飛(79)
70 3五歩(34)
71 2五銀(36)
72 3三桂(21)
73 1四銀(25)
74 2四角(13)
75 1五歩(16)
76 1三歩打
77 2五銀(14)
78 同 桂(33)
79 2六歩(27)
80 6二飛(72)
81 2五歩(26)
82 3三角(24)
83 6五歩打
84 8六歩(85)
85 同 歩(87)
86 8二飛(62)
87 6四歩(65)
88 同 銀(53)
89 7五銀(66)
90 5五銀(64)
91 6九飛(49)
92 6七歩打
93 5七歩打
94 6五銀(56)
95 6七金(58)
96 3六歩(35)
97 5六金(67)
98 同 銀(65)
99 同 歩(57)
100 4六銀(55)
101 6一飛成(69)
102 2六銀打
103 4八角(39)
104 3七金打
105 同 桂(29)
106 同 歩成(36)
107 同 角(48)
108 同 銀(46)
109 同 金(38)
110 同 銀成(26)
111 同 玉(28)
112 4五桂打
113 4七玉(37)
114 3一歩打
115 4六銀打
116 2八角打
117 3五銀打
118 1九角成(28)
119 2四桂打
120 同 歩(23)
121 同 歩(25)
122 投了
まで121手で先手の勝ち

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大山将棋研究(406); 四間飛車に左美濃

2017-01-21 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?



☆ 今日の棋譜
昭和53年4月、飯野健二先生と第17期十段戦です。飯野先生はプロ入り4年目で、これに勝てば十段リーグ入りだったようです。

大山先生の四間飛車に、飯野先生は持久戦で

22玉の形の左美濃に。すでに大山先生は左銀を腰かけているのですから、角筋に入って危険です。作戦負けになりそう。

74歩~51角~73角まで間に合わないといけないのですが、65歩~45歩のほうが速いので困っています。84飛は悩んだ末でしょうけれど、好んで指す手ではないです。

手待ちをして25歩と突かれました。こうなるなら12玉と角筋をかわしておきそうなものなのですが。

25歩は取れないので、74飛24歩同角78飛のやりとりから35歩。玉砕のようですが、何か動かないとだめだと判断したのでしょう。

大山先生は44角~76飛とすることができたのですが、飛車をさばかせただけなので玉頭を厚く構えます。

飯野先生も玉頭戦です。歩を合わせて金を繰り出せば、大山先生は銀を寄せます。

手堅いですね。13角の位置が悪いだろうとみています。

頃合いを見て端を攻めます。これがどれだけ厳しいかの勝負。

銀香交換ですが、角が飛び出して決戦です。46同銀も考えられますが

じっと14歩と抑えて、馬飛を追えばよいのですかね?危険な感じがしますが。

飯野先生は馬飛を切って香をたらして、手ごたえがあったのではないでしょうか。

桂を捨てて金を捨てて、取れば48角です。(でもその変化も先手が指せるようです。)

先手玉が詰めろでピンチ。この図を見たことがあります。河口先生の観戦記だったとおもいますが、どの本だったか思い出せません。

まずは13角で、取れば詰みなので12玉。

それから銀を引くのです。飛車の横利きが通って詰めろ逃れ。27金は46角成です。

49同香成に57角成で詰めろ逃れの詰めろ。大山先生の勝ちです。

大山先生はどこでこの筋に気が付いたのでしょうか?37金を取らなかったのですから、それ以前に発見したのでしょうね。怖い筋に踏み込んで、でも助かっているのですから不思議なんです。読み切って指しているのではなくて、何とかなりそうだとわかっていたのでしょうね。
「助からないと思っても助かっている」という大山先生の名言がありましたが、これはその好例です。簡単にあきらめてはいけない、という意味だけに解釈すべきです。
でも作戦勝ちだったはずなのに、危なくなりましたね。中盤で78飛としたのに44角~76飛を選ばなかったためだと思うのですが、48飛~45歩でしょうか。
それはともかく面白い終盤になりました。変化も考えてみてください。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:飯野健二4段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 5四歩(53)
9 4八玉(59)
10 4二玉(51)
11 3八玉(48)
12 3二玉(42)
13 2八玉(38)
14 1四歩(13)
15 1六歩(17)
16 5三銀(62)
17 6七銀(78)
18 4四歩(43)
19 5六銀(67)
20 5二金(61)
21 3八銀(39)
22 3三角(22)
23 5八金(69)
24 2二玉(32)
25 4六歩(47)
26 3二銀(31)
27 3六歩(37)
28 4三金(52)
29 3七桂(29)
30 8五歩(84)
31 7七角(88)
32 2四歩(23)
33 2六歩(27)
34 8四飛(82)
35 4七金(58)
36 2三銀(32)
37 2七銀(38)
38 3二金(41)
39 3八金(49)
40 9四歩(93)
41 6五歩(66)
42 9五歩(94)
43 2五歩(26)
44 7四飛(84)
45 2四歩(25)
46 同 角(33)
47 7八飛(68)
48 3五歩(34)
49 2五歩打
50 1三角(24)
51 3五歩(36)
52 7六飛(74)
53 3六金(47)
54 3四歩打
55 同 歩(35)
56 同 金(43)
57 4七銀(56)
58 3三桂(21)
59 2六金(36)
60 5五歩(54)
61 3六歩打
62 5四銀(53)
63 1五歩(16)
64 同 歩(14)
65 1四歩打
66 同 銀(23)
67 1五香(19)
68 同 銀(14)
69 同 金(26)
70 4六角(13)
71 1四歩打
72 5七角成(46)
73 5八銀(47)
74 5六馬(57)
75 6七銀打
76 3八馬(56)
77 同 玉(28)
78 7七飛成(76)
79 同 桂(89)
80 4六香打
81 5一飛打
82 4五桂(33)
83 同 桂(37)
84 3七金打
85 2九玉(38)
86 1七角打
87 1三角打
88 1二玉(22)
89 4九銀(58)
90 同 香成(46)
91 5七角成(13)
92 投了
まで91手で先手の勝ち

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20170121今日の一手(その451): どの攻め筋が有効か

2017-01-21 | 今日の一手
20170121今日の一手

1月7日の名南将棋大会から、AさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

(多分後手が45歩と伸ばしたところ、先手番です。)
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは少し後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は37桂79角で2枚。
後手の攻め駒は33角1枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
先手は鳥刺しですね。59金右の形が工夫でしょうか。66に左銀が出るのはあまり良い指し方だとは思わないのですが、この場合は55歩や55銀のねらいがあります。(66に出ないで46に出る、45歩の形なら46歩同歩同銀とする、ほうが手に困らないことが多い。)
この戦法は玉を固く囲うのではなく、あくまで急戦が狙いです。左銀が66にあるのですから後手玉よりも堅くなりません。今は攻め駒が2枚ですが、66の銀あるいは48の銀と、28飛を攻めに使いたいです。
どこから攻めますか?


× 囲うなら88玉ですが

52金左78金65歩55銀同銀同歩同角

というのは後手の望むところ。あるいは44角から33桂と待つ人もいるでしょう。これでも互角ですが、作戦としてはつまらないです。


△ 24歩同歩

という突き捨てはいつ入れるかわからないのですが、向い飛車ですからいつでも入るので、とりあえず変化を考える上では保留しておきます。右桂を跳ねているので25歩から伸ばされても構いませんから、戦いが始まるなら早く突き捨てておいてもよいです。


△ 実戦は55歩でした。

55同銀に45桂44角53桂不成

というのが狙いの手で、駒得になります。以下は66銀41桂成55角(55銀か75銀と逃げておくほうが良い)46金

52飛66歩同角67歩84角57歩

こう進むなら先手十分です。歩切れですが金得です。41の成桂の働きが良くないので今一つではありますが、有利なのは間違いありません。この後も駒得を主張したのですが、受け間違って食いつかれてTさんの負け。残念でした。

後手としては55歩は取れません。43銀と我慢して

こうなると66の銀が攻めに使えないので、46歩同歩同角52金左47銀

とじっくり右銀を前に出していくか

45桂と取って

44角37銀52金左46銀33桂35歩

という戦い方か。
どちらもあると思います。この時に59金右の形よりも58金右のほうが働いている(玉の腹が空いていない)ので、振り飛車としては得ではないかという感じです。


○ 55銀とぶつけたら

今度は43銀では45桂があるので引きにくいです。55同銀同歩同角に56銀33角45銀

となるのでしょう。後手から反撃手段がないので、34銀と取って銀が遊ぶということもなさそう。
43銀と打っても35歩同歩同角が好調子。44歩に34歩42角44角

44同銀同銀32金45桂

となれば好調です。


△ 46歩もあって

46同歩同角65歩

55銀に42飛45歩同銀同桂同飛


あるいは45歩の時に55銀同歩か。


どちらも互角でこれからですが、やはり59金右が生きていないので後手のほうを持ちたいのかな、という気はします。


△ 35歩は激しい手で

桂頭に弱点ができるのですが、35同歩同角に52金左が欠かせず、34歩が入ります。

51角24歩同歩44角32飛

11角成に36歩は35香

が好手で先手よし。

戻って11角成に34飛12馬

35飛55歩(同銀には45馬)36歩54歩37歩成44銀

と激しく進んで難しい形勢です。


☆ まとめ
問題図では後手の45歩の価値が小さい(77歩の形のため)ので先手のチャンスでした。
攻めを考えたいところで、24歩同歩を除外すれば、55歩、55銀、46歩、35歩の4択です。
比較に悩むかもしれませんが、左銀を攻めに使うか、右銀を攻めに使うか、どちらもそのままか、という違いがあります。(これは攻め駒の数に関係してきます。)

実戦の55歩は取ってもらえるなら先手が有利になりやすいです。これは66銀が攻め駒になるからですね。45桂から53桂不成という決め手がありました。
取らないで43銀なら互角で、ただし59金右が少し不満。

55銀のほうが取ってもらえるのでわかりやすいと思います。その後銀を投入するのはあまり良い手ではないことが多いのですが、この場合は後手の左金が低いので案外に有効です。

46歩は筋が良いのですが、66銀が攻めに働かないので形勢は難しいです。

35歩は激戦。場合によっては成立する筋です。先手玉が堅ければ十分になりやすいところですが、66銀が中途半端なのであまり考えないほうが良いのかもしれません。


こういう変化を見て、鳥刺しならではの感覚がわかるでしょうか。後手の45歩は普通の急戦なら反撃の切り札ですが、この場合は角筋に駒がないので指さないほうが良いです。攻めの目標になってしまいます。
鳥刺しの名手Tさんですが、66銀は賛同できません。46に出るほうが良いです。問題図の場合は同じ理屈で55銀とぶつけて交換するほうが良いのです。
コメント (2)
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大山将棋研究(405); 四間飛車穴熊に銀冠

2017-01-20 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手(できれば3手目も)は?


☆ 今日の棋譜
昭和53年4月、西村一義先生と第17期十段戦です。


西村先生の四間飛車穴熊。副総裁ですからね。

大山先生は左美濃から銀冠に構えます。

西村先生は66銀型に組めて満足です。

5筋の歩を交換して

大山先生は6筋の歩を交換します。

その後西村先生は55歩と合わせて6筋を狙う(55同歩同銀に64歩か)のですが、急がずに待っているのも有力です。98香は一回指しておきたい感じがします。大山先生は桂を跳ねて反撃します。

西村先生が74歩を打つために2筋の歩を交換するとは驚きました。

大山先生は角を追います。(こういう時にも98香は役に立ったのですが)

桂を捨てて、65同銀には55角

なのでと金を作り合います。銀冠のほうが堅いので飛車交換にはならず

互いに飛車を逃げることになり、大山先生は角を封じました。これで有利です。

3筋を狙われたら金を呼び戻して

またと金の作り合いです。

西村先生は先に銀を取れたので3筋を攻めます。

銀を追って

62銀で両取り。これにかまわず大山先生は48歩で、59金には39歩成同飛38歩なんですね。これで有利が拡大します。

金の取り合いになりました。

後手の攻めは と金を作るだけですからわかりやすいです。西村先生はどこまで食いつけるか。銀を打ち込みます。

金で取って角なんですね。15の香を取ろうと。

西村先生は拠点を作り

打ち込みます。先手玉はまだ詰まないので詰めろ以上の手が続けばよいのですが。

先手玉は詰みません。後手玉は詰めろ。

大山先生は香で飛車の位置をずらして

角をかわせば詰めろ。(かわさずに先手玉が詰んでいてもおかしくないのですが。)詰めろ逃れの詰めろが続きます。

西村先生は角を外しましたが、いっぱい渡したのでさすがに先手玉が詰むようです。

投了図。

西村先生は面白いところから1歩手に入れましたが、穴熊が崩れるので疑問手なのでしょう。その後のわかれば大山先生が有利でしたが、終盤は面白い一手違いになりました。良い将棋でした。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:西村一義7段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 6七銀(78)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1八香(19)
18 3三角(22)
19 1九玉(28)
20 2二玉(32)
21 2八銀(39)
22 3二銀(31)
23 5八金(69)
24 2四歩(23)
25 3九金(49)
26 2三銀(32)
27 4六歩(47)
28 3二金(41)
29 3六歩(37)
30 5三銀(62)
31 4八金(58)
32 4四歩(43)
33 6五歩(66)
34 4三金(52)
35 7七角(88)
36 8五歩(84)
37 6六銀(67)
38 2五歩(24)
39 3七金(48)
40 7四歩(73)
41 5六歩(57)
42 6二飛(82)
43 1六歩(17)
44 9四歩(93)
45 5五歩(56)
46 同 歩(54)
47 同 銀(66)
48 5四歩打
49 6六銀(55)
50 6四歩(63)
51 同 歩(65)
52 同 銀(53)
53 6五歩打
54 5三銀(64)
55 5五歩打
56 7三桂(81)
57 7五歩(76)
58 同 歩(74)
59 2六歩(27)
60 同 歩(25)
61 同 金(37)
62 7六歩(75)
63 8八角(77)
64 8六歩(85)
65 同 歩(87)
66 8七歩打
67 7九角(88)
68 4五歩(44)
69 7四歩打
70 6五桂(73)
71 7三歩成(74)
72 7七歩成(76)
73 3八飛(68)
74 6四飛(62)
75 4五歩(46)
76 6八歩打
77 3五歩(36)
78 2七歩打
79 同 金(26)
80 6七と(77)
81 7五銀(66)
82 6一飛(64)
83 6四歩打
84 4六歩打
85 6三歩成(64)
86 4七歩成(46)
87 3六飛(38)
88 5七桂成(65)
89 5三と(63)
90 同 金(43)
91 3四歩(35)
92 5五角(33)
93 2四歩打
94 同 銀(23)
95 2五歩打
96 1三銀(24)
97 1五歩(16)
98 同 歩(14)
99 同 香(18)
100 3八歩打
101 4九金(39)
102 1四歩打
103 6二銀打
104 4八歩打
105 5三銀(62)
106 2六歩打
107 同 飛(36)
108 4九歩成(48)
109 2四歩(25)
110 同 銀(13)
111 同 飛(26)
112 2三歩打
113 3三銀打
114 同 金(32)
115 同 歩成(34)
116 同 角(55)
117 2六飛(24)
118 1五角(33)
119 3四歩打
120 3九歩成(38)
121 3三金打
122 同 桂(21)
123 同 歩成(34)
124 同 角(15)
125 3四歩打
126 2九と(39)
127 1八玉(19)
128 1五香打
129 1六歩打
130 2八と(29)
131 同 金(27)
132 1六香(15)
133 同 飛(26)
134 5五角(33)
135 3三歩成(34)
136 同 玉(22)
137 4四銀(53)
138 同 角(55)
139 同 歩(45)
140 2九銀打
141 同 玉(18)
142 3八金打
143 同 金(28)
144 同 と(47)
145 同 玉(29)
146 4八と(49)
147 投了
まで146手で後手の勝ち

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大山将棋研究(404); 向い飛車に左美濃

2017-01-19 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番芹沢先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和53年4月、芹沢博文先生と第17期十段戦です。連続で当たりました。


大山先生の向い飛車で、64歩が入ります。

芹沢先生は左美濃ですが、持久戦にすると64歩が悪い手になってしまいます。32銀63歩の局面で64歩を突く人はいないでしょう。

45歩を避けて角を引くのですが、この後角をどう使うかという構想が見えません。

62飛と受けて、65歩同歩45歩なら仕方ないと思うのですが。

角銀2枚で守っているところに歩を謝るのではつまらないです。

それで45歩がやってくるのなら、74歩ではなくて21玉ではないかと思います。

芹沢先生の構想はここで桂馬で取って

両取りで指せるとみたのですが

2枚換えでだめですね。

大山先生はしがみつくだけでよく

芹沢先生の反撃も

投了図。

大山先生の作戦勝ちで、そのままあっけなく終わりました。22玉の形の左美濃は角筋に入るので、作戦負けになるとあっさり終わります。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:芹沢博文8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 5四歩(53)
7 8八飛(28)
8 3四歩(33)
9 6八銀(79)
10 6二銀(71)
11 4八玉(59)
12 6四歩(63)
13 6六歩(67)
14 4二玉(51)
15 3八玉(48)
16 3二玉(42)
17 5八金(69)
18 5二金(61)
19 2八玉(38)
20 1四歩(13)
21 1六歩(17)
22 3三角(22)
23 3八銀(39)
24 2二玉(32)
25 4六歩(47)
26 4四歩(43)
27 3六歩(37)
28 3二銀(31)
29 4七金(58)
30 4三金(52)
31 5七銀(68)
32 5三銀(62)
33 3七桂(29)
34 4二角(33)
35 6八飛(88)
36 3三桂(21)
37 6五歩(66)
38 同 歩(64)
39 同 飛(68)
40 6四歩打
41 6九飛(65)
42 7四歩(73)
43 4五歩(46)
44 8六歩(85)
45 同 歩(87)
46 7三桂(81)
47 4四歩(45)
48 同 銀(53)
49 4五歩打
50 同 桂(33)
51 同 桂(37)
52 6五桂(73)
53 4四角(77)
54 同 金(43)
55 4六銀(57)
56 8六飛(82)
57 2六桂打
58 2四角(42)
59 5三銀打
60 4五金(44)
61 同 銀(46)
62 5七桂成(65)
63 3七金(47)
64 2五桂打
65 3四桂(26)
66 1二玉(22)
67 2二金打
68 1三玉(12)
69 2六歩(27)
70 投了
まで69手で先手の勝ち
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