名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

第72回東海団体リーグB級4R結果 優勝しました。

2017-08-25 | 東海団体リーグ
8月20日は東海団体リーグB級の最終日でした。

初戦はクラス1位の岐将会、2-2で1局残り、優勢なのに時間切れ負け。
次戦はクラス3位の名古屋大学OB会で、これも2-2でしたが時間切迫で怪しく逆転して勝ち残りました。
最終戦はクラス4位の刈谷支部、またも2-2から勝って
最終日はは2勝1敗、トータル8勝1敗で、勝ち数の貯金で優勝しました。

皆さまお疲れさまでした。

<レギュラーメンバーが不足しております。どなたかご希望がありましたら連絡ください。>


速報

成績表

個人成績


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20170825今日の一手(その560);両取りで局面が動く

2017-08-25 | 今日の一手

20170825今日の一手

7月8日の名南将棋大会から、MさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂と金香の交換で竜と成桂を作られています。それでも1枚多いですから先手の駒得です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角金銀桂香で5枚。
後手の攻め駒は持ち駒角銀桂で3枚。

総合すれば先手優勢に近いです。

☆ 大局観として
先手優勢でおかしくないのですが、実際の指し手は難しいです。これは98飛が守りにしか働いていないのが原因です。99香も働いているとは言いにくく、後手には遊んでいる駒はない(64竜77成桂の働きが弱いが)のですから、思ったよりも形勢は離れていないです。
3つの要素で上回っていますから、どれを伸ばしてもよいわけですが、後手玉を寄せるのが一番速いです。守りを固めておいても悪くはありません。
けれどさらに駒得を目指そうというのはあまり良い考えではありません。駒得の先に狙いがあればよいのですが。


× 実戦では25歩と突きました。

25同歩には15歩同歩24歩同銀46角が竜銀両取り、という意味だったと思うのですが、55角

で不発です。これは指し過ぎで、69竜から26桂が厄介です。

ところが後手のKさんは両取りでまずいと思ったのでしょう、手抜いて69竜です。

24歩同銀25歩33銀24桂

あっという間に寄り筋です。24同銀同歩26歩に23銀

清算して41角を打てば詰みでした。でも

角を打たずに左翼に追いかけてしまったので、(それでも優勢でしたが)先手玉にも王手がかかるようになり、悔しい逆転負け、寄せそこないです。


△ 46角を先にすると55銀

で37角と引いて、ということになります。悪くはないのですがはっきりしません。


△ 銀を打たせないで37角とか


△ 91角から

37角成という守り方もあります。


○ 比較に迷いますが、守りを固めるなら37金寄

が良いようです。55桂の傷を避けて、今度こそ25歩や46角を狙えます。
69竜に41角(25歩同歩24歩の狙い)31金74角成

で馬も守りに使えます。


△ 先に41角だと42金

で角が死んでしまうようですが、65歩同竜66歩

と竜を追っていけば生還できます。

ただ65歩に73竜

だと64銀同竜同歩41金で1枚損して寄せられるかどうか、という変化か、85桂から桂を犠牲に馬を作る変化か、どちらもあまり得ではないように見えます。


△ であれば先に65歩として

65同竜に41角で馬を作るほうが優っているのかも。



△ 寄せの手筋としては44歩と突き捨てて

歩で攻めるほうが良さそうですが、44同歩43歩69竜

の時に悩みます。42歩としておいて41歩成のほうが良いのか、とも思えます。
42金は64角37桂42角同歩成同金

駒得が広がったけれど29金を受ける必要があり、55桂から後手に攻められます。

では86角か。

87成桂68飛同竜同角69飛

79金には17銀同香19角18玉46桂

28銀と受けて受けきれるかどうか。

では先に42歩成

と捨てて、42同金に86角なら32金77角

成桂を払ったものの、55桂37金寄47銀39桂

後手の攻め駒は4枚あるので、受けやすい形ではありますが、まだまだ長いです。


○ 単に86角が攻めるなら最善のようです。

これは両取りというよりは、竜取りに角を打ったと思ってください。69竜にも77角と取るのではないです。どこでも同じなので66竜にしておきますが、41銀

とかけて、22金に31角成が寄せの筋です。後手は64角

と馬を消して32金を避けるのですが、64同馬同竜31角69竜15歩

端も入れて、15同歩に13歩同玉32金

と攻めます。55角46桂32銀同銀成23金打21成銀

と攻めれば後手は受けにくく、もう少しで寄りそうです。

(44歩同歩86角としてこの変化になれば、55角が22に利かないので寄せやすいのか、という可能性はあります。でも55角の王手が厳しくなる面もあり、善悪はよくわかりません。)

この攻め筋は厳しいと気が付いたら、86角には75桂

が難しい応手です。どちらを取っても両取りの筋があります。ということは違う筋に目を向けて25歩76成桂24歩

と2筋を攻めます。(後手の反撃が遅れているので金銀の連携が崩れれば41銀と攻めます。)24同銀25歩33銀24桂同銀同歩86成桂41銀

これは小駒だけの攻めでも受けにくいです。


△ 先に41銀だと手順前後になるかどうか。

31金86角に75桂

77角87桂成68飛67歩88飛

というギリギリの手順です。後手は角を取るか飛を取るか、難しい形勢です。


× 他には18香打(あるいは15歩同歩18香打)という端攻めですが、22玉

で空振り、この場合は12玉の形のほうが攻めやすかったので失敗です。


☆ まとめ
明確な攻め筋が見えないような時には、両取りの筋を狙っての攻防で局面が動くときがあります。一つ攻めれば一つ受けるわけで、膠着しているのですね。二つ攻めると見せれば受けにくくなります。

問題図では実戦手順の裏の46角の両取りの筋です。
86角も両取りなので見つけやすいかもしれませんが、実は77成桂を取ってよし、とはいかないのが面白いところです。先手で(竜取りで)角を据えて寄せに行くのが本筋の攻め方です。

この米長玉の形の銀冠は、横から攻められるなら強いのですが、1,2筋から(上から)攻められるともろいです。金銀の連携が悪くなっている意味があって、厚みにかけているのだと思います。終盤で懐の広さを生かして22玉を12玉(あるいは13玉)と逃げ出す、という本来の米長玉の使い方が一番良いでしょう。

天守閣美濃も同じで、銀冠や高美濃なら22玉の位置が一番堅い(少なくとも上部に厚い)のだと思うのです。もちろん横から攻められた時には違いますが。

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大山将棋研究(621);三間飛車に持久戦(真部一男)

2017-08-24 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番中原先生の次の手は?

☆ 今日の棋譜20170824
昭和56年11月、真部一男先生と第7期棋王戦です。

真部先生が三間飛車で

大山先生は持久戦です。75歩の玉頭位取りは少し前に苦労しました。今回は右から動きをみせます。

角筋が止まっているので右46銀で攻めるというわけではなく

5筋の歩を交換し(突き違いで銀ばさみが気になりましたが)

中央を手厚く構えます。

こういう持久戦になると振り飛車の指し方がさっぱりわからないんですよね。真部先生は銀を引いて

金と入れ替えました。大山先生は角を右辺に転回しています。

真部先生は65歩が気になって45歩と動いた(33角の含み)のですが

堂々と取られては損をしています。22飛には35歩同歩34歩があるので

1歩手に入れて銀を殺す15歩と指したのですが、大山先生は24歩から

角を取って金を取れます。

この筋は金を取れても桂香を拾われるので簡単ではないのですが、銀をさばいて

底歩を打てば先手玉は堅いです。

真部先生は駒得ということもあり、粘りに出ます。

自陣飛車も打って

まだまだ、と思ったら角打ちで投了です。73で清算して65桂打で寄ります。

私が振り飛車を指しこなせない理由に、こういう持久戦になった時の指し方がわからない、というのがあります。金銀4枚で玉を固めるだけ、というなら話は分かるのですが、金銀を入れ替えたら後手玉が薄くなりますよね。真部先生は45歩からけん制してみたらさっぱりで、そのまま負けてしまいました。
大山先生のほうをもって、62銀はともかく61金を打ってよし、なんて考えにくいです。
というどちらを持っても私には不可解な一局でした。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:真部一男7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 4二銀(31)
5 6八銀(79)
6 5四歩(53)
7 6七銀(68)
8 5三銀(42)
9 5六歩(57)
10 3二飛(82)
11 4八銀(39)
12 6二玉(51)
13 6八玉(59)
14 7二銀(71)
15 7八玉(68)
16 7一玉(62)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 2六歩(27)
20 8二玉(71)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 5七銀(48)
24 6四歩(63)
25 3六歩(37)
26 4四歩(43)
27 5八金(49)
28 5一角(33)
29 3八飛(28)
30 7四歩(73)
31 4六銀(57)
32 7三角(51)
33 5五歩(56)
34 同 歩(54)
35 同 銀(46)
36 5四歩打
37 4六銀(55)
38 5二金(41)
39 6八金(69)
40 6三金(52)
41 5六銀(67)
42 1四歩(13)
43 1六歩(17)
44 1三香(11)
45 2八飛(38)
46 5一角(73)
47 6七金(58)
48 8四歩(83)
49 8六歩(87)
50 7三桂(81)
51 7七角(88)
52 8三銀(72)
53 8八玉(78)
54 7二金(61)
55 7八金(68)
56 6二銀(53)
57 5九角(77)
58 5三金(63)
59 2六角(59)
60 6三銀(62)
61 5七銀(46)
62 4三金(53)
63 6八銀(57)
64 5二飛(32)
65 3七角(26)
66 4五歩(44)
67 同 銀(56)
68 3三角(51)
69 7七桂(89)
70 5五歩(54)
71 4六角(37)
72 1五歩(14)
73 2四歩(25)
74 同 歩(23)
75 同 角(46)
76 2二飛(52)
77 3三角成(24)
78 2八飛成(22)
79 4三馬(33)
80 1九龍(28)
81 5四銀(45)
82 2九龍(19)
83 5九歩打
84 5四銀(63)
85 同 馬(43)
86 6三銀打
87 5三馬(54)
88 2三龍(29)
89 6二銀打
90 8一飛打
91 2四歩打
92 3二龍(23)
93 6一金打
94 9三香打
95 5一角打
96 投了
まで95手で先手の勝ち
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大山将棋研究(620);四間飛車に天守閣美濃(中原誠)

2017-08-23 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番森安先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170823
昭和56年10月、中原誠先生と第2回日本シリーズ決勝戦です。


大山先生の四間飛車に、中原先生は天守閣美濃です。

この66銀と出て4枚美濃を目指すのが大流行しました。

これには65歩と位を取るのが急所です。66歩~67金まで許してしまうと堅すぎます。

66歩同歩57金、とするのは初めてだと違和感がありますが、66金65歩67金と収まるなら、66同銀65歩77銀~67金と手数が同じで離れ駒が少ないのです。

中原先生の26飛は36飛~34飛をみせた揺さぶりです。結果的には大山先生は65歩67金を決めたほうが良かったようです。

44角~32飛と受けました。

飛を追って65歩に、中原先生は金を引きません。

55金から45歩を入れて

銀を取り返して44銀。これでリードしました。

清算して金角交換少し居飛車もちです。

飛をぶつけて

大山先生から見ると、66桂で銀を剥がせるので良い勝負です。

66同銀に52銀と1枚入れます。これに64歩がぎりぎりの利かし。どちらの歩を取るか悩みます。

どちらにせよ後手陣が乱れるのですが

角桂桂ではまだ寄せにくいように見えますね。でも75桂から

桂をつないで

47角。これで寄り筋です。

これで先手の楽勝に見えますが

大山先生は75桂から玉を逃げ出します。

竜を切って面白くなりました。取れば詰み ませんね。67歩成くらいでしょうか。

中原先生は空間を埋めて

投了図。竜を取ればよいでしょう。

天守閣美濃の距離感といいますか、横からの寄せ合いになると振り飛車の美濃囲いよりも遠いのです。だから振り飛車は少し頑張る必要があり、65の位を取るのです。こういう囲いの距離感が認知されないうちは勝率がかなり高いわけで、流行した戦法がありました。この天守閣美濃、ミレニアム、ひねり飛車の37に銀を持ってくる形、など。今でも中原囲い(将棋戦法大辞典には最初に載っているのですから変な名称ですが)、居飛車穴熊が流行しています。
藤井システムで上から攻める方法が発見されて、今はすっかり見なくなりました。

本局は65歩67金を決め損ねて、中原先生がリード、桂使いの名手、という図になってしまいました。中盤から終盤の攻防を楽しめます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原誠名人
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 5八金(49)
14 7一玉(62)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 8六歩(87)
18 8二玉(71)
19 8七玉(78)
20 5二金(41)
21 7八銀(79)
22 6四歩(63)
23 5七銀(48)
24 4三銀(32)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 6六銀(57)
28 6三金(52)
29 7九角(88)
30 2二飛(42)
31 7七銀(66)
32 6五歩(64)
33 6六歩(67)
34 同 歩(65)
35 5七金(58)
36 5四銀(43)
37 6六金(57)
38 4五歩(44)
39 2六飛(28)
40 4四角(33)
41 3六飛(26)
42 3二飛(22)
43 4六歩(47)
44 3五歩(34)
45 1六飛(36)
46 6五歩打
47 5五金(66)
48 同 銀(54)
49 4五歩(46)
50 3三角(44)
51 5五歩(56)
52 4二飛(32)
53 4四銀打
54 同 角(33)
55 同 歩(45)
56 同 飛(42)
57 5四歩(55)
58 4九飛成(44)
59 4六飛(16)
60 2九龍(49)
61 4一飛成(46)
62 6六桂打
63 同 銀(77)
64 5二銀打
65 6四歩打
66 5四金(63)
67 2一龍(41)
68 6六歩(65)
69 6三歩成(64)
70 同 銀(52)
71 6二歩打
72 7一金(61)
73 7五桂打
74 7四銀(63)
75 6三桂打
76 同 銀(72)
77 同 桂(75)
78 同 銀(74)
79 4七角打
80 4九龍(29)
81 8三角成(47)
82 同 玉(82)
83 7一龍(21)
84 7五桂打
85 9七玉(87)
86 7四玉(83)
87 8一龍(71)
88 6四玉(74)
89 7五歩(76)
90 6九龍(49)
91 7六桂打
92 6五玉(64)
93 7七桂打
94 5五玉(65)
95 4六金打
96 4四玉(55)
97 4一龍(81)
98 投了
まで97手で先手の勝ち

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20170823今日の一手(その559);両取り逃げるべからず

2017-08-23 | 今日の一手

20170823今日の一手

7月8日の名南将棋大会から、KさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
序盤から見てみます。定跡講座です。

実際には先後逆ですが、四間飛車に右64銀(先手番で右46銀)の急戦です。78銀の形では72飛と寄ってから75歩同歩64銀を目指すのが定跡です。ただしこれが思わしくないので、何かしらの工夫が必要だということになっています。例えば藤井システムで59玉か48玉の形になるなら成功するかもしれませんし、位取りや穴熊をみせてのスイッチも考えられます。
本譜は75歩同歩64銀とやっていったのですが、これは左64銀(左46銀)の時の攻め方(藤井システム相手には右46銀でもこの攻め方がある)です。対応は75歩同歩64銀に74歩84飛65歩

とするのもあります(左64銀なら74歩と伸ばすのが定跡)。でもこれはこれで難しそうです。

実戦では74歩とせずに65歩

後手は角を換えずに(31銀の効果)75銀でしたが、22角成同銀に76歩

から(86歩同歩同銀に)64歩(同歩同飛)を見たら、振り飛車よしだったでしょう。

実戦では先手から77銀と上がりました。

31銀なら後手から角を交換したのと一緒。まあそうなるわけもなく、後手は86歩同歩76歩

とすればよかったのです。88銀なら86飛でまあまあ。66銀なら同銀同飛86飛

で89飛成の味が良く、後手よしでした。

実戦は76歩ではなく86銀

64歩同歩同飛63歩(これを打たなければいけないのが左64銀との違いです)74飛73歩

54飛に77銀成同桂88飛成

空成りですから大分違います。65桂に76角で問題図。

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得ですが、後手に持ち歩があり、竜を作られています。これはわずかに後手の駒得です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は54飛と持ち駒角銀で3枚。65桂は53に利きがあるのでいれてよいかどうか。4枚に近いです。
後手の攻め駒は88竜76角と持ち駒銀で3枚。

総合すれば先手よしです。

☆ 大局観として
形勢は先手が良さそうですが、76角は桂取りで、58角成からの2枚換えもありますから両取りみたいなものです。65桂を取られれば(駒損が広がるのは仕方ないとしても)攻め駒が3枚になってしまいますし、二枚換えで金金を取られたら玉の堅さが逆転します。つまりここをしのがなければならないわけです。「両取り逃げるべからず」とは言うのですが、この場合はそれしかなさそうです。


× 実戦は34飛33銀35飛

と桂のほうを守りました。58角成同金同飛成49銀打

先手の駒損が広がり、玉の堅さも劣ります。攻め駒はまだ4枚ですが、飛を渡しにくくなりましたし、後手有利です。


× 金のほうを守るなら68歩とかですが

65角34飛33銀35飛76角67銀94角

後手はうっかり87角成として85飛を食らうと怪しくなるのですが、それだけ気を付けておけばよいです。


× 67歩でも

同じようなもので、65角34飛33銀35飛64歩

これも後手よしです。


○ 53桂成が自然な手で

狙われている桂を使って攻めることができます。54角は同成桂53歩55成桂79飛59銀99竜45成桂33銀72角

長く進めましたがこんな感じです。形勢は互角ですが、後手は歩切れになりやすく、駒損は回復できます。

58角成はどうか。

58同金同竜49銀打に53金

ぎりぎりの応酬ですが、53同飛成に竜の逃げ方が難しいです。48金も同銀同竜49金で無効。78竜には96角

どこに逃げても角打ちがあって先手よしです。


△ 有力なのは66角で

55角でも良いのですが、やや66角の方が優ります。これなら65桂は取られず(52飛成同金88角)、勢いは58竜同金同角成82飛42金打53桂成

これにて優勢、と思いたくなるのですが、53同金直同飛成52歩63竜48金

先に49銀打などと守る余裕がありませんでした。金を張り付かれて受けは39銀しかなく、同金同玉48銀28玉49銀打

となると後手の攻めが切れません。

蛇足ですが、後手が竜を逃げるのは、82竜は83歩

83同竜とするくらいなら最初から89竜のほうが良いですし、72竜には34飛から84飛があります。

ということで89竜

と逃げると、53桂成では54角同成桂69飛

で角を切るのでは自信なし。

よって53桂成ではなく、52飛成同金53銀

と強攻します。受けは51歩、52銀などありますが、あまり違わないので51金の変化にして、42金同金同銀成同玉22角成65角21馬

と進みます。先手駒損ですが、玉が堅いこともあり、やや先手よしではないかと思います。


△ 後は89歩の竜取り。

これは78竜に56角で

桂取りを防いだ、ということなのですが、58竜同金同角成53桂成

これは56角に働きがなく、5筋を守られて48金というのが厄介で後手よしです。

なおまた蛇足で89竜などは88角

が狙いですが、89竜52飛成同金41銀同玉22角成

は65角のほかに58角成同金39銀もありますし、後手よしでしょう。


☆ まとめ
「両取り逃げるべからず」は確率から言えば逃げること(が正しい)のほうが多いわけですが、どちらを逃げても悪い時は逃げないでほかの手を探すほうが良いです。

ということで両取りを逃げないならば竜取りの66角か(55角か)89歩です。でもうまいようでうまくいかないのですよね。

実は桂を逃げる53桂成が正解なのだろうと思います。それでも飛取り(成桂のひもがありますが)と58角成があるのでまだ両取りみたいなものです。

もしも実戦でシンプルな53桂成とひねった66角で迷ったら、シンプルな方を選べばよいことが多いのではないか、と思うのですがどうでしょうか。

なお問題図の前に

この図で65桂ではなくて78歩が無難ではないかと思います。あるいは66角か。

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大山将棋研究(619);四間飛車に玉頭位取り(森安秀光)

2017-08-22 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番勝浦先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170822
昭和56年10月、森安秀光先生と第40期名人挑戦者リーグです。

森安先生が四間飛車ですが、56歩を突くのは大山先生みたいです。この場合は(大山先生は急戦を仕掛けないので)中央位取りを避けたということでしょう。

大山先生は玉頭位取りですが、44歩を突かないほうが良いです。

銀の応援が間に合わないので

位を失いました。端角から

力づくで位を奪回します。

形は悪いのですが、玉頭の勢力は多いです。

さらに金を前に出して

4筋を押さえ

ずいぶん頑張りました。

でも森安先生の陣形のほうがしっかりしています。37歩や47歩での反攻が狙える形です。

47歩を選びました。

大山先生も目いっぱい頑張って

馬を作るのですが

位が消えていくので陣形の薄さが目立ちます。

まとめきれないので桂馬を取りますが、森安先生の攻めが好調です。

飛を取るしかなくなりました。

森安先生優勢ですが、あわてずに傷を消しておきます。

大山先生の14香は悪い手なのですが、少しでも嫌味をつけようという勝負手です。

58飛が少し厳しくなったのですが、森安先生はもらった香を打って

手に入れた銀を守りに使い

金を殺すという、落ち着いたというか、妥協しても悪くないという指し方です。アマチュアなら、つい王手飛車をかけてしまいそうですが。

この角打も少し良いです、玉も堅いので逆転されませんよ、という感じがします。

大山先生は受けもないので寄せ合いというか形つくりに行きます。

森安先生の寄せを見ましょう。両取りから

馬で竜を取って下から飛を打ちます。

角を取らせて

平凡に詰めろ。

投了図。

大山先生はこのところ対玉頭位取りを気にしている(避けている)感じがあるのですが、逆をもってみたら少し失敗してしまいました。
この二人の棋風は似ていると言われるのですが、少し違います。大山先生が先手を持っていたら、と想像すると面白い比較ができます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:森安秀光8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5二金(61)
13 2八玉(38)
14 5四歩(53)
15 5六歩(57)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 5三銀(62)
19 6七銀(78)
20 4二銀(31)
21 3八銀(39)
22 4四歩(43)
23 4六歩(47)
24 3五歩(34)
25 4七銀(38)
26 3三銀(42)
27 3六歩(37)
28 同 歩(35)
29 同 銀(47)
30 8五歩(84)
31 7七角(88)
32 1三角(22)
33 3五歩打
34 2四銀(33)
35 3八飛(68)
36 4三金(52)
37 2六歩(27)
38 3四歩打
39 同 歩(35)
40 同 金(43)
41 2七銀(36)
42 4三玉(32)
43 4八金(49)
44 3三銀(24)
45 4七金(48)
46 3五金(34)
47 4八飛(38)
48 4五歩(44)
49 同 歩(46)
50 4六歩打
51 3七金(47)
52 4五金(35)
53 1五歩(16)
54 3六歩打
55 3八金(37)
56 4四銀(53)
57 6五歩(66)
58 8六歩(85)
59 同 歩(87)
60 3四銀(33)
61 5八金(69)
62 7四歩(73)
63 1四歩(15)
64 2四角(13)
65 4七歩打
66 5五歩(54)
67 同 歩(56)
68 7三桂(81)
69 6六銀(67)
70 4七歩成(46)
71 同 金(58)
72 7九角成(24)
73 4六歩打
74 3五金(45)
75 4九飛(48)
76 7八馬(79)
77 5四歩(55)
78 4二金(41)
79 5九飛(49)
80 5八歩打
81 同 飛(59)
82 8九馬(78)
83 5五銀(66)
84 3三銀(44)
85 6八飛(58)
86 7九馬(89)
87 6四歩(65)
88 6八馬(79)
89 同 角(77)
90 6四歩(63)
91 3七歩打
92 同 歩成(36)
93 同 桂(29)
94 1四香(11)
95 同 香(19)
96 5八飛打
97 4四香打
98 同 銀(33)
99 同 銀(55)
100 同 玉(43)
101 5九銀打
102 5四飛成(58)
103 3六歩打
104 5一龍(54)
105 3五歩(36)
106 4三銀(34)
107 6三角打
108 6五桂(73)
109 7四角成(63)
110 1六歩打
111 1八歩打
112 6六香打
113 4五歩(46)
114 3三玉(44)
115 7三馬(74)
116 5二飛(82)
117 5一馬(73)
118 同 飛(52)
119 5二歩打
120 同 飛(51)
121 3一飛打
122 2二玉(33)
123 9一飛成(31)
124 6八香成(66)
125 5三歩打
126 同 飛(52)
127 1二金打
128 3三玉(22)
129 2一龍(91)
130 1九角打
131 同 玉(28)
132 5九飛成(53)
133 3九桂打
134 1七角打
135 1五角打
136 投了
まで135手で先手の勝ち
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大山将棋研究(618);三間飛車に左美濃(勝浦修)

2017-08-21 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番勝浦先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170821
昭和56年10月、勝浦修先生と第29回王座戦第2局です。

大山先生の先手三間飛車に勝浦先生は64歩?

63銀から左美濃に組みました。

銀冠から腰掛銀で

大山先生の67金を見て急戦はあきらめ、もう少し駒組みです。

大山先生は45の位を拒否して37桂と跳ねるのですが、玉が薄くなりました。さらに76金では堅さがかなり劣ります。

74歩に65歩で小競り合いの開始。

54歩には72歩も手筋。

けれど金をぶつけられてさばき合いになりそう。玉の堅さが違うので大山先生は失敗です。どこかで71歩成が利けばよかったのですが。

金交換から飛をぶつけられ

飛を先着して角をぶつければ、まあまあに見えるのですが

右桂を跳ねているので端攻めが厳しいのです。仕方ないから54歩16歩18歩くらいではないかと思うのですが

こういう屈伏はプロが嫌うところです。応じてしまったので端を破られました。

大山先生の反撃は75角から31金。受けにくそうに見えますが

23玉と立ってしまえば手が稼げます。

勝浦先生の56香が詰めろ。大山先生は手駒がないので受けにくいです。

45桂と跳ねて逃げ場を作りましたが、25銀も詰めろで

投了図。

大山先生らしからぬ駒運びで、玉が薄いままにさばき合いに持ち込まれて、そのまま寄せ合い負けです。勝浦先生の鋭さがよくでた将棋でした。後手をもって並べましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王座
後手:勝浦修8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 3四歩(33)
7 6六歩(67)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八銀(39)
14 6四歩(63)
15 3九玉(48)
16 6三銀(62)
17 5八金(69)
18 5二金(61)
19 2八玉(39)
20 3三角(22)
21 5六歩(57)
22 2二玉(32)
23 5七銀(68)
24 3二銀(31)
25 1六歩(17)
26 1四歩(13)
27 3六歩(37)
28 2四歩(23)
29 4六銀(57)
30 2三銀(32)
31 6八飛(78)
32 3二金(41)
33 2六歩(27)
34 5四銀(63)
35 6七金(58)
36 6二飛(82)
37 7五歩(76)
38 9四歩(93)
39 9六歩(97)
40 4四歩(43)
41 3七桂(29)
42 6三金(52)
43 5五歩(56)
44 4三銀(54)
45 7六金(67)
46 7四歩(73)
47 6五歩(66)
48 7五歩(74)
49 同 金(76)
50 6五歩(64)
51 同 金(75)
52 6四歩打
53 6六金(65)
54 6一飛(62)
55 7五金(66)
56 5四歩(53)
57 7二歩打
58 4二角(33)
59 6五歩打
60 同 歩(64)
61 同 金(75)
62 7六歩打
63 8八角(77)
64 7四金(63)
65 6四歩打
66 6五金(74)
67 同 飛(68)
68 6四飛(61)
69 同 飛(65)
70 同 角(42)
71 6一飛打
72 7五角(64)
73 9七角(88)
74 同 角成(75)
75 同 香(99)
76 1五歩(14)
77 同 歩(16)
78 1六歩打
79 同 香(19)
80 1四歩打
81 同 歩(15)
82 同 銀(23)
83 7五角打
84 1五歩打
85 1八歩打
86 1六歩(15)
87 3一金打
88 2三玉(22)
89 3二金(31)
90 同 銀(43)
91 4二金打
92 5六香打
93 4五桂(37)
94 2五銀(14)
95 同 歩(26)
96 1七歩成(16)
97 同 歩(18)
98 同 香成(11)
99 同 玉(28)
100 1九飛打
101 2八玉(17)
102 1七角打
103 投了
まで102手で後手の勝ち

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20170821今日の一手(その558);食らいつく感覚

2017-08-21 | 今日の一手

20170821今日の一手

7月8日の名南将棋大会から、HさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
仕掛けから見てみます。

角換わりの後手棒銀で、16歩と25歩を突いていなければ36歩37桂の形で、端攻めは48玉~29飛で受かる、というのが定跡です。16歩と25歩が甘いから端攻めで後手有利、とみて仕掛けました。
(よく見ると後手が42玉を1手多く指しているようで、先後逆なのか1手損しているのかもしれません。)
95同歩同銀同香同香92歩

92歩では94歩か97歩が良く見る手ですが、それでは少し悪いと変化しました。92同飛には83角があります。98香成に79金(省略すべきか)52金(としないほうが良かった)91歩成89成香同金26香同飛44角

25歩と突いているのは受けを考えたら悪い形です。26に香を捨てて両取り(先に44角で26香狙いもある)がありました。28飛77角成48玉86歩81と同飛45桂87歩成で問題図です。

☆ 形勢判断をします。
歩2枚と香の交換で(歩切れなのでカウントします)馬と と金を作られています。先手の駒損です。
玉の堅さはやや後手のほうが堅そうです。
先手の攻め駒は45桂と持ち駒角銀香香で5枚。歩がないので攻めにくいですが5枚あればよいでしょう。
後手の攻め駒は77馬と持ち駒銀桂で3枚。87と81飛はまだ先手玉に向かっていません。

総合すればやや後手有利です。

☆ 大局観として
駒損ですし、後手から78と で攻められるので、ゆっくりしているわけにはいきません。先手玉を固めておく手は考えないほうが良いでしょう。
駒得を狙うよりも後手玉を攻略したいのです。後手陣の弱点はどこでしょうか?

なお、先手玉は35桂(~27銀)の傷があります。守るなら36歩が有効な手ですが、78と でまずいです。この傷があるので腰掛銀(その前の47銀の形で攻められるのですが)は棒銀と相性が悪いです。先手腰掛銀後手棒銀ならば右玉を見て端攻めはやや無理で、74歩~75歩ならば攻め合いにできる、というのが常識になっています。


× 24歩は同歩で(24同銀もよくわかりませんが)

持ち駒の香を使って攻めたいわけで、香を渡すと歩切れなので25香を狙われます。この突き捨ては多分後からでも入りますし、今は突き捨てないほうが良さそうです。


× 実戦は33桂成と自然に攻めたようですが33同馬で

後手玉が堅くなってしまいました。72角86飛66香に62金

馬が守りについたので、強く角を取りに来られました。ここから51銀(勝負手)同玉63角成同金同香成42玉に22香

と勝負手を連発しましたが、31玉21香成同玉45桂22馬

馬の守りが強すぎて攻め切れませんでした。


× 馬を引かれないようにする工夫は66角

と合わせる手ですが、66同馬同歩35桂36銀77と79金87飛成

攻めが1手遅れるわけで、67と を見られて寄せ合い負けです。


× 66銀なら

馬を切られにくいですが、76馬79香77と

88香87歩77香54馬

守ったようでも88歩成がありますし、攻め駒が減ってしまいました。


○ 有力なのは56香と据えて

53の地点を狙う手です。これなら45桂も働きます。44銀に72銀

飛車を捨てられたら重い銀ですが、今なら飛車を逃げるしかないです。82飛(84飛86飛なども)61銀不成

と使えるのが良い感じです。金をかわすと71角があります。52金を取って53桂成からの殺到を狙います。

85飛とかわせば96角

86飛63角成同金同銀成78と同金同馬53香成

と角を切って攻めていけば寄り筋です。(31玉に24歩同歩23歩)

後手が銀を逃げず(53を守らず)に78となら

78同金同馬55香打41桂53香成

桂を打たせて清算するのが工夫したところで、53同桂同桂成同金同香成同玉45桂42玉53角

41玉に33桂不成同桂21銀

と寄せていきます。


○ 56香を打たずに72銀もあって

やはり82飛には61銀不成

と使います。

85飛には

前にやった96角もありますが、66香51桂61銀不成62金71角

という攻め方もあります。66香51桂を交換しているので馬を守りに使われないのです。
61金53角成41玉33桂不成同桂62銀52金56香

と食いついてしまえば勝ち筋です。


× 72角と打てば

82飛には83銀72飛同銀不成

飛を取れるのがメリットです。

ただし86飛などかわされると

61角成78と同金同馬56香

同じように迫るのですが、52馬がもったいない感じ(61銀で52銀成とするのとは違う)で、44銀62銀89飛成

馬を切る変化がないと攻めにくいのです。89飛成にはなにか駒を打って受ける必要があるわけで、これは後手有利です。


☆ まとめ
「終盤は駒の損得よりも速度」ということは(例外のほうが多そうですが)寄せ合いを考えるなら心がけておくほうが良いです。
攻めるなら多少の駒損でも食いついてしまえばよい、けれども攻め駒の数は気にしましょう。この問題では33桂成は駒得でも後手陣が堅くなって失敗です。後手から見ると33桂成とされるのは駒損だけれども33同馬で堅くなるからよし、と見ていたわけです。

5枚の攻め駒があったので、56香と据えて、53の地点で清算するのを決め手に寄せを組み立てます。清算すると攻め駒が1枚減りますが、まだ4枚あるので大丈夫です。
香から使うのは、持ち駒に香が2枚あるから+小さな駒から使う という2つの原則に合致しています。持ち駒が多い場合は複数ある駒を使うほうが後の選択肢が多いわけです。小さな駒から使えば渡した時の反撃が弱いですし、残った戦力もまだ強いわけです。

ということで56香が本線。72銀82飛61銀不成と再活用することを組み合わせます。また、56香を含みに72銀を先に打つのも成立しました。
変化によっては66香と打ち、77馬の利き筋を止める手も考えます。

72角と角から使うのは、飛車を捨てられにくいというメリットはあるのですが、この場合は逃げられた後に61角成がやや甘い(52馬と切ると戦力不足、数はあるけれど性能が悪い)感じで少し足りません。

そういう攻め筋を考え、組み合わせながら後手玉に食いついていく順を選びましょう。

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大山将棋研究(617);四間飛車に居飛車穴熊(勝浦修)

2017-08-20 | 大山将棋研究

☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?

☆ 今日の棋譜20170820
昭和56年10月、勝浦修先生と第14回連盟杯争奪戦です。連続で当たりました。

大山先生の四間飛車に勝浦先生は居飛穴です。

83銀を見て右銀で攻めに行きました。

大山先生は金が離れているので45歩などは指しにくく、43に金を上がって受けます。つい43飛同金43銀とするのは45歩で悪い、ということになっています。居飛穴なら少し違うのかもしれませんが。

角交換になり

勝浦先生は銀を追われたのですが強手で返します。

大山先生は角を打ってから銀を取り合い

もたれて指します。

勝浦先生も角を打ち

香を取ればやや有利です。

大山先生は43の金を42~52と引き付けます。これが一番多く言われる「大山流」なのですが、どうも本局については疑問だったようです。つまり55馬には43の金を54に上がればよいですし

33に と金を作られてしまいました。

勝浦先生が得した香を66に打つのは好点ですが

大山先生は金を形よく上がり、と金を使われないように渋く歩を打って守ります。

24銀を取られても79金を取れれば得をしているものなのですが

銀を埋められてしまうとあまり得でもないですね。ここで継続の攻めが難しいのです。

金を打って飛をさばきましたが

51飛で金取りです。気合いで65歩と突きだしましたが

21飛行成の時に角しか持っていなくて、81飛成を許してしまいました。

この中段玉で粘れれば良いのですが、65桂から

53に捨てられて44と これで寄り筋です。

竜を切られて

投了図。

勝浦先生のほうに悪い手がなくて、45銀の強手、55馬から66香の攻め筋があって、リードを守り切りました。寄せも速いです。大山先生らしい手も多くて、後手をもって並べても学ぶものがあると思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:勝浦修8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 5七銀(48)
14 4三銀(32)
15 7七角(88)
16 7一玉(62)
17 8八玉(78)
18 8二玉(71)
19 9八香(99)
20 9四歩(93)
21 9九玉(88)
22 5二金(41)
23 8八銀(79)
24 6四歩(63)
25 7九金(69)
26 7四歩(73)
27 2五歩(26)
28 3三角(22)
29 3六歩(37)
30 9五歩(94)
31 5九金(49)
32 8四歩(83)
33 6九金(59)
34 8三銀(72)
35 4六銀(57)
36 7二金(61)
37 3五歩(36)
38 3二飛(42)
39 3四歩(35)
40 同 銀(43)
41 3八飛(28)
42 4三金(52)
43 7八金(69)
44 6二飛(32)
45 2八飛(38)
46 4五歩(44)
47 3三角成(77)
48 同 桂(21)
49 3五歩打
50 2五銀(34)
51 4五銀(46)
52 3九角打
53 2七飛(28)
54 4五桂(33)
55 2五飛(27)
56 2四銀打
57 2七飛(25)
58 4八角成(39)
59 4六歩(47)
60 5七桂成(45)
61 6六角打
62 4七歩打
63 1一角成(66)
64 4九馬(48)
65 2八飛(27)
66 4二金(43)
67 5五馬(11)
68 5二金(42)
69 3四歩(35)
70 4八歩成(47)
71 3三歩成(34)
72 5八と(48)
73 6六香打
74 5四歩(53)
75 同 馬(55)
76 6三金(52)
77 4四馬(54)
78 4二歩打
79 2三と(33)
80 5九馬(49)
81 2四と(23)
82 6九と(58)
83 3四と(24)
84 7九と(69)
85 同 銀(88)
86 6九馬(59)
87 8八銀打
88 5二飛(62)
89 5五歩(56)
90 5六金打
91 4五馬(44)
92 5五飛(52)
93 同 馬(45)
94 同 金(56)
95 5一飛打
96 6五歩(64)
97 2一飛成(28)
98 6六歩(65)
99 8一飛成(51)
100 7三玉(82)
101 5一龍(21)
102 5三歩打
103 6六歩(67)
104 5六角打
105 6五桂打
106 6四玉(73)
107 5三桂成(65)
108 同 金(63)
109 4四と(34)
110 6三金(53)
111 8三龍(81)
112 同 金(72)
113 5三銀打
114 7三玉(64)
115 7一龍(51)
116 投了
まで115手で先手の勝ち

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大山将棋研究(616);四間飛車に左46銀急戦(勝浦修)

2017-08-19 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170819
昭和56年10月、勝浦修先生と第29回王座戦第1局です。この時はノンタイトルですが3番勝負の挑戦制でした。

大山先生の四間飛車に勝浦先生は急戦で

16歩に52金左、昔の大山先生なら32金を残すのですが、この頃はあっさり金を締まります。

勝浦先生の左46銀急戦になりました。

大山先生は32銀と引いて、これには37桂~26飛~35歩というのがよくある展開なのですが、本局の勝浦先生は堂々と仕掛けました。

角交換から55銀とかわし(34歩46歩33歩成同桂46歩というほうかとも思いましたが)

64の歩を取って34歩で攻撃続行です。

銀を捨てて桂を取って飛が成る、というのは居飛車がうまくいった感じがしないのですが、34の銀が不安定なので難しいようです。

大山先生は飛をさばきます。

勝浦先生は角を打って香を取り、2枚換えで竜馬ができていますから駒得です。

大山先生は駒損でも自陣角を打って銀をかわし、粘りに行きます。ゆっくりした流れになれば桂香を拾って駒得になるという考えです。

勝浦先生は桂香を利用して攻めます。55馬から7筋に手を付けて、かなり厳しそう。

大山先生は飛と馬を交換してしのぎます。

勝浦先生は香を打ち込んで攻めの継続ですが急ぎすぎかも。

香を渡すと75香が気になり

歩を成り捨てましたが、大山先生はそれでも香を打って74歩を消し

66桂との取り合いです。

駒損なのですが51竜を捕獲に行きます。

42歩に33角から竜を取って

手順に23角、78玉をにらんでいます。

勝浦先生は角を打って45の銀取りを楽しみに受けますが

これは銀の取り合いを避けられません。

これでも勝浦先生の香得ですが、後手の攻めが速そうです。

16角を打って粘りに行き、銀を打たせてかわしておきます。

結局は寄せ合いになり

金を埋めた先手玉がずいぶん堅く見えましたが

69銀から角切りがありました。69銀には金を逃げないで79銀と埋めるしかなかったか。でも78銀成同銀66桂がありますね。仕方ない進行です。

受けはなくなったので寄せ合いです。後手玉が詰めろか?

大山先生は78銀不成で詰めろ。詰め将棋の名手にはかなり怖いのですが

詰みはなく投了です。

振り飛車党ならぜひ並べておきたい棋譜です。やや悪いというくらいのところを粘りに行っているようで、実は長引けば有利ですよ、と焦りを誘っているのです。懐の深さを感じます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:勝浦修8段
後手:大山王座
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 5八金(49)
14 7一玉(62)
15 6八銀(79)
16 6四歩(63)
17 3六歩(37)
18 4三銀(32)
19 9六歩(97)
20 9四歩(93)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 1六歩(17)
24 5二金(41)
25 5七銀(68)
26 8二玉(71)
27 6八金(69)
28 7四歩(73)
29 4六銀(57)
30 3二銀(43)
31 2四歩(25)
32 同 歩(23)
33 3五歩(36)
34 4五歩(44)
35 3三角成(88)
36 同 銀(32)
37 5五銀(46)
38 3五歩(34)
39 6四銀(55)
40 6三歩打
41 3四歩打
42 同 銀(33)
43 2四飛(28)
44 6四歩(63)
45 2一飛成(24)
46 2八歩打
47 1七桂(29)
48 4六歩(45)
49 同 歩(47)
50 同 飛(42)
51 5五角打
52 3六飛(46)
53 3七歩打
54 1六飛(36)
55 1一角成(55)
56 5四角打
57 3一龍(21)
58 4五銀(34)
59 6六桂打
60 6三角(54)
61 5五馬(11)
62 7三銀打
63 7五歩(76)
64 5六飛(16)
65 同 馬(55)
66 同 銀(45)
67 7四歩(75)
68 8四銀(73)
69 7三香打
70 4一歩打
71 7二香成(73)
72 同 金(61)
73 7三歩成(74)
74 同 銀(84)
75 4一龍(31)
76 6二金(52)
77 5一龍(41)
78 7五香打
79 7六歩打
80 同 香(75)
81 7七歩打
82 6五歩(64)
83 5七歩打
84 4五銀(56)
85 7六歩(77)
86 6六歩(65)
87 同 歩(67)
88 4一歩打
89 4二歩打
90 3三角打
91 3二飛打
92 4二角(33)
93 4一龍(51)
94 同 角(63)
95 4二飛成(32)
96 2三角(41)
97 6七角打
98 2九飛打
99 5九香打
100 5四桂打
101 8八玉(78)
102 4七歩打
103 同 銀(48)
104 4六歩打
105 3八銀(47)
106 3九飛成(29)
107 2四歩打
108 3四角(23)
109 4五角(67)
110 同 角(34)
111 同 龍(42)
112 3八龍(39)
113 1六角打
114 2七銀打
115 2五角(16)
116 6七歩打
117 同 金(68)
118 3六歩(35)
119 5一銀打
120 4七歩成(46)
121 6八金(58)
122 4九角打
123 6二銀成(51)
124 同 金(72)
125 7八金打
126 6九銀打
127 7七金(78)
128 6七角成(49)
129 同 金(77)
130 7八金打
131 9七玉(88)
132 6八金(78)
133 4二龍(45)
134 6七金(68)
135 6三銀打
136 7八銀(69)
137 7一角打
138 9二玉(82)
139 6二龍(42)
140 同 銀(73)
141 8二金打
142 9三玉(92)
143 8三金(82)
144 同 玉(93)
145 6一角成(25)
146 9二玉(83)
147 投了
まで146手で後手の勝ち


コメント
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