名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

SS4-12 先手中飛車に54歩型(12)

2025-01-13 | 基本定跡の研究

後手の工夫を検討していきましょう。

22同銀88銀32玉28玉42金16歩14歩38銀33銀

先手は5筋の歩を交換します。55歩同歩同飛53銀77銀44銀右

ちょっと古い指し方ですが、59飛35歩26歩34銀

玉頭位取りはどうでしょうか。27銀24歩38金25歩同歩同銀26歩34銀

先手は片銀冠へ。後手は1歩交換しましたが、金銀4枚が連結していません。となれば先手が動くチャンスで、54歩52歩66銀85歩77桂

後手は陣形を整えれば無難ですが、先手の8筋は隙がありそうです。遠山先生は書いていませんが、86歩同歩87角85角

72金68金84歩89飛

これは角の取り合いになります。85歩87飛86歩89飛87歩成83歩同飛56角

後手は34銀が浮いていて失敗です。と金は作ったものの、この図の評価値は-292の先手良し。

戻って

86歩同歩同飛のほうが本手です。78金に87歩としたら

遠山先生は75銀82飛83歩同飛56角

両取りがあるから先手有利としているのですが、戻って

75銀には76飛ですよね。66銀86飛

75銀76飛66銀86飛・・・千日手になりそうです。

なので

この場合は75角82飛84歩51金65銀

というくらいの進行で、評価値は+72、少し先手が指しやすいかというくらいのところです。後手としては87歩を打たないで、51金75角82飛84歩74歩

こう進めば少し得ですが、42角成同金89飛86歩同飛95角

という攻防で互角の戦いです。

また遠山先生は87歩のところで89角を解説しています。

この角打は悪手です。75角82飛68金

88飛成は42角成同玉79金で困ります。87飛成も88歩で同じようなもの。74歩には42角成同玉85歩88歩79金

88金~89金は防げず先手優勢です。

というように、玉頭位取りは34銀が浮いてしまうので、後手がちょっと間違えると不利になってしまいます。

 

 

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SS4-12 先手中飛車に54歩型(11)

2025-01-12 | 基本定跡の研究

先手が1手損で角を交換する形の続きです。

22同銀88銀53銀55歩同歩同飛54歩59飛52金右77銀44歩66銀43金77桂

32玉は55歩同歩同銀54歩65桂と強攻されるから (検討して互角でしたが) 33銀28玉52金

後手が慎重に5筋を守った場合です。38銀32玉58金左42金寄89飛

後手が1手損したので手の損得は消えています。先手の飛の動きが得かどうかなのですが、この図では先手の作戦勝ちです。遠山先生は78角に88飛69角成46角で先手有利としているのですが、馬を殺しても交換した金を56に打たれて難しいようです。AIに聞くと、78角には79飛87角成83歩

83同飛には72角82飛63角成62歩83歩同飛72馬、72飛には82角、92飛には71角という調子で先手の反撃がぴったり。この図の評価値は+430の先手有利です。

戻って

78角がなければ (先手が68金と備えておくのもありました) 、後手が85歩を突くかどうかですが、突けば86歩同歩71角

83飛には75銀で飛の詰めろ。

先手有利です。

ちょっと戻って

72飛は53角成同金寄86飛82歩83歩

先手陣に怖いところがなく、優勢になります。

もっと戻って

後手が85歩を突かなければ、45歩86歩35歩85歩同歩同飛

先手は飛をぶつけます。84歩と打っても、後で83歩同飛72角の筋をねらわれるので、85同飛同桂84歩82飛

遠山説は85歩に52歩89飛51歩成

と金を作って41角をねらうのでも良いですし、

単純に85歩81飛成89飛61角

41桂には52歩ですし、34銀には91竜99飛成26桂25銀34香

こういう攻め方でも先手優勢のようです。

とりあえず先手は5筋で1歩交換すると、そのまま5筋を攻める形と8筋を逆襲する形があるとわかりました。明日は後手の受け方を考えてみましょう。

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SS4-12 先手中飛車に54歩型(10)

2025-01-11 | 基本定跡の研究

次は後手が85歩77角を決めない形です。初手から76歩84歩56歩54歩58飛

62銀 (55歩同歩同角の検討は後回しにして) 48玉34歩38玉42玉22角成

後手が34歩を突くタイミングはもっと後にする場合もあります。先手から角を交換しましたが、85歩77角が入っていないので、手損は1手だけで済んでいます。角交換四間飛車に似た「角交換中飛車」という感じでしょうか。22同銀88銀53銀55歩同歩同飛

1手損でも5筋の歩を交換できるのが利点です。後手の受け方がちょっとおかしいのですが、先手のねらい筋を見てみましょう。54歩59飛52金右77銀44歩66銀43金77桂

32玉には55歩同歩同銀54歩65桂

これは先手の桂損になるのですが、55歩53桂成同金71角52飛61銀

攻めは続きます。51飛62角成77角52歩

52同金引同銀成同金51馬同金82飛

遠山先生は先手有利としていますが、評価値は+120、まだ難しいみたいです。AIの読みを追いかけると、42銀81飛成35桂58金左54角

36歩同角26金14角54桂

33銀左42桂成同銀25銀同角同金43銀打

先手は駒得だけど、玉の堅さと攻め駒の数で劣ります。評価値は+61、互角です。

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SS4-12 先手中飛車に54歩型(9)

2025-01-10 | 基本定跡の研究

面白い形を紹介しましょう。私が子供のころに米長邦雄先生の奇襲戦法の本があったのですが、今調べても書名はわかりません。初手から76歩84歩56歩85歩77角54歩58飛62銀、ここまでは見てきたとおりですが、55歩同歩同飛

飛の王手から始まります。42玉48玉 (34歩には78金55角同角33桂36歩~35歩なので) 32玉78金34歩54飛

手順は今でも覚えているのですが、遠山先生の本に、後手有吉道夫先生との実戦として載っていました。77角成同桂45角55飛

27角成25飛54馬24歩

関少年の研究では、24同歩同飛 (23歩には34飛が王手馬取りなので) 44馬

23角42玉41角成同玉21飛成22馬

これが当時の棋力では優劣不明でした。AIに聞くと、22同馬同銀65桂52金54桂

左桂を使うと攻め駒が4枚になるので攻めが続くようです。この図の評価値は+214の先手良し。

ということで

後手の有吉先生は22銀、正着です。23歩成同銀24歩14銀23角

42玉14角成同歩23歩成56歩58歩

ここまでは必然に近い手順です。AIに聞くと、44馬として評価値は-206の後手良しです。実戦では86歩同歩同飛87歩76飛85銀

飛が死んでは後手が指しにくく、評価値は+154です。

長年の疑問が解消しました。

 

 

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SS4-12 先手中飛車に54歩型(8)

2025-01-09 | 基本定跡の研究

先手が28玉とする趣向の続きです。

53銀38銀

この形でもいろいろあって、77角成同桂としても評価値は-82、後手が欲張らずに駒組を進めれば少し指しやすいようです。村田先生は52金右ならば22角成同銀88銀

とするのが、後に71角があるから少し得だと書いていますが、評価値は-87です。後手が指しやすい状況は変わりません。

戻って

32玉には55歩同歩同角同角同飛

53銀が浮いているので44角は無効です。44銀59飛86歩同歩同飛88歩

42銀78金14歩16歩82飛68銀74歩46歩62金45歩33銀引54歩

これで先手十分だとしていますが、評価値は-97です。AIに聞くと、52金上57銀64歩66銀73桂55銀58歩

58同飛は69角があります。58同金86飛47銀76飛77歩86飛

後手は軽く飛をさばいて指せるようで、この図の評価値は-135です。

いずれも手将棋の部類なので何とも言えませんが、後手に分があるようです。

なお後手が玉を固めようと44歩を突く形は

先手が端の位を取って穴熊にしようという図で評価値は-26、互角です。

後手が端を受けた形で

評価値は-34です。後手としてはちょっと損なので、角交換を避けないほうが優ります。

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SS4-12 先手中飛車に54歩型(7)

2025-01-08 | 基本定跡の研究

先手が28玉とした形の続きです。

32玉78金を入れて、77角成同桂86歩同歩同飛 (王手飛車を避けた)

AIに聞くと、88銀82飛38銀

この図の評価値は0付近の互角です。ところが

村田先生は後手を持って、先手に38銀とされたそうです。しかも前例があると。89飛成に88銀が新手、69角があるのですが

79金58角成同金78飛

派手な手が続きます。89金58角成66角

後手の駒損ですが先手玉は薄いです。55歩79銀56歩11角成57歩成49香

AIに聞いてもこの辺りの評価値は揺れ動きます。実戦進行は22銀12飛31金65桂

これで先手有利になっていて、58竜86角64金

22馬同金41銀33玉22飛成同玉64角

きれいに先手が勝ち切りました。

途中のこの図で

AIの評価値が揺れ動くのですが、67と82歩

桂馬を取り合うのが有力な変化です。22金81歩成77と46桂88歩

後手は駒得を目指しますが、取るのが遊んでいた桂金銀なので善悪不明です。34桂89歩成86角12金打

22桂成同金77角79と

とりあえず角香と金銀桂の交換で後手の駒得です。12金33歩21金44桂

36桂打をみた攻防手。25桂24銀44角

44同歩36桂25銀

22金同銀44桂42玉22馬56桂

ここまで進んで評価値は-575の後手有利 (先手玉は詰めろ) です。だから戻って67と以下の手順は後手ペースだったと確定します。

人間が指したら良い勝負だとしか言えませんが、踏み込めば後手に分があるようです。

 

 

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SS4-12 先手中飛車に54歩型(6)

2025-01-07 | 基本定跡の研究

先手の趣向が続きます。村田先生の本から

これまでは68銀としていたところ (昨日は22角成でしたが) で28玉。後手の指し方はいろいろありそうですが、77角成同桂86歩同歩87角

馬を作れるので後手が良さそうですが。78金76角成85歩

後手は歩損しないで馬を作った駒得です。でも馬を自陣に戻すのが難しいようです。32玉55歩同歩同飛

86馬84歩同飛66角

82飛83歩同飛84歩82飛56飛

角を成るのと馬を素抜く筋があって先手有利、評価値は+382です。

AIに聞くと、この図から

86歩88銀53銀

この図の評価値は-122、後手ペースなのでしょう。55歩同歩同飛には44銀56飛75馬

という調子で、馬が安定すれば後手がよくなっていきます。

先手としては85歩が甘いようです。単に55歩同歩同飛とさばいて

86馬に84歩

取れば75角で馬を消します。32玉83角51金右65角成84飛38銀

この図の評価値は0付近の互角です。駒の損得なしですね。

 

 

 

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SS4-12 先手中飛車に54歩型(5)

2025-01-06 | 基本定跡の研究

先手の趣向で

先手から角を交換する形を、村田先生が書いています。でも77角~22角成なので2手損です。先手が良くなる理屈はないのですが、22同銀88銀33銀55歩同歩同飛

5筋の歩を交換できるから、手詰まりになりにくいという利点はあります。32玉77銀74歩

この時にちょっと気を付けねばならないのは、28玉44銀59飛75歩同歩65角

この筋があります。でも38銀87角成76角86歩88歩76馬同銀で大丈夫ではあるのですが。この図の評価値は-100なので、先手は避けたほうが良いのでしょう。

戻って

AIに聞くと、78金14歩16歩44銀59飛64歩28玉63銀38銀42金

44銀と出ておく駒組を勧めてきます。この図の評価値は-115、先手は1歩持ったけれども、66銀とは使いづらいので思わしくないようです。

村田先生の書いている、44銀としない図では

評価値は-15の互角です。54歩の垂らしも気になりますか。

手将棋ですが、後手が悪いことはないです。

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SS4-12 先手中飛車に54歩型(4)

2025-01-05 | 基本定跡の研究

またこの図に戻って

44歩と74歩は検討しました。遠山先生は22玉66銀32金77桂

後手が玉を深く囲った場合についても解説しています。86歩同歩同飛には65銀

65同銀同桂で王手飛車が残っています。後手としては33角が最善で、それでも少し悪い (評価値は+78) のですが、85飛も良さそうに見えます。でも55歩と突かれて

65飛は83角が両取りですね。先手優勢とされていますが、評価値は+297、まだ15歩同歩65飛83角55飛・・・ちょっと難しいようですが先手が良いです。

戻って

86歩同歩同飛は危険でした。74歩を突いて待つと、それでも65銀同銀同桂

53銀、73銀、77角、46角、55歩など先手のねらいが多いです。64銀66歩までは仕方がないところでしょう。

銀を打たされて後手が少し悪そうです。33角77金65銀

とするのは後手の勝負手です。これに対しては46角も有力ですし、55歩同角同飛

55同歩65歩とするのがすっきりしています。79飛には46角

王手飛車をねらえるので先手有利です。評価値は+570

また戻って

後手は王手飛車などを避ける必要があります。44歩が正着で、75銀同銀同歩

ここで分岐します。平凡に43銀は55歩同歩同飛54歩59飛

45歩65桂64銀66歩

また銀を打たされた図で、評価値は+122.遠山先生は先手の作戦勝ちとしています。

分岐に戻って

86歩同歩同飛と動くのが積極的です。74歩同歩55歩73桂

54歩58歩同飛89飛成79歩52歩

遠山先生は55角があるので互角だとしているのですが、84角と打ち合った図で

評価値は-288の後手良しです。角の打ち合いはともかく、後手が竜を作っているので指しやすいようです。

ということは

AIに聞くと、ここで54歩は最善ではありません。87歩76飛54歩57歩

68金56飛57飛同飛成同金

この図の評価値は-15の互角です。

また分岐に戻って

遠山先生は24角55歩68銀

ひねった手も解説しています。56飛55歩66飛69銀不成63飛成

互角としていますが、評価値は+212の先手良しです。

後手としては55歩を取るよりも、57角成66飛69銀不成63飛成

こっちのほうが馬ができています。でも歩切れなので62飛同竜同金82飛58銀不成

受ける手もないので寄せ合いでどうか。62飛成49銀不成同銀59飛48金51金

銀損で受けに回るようではちょっと苦しく、この図の評価値は+267の先手良しです。

後手が玉を深く囲うのは、せいぜい互角でつまらないです。

 

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SS4-12 先手中飛車に54歩型(3)

2025-01-04 | 基本定跡の研究

またこの図に戻って

74歩に66銀では先手が面白くありませんでした。74歩に66歩を選んで、44歩65歩

遠山先生は軽い指し方も解説しています。65同銀に68銀

銀を引くのも軽いです。放置すると67銀~77桂ですし、66銀には48角です。76銀55歩86歩同歩同飛

54歩に58歩同飛89飛成

後手の調子が良いですが、53歩成が残っています。79金に竜は逃げられないので67銀成

遠山先生は89金58成銀同金の図を

形が乱れるからと嫌うのですが、評価値は+412の先手有利です。

ちょっと戻って

67同銀79竜53歩成

先手が指せるとしていて、評価値は+106、いずれにせよ後手としては思わしくありません。

戻って

後手としては53銀66銀43銀

じっくりと駒組を進める方が優ります。75歩同歩同銀52金右74歩45歩

先手は歩切れなので、まだ73歩成は怖くありません。55歩同歩同飛44角77角

遠山先生は55角同角は先手優勢だからというのですが、この図の評価値はまだ-57で後手に振れています。

AIに聞くと44角を33角に替えて、77角42金寄56飛52飛

この図の評価値は-213の後手良しです。33角成同桂の形は好都合で、54銀直とか44銀とか、後手にねらいが多いです。

ということで、先手が軽く歩を突く指し方もうまくいかないようです。

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