このブログでも何回か書きましたが、私はアイドルはプロレスと似ていると思っています。エンターテイメントとリアルバトルとの狭間で、その両者をいかにバランスよく見せ、ファンを楽しませるか?アイドルというジャンルもリアルラブではなく、リアルな芸術性を追求している訳でもなく、それでも目を離せないエンターテイメント性がそこに存在していると思います。
例えば今のハロプロは歌やダンスを売りにしているので、強さや技を見せるストロングスタイル。AKB48はまず楽しませる事に主題を置いたエンターテイメント系。何だか大げさにさえ見えるストーリー仕立てな活動は、試合内容そのものよりサイドストーリーを見せる事が大切になっているアメリカンプロレスのようでもあります。日本で例えるなら、少し前に話題になったハッスル。ハッスルはレスラーではない人もリングに上げていました。例えばインリンさん。常識的に考えればセクシータレントがプロレスラーと試合など出来る訳がないのですが、その非常識な組み合わせをエンターテイメントとして昇華させたのがハッスルでした。
この素人がリングに上がってプロレスをするという、いわば不可侵領域へのアクセスという部分が、歌っているように見せる口パクとどこかイメージが被ります。「まあ、堅い事言わず楽しみましょう」となれるかどうかの踏み絵みたいな存在。私は素人がリングに上がるのは反対派ですが、ハッスルはそれなりに楽しんでテレビ観戦していました。プロレス記者がプレゼンテーターとしてリングに上がる時、なぜ靴を脱いで上がるのか?その意味を理解している方なら、本当は素人がリングに上がってほしくはないという私の気持ちも理解していただけるでしょう。
では、ももいろクローバーはどのジャンルに当てはまるのか?彼女達はルチャリブレ(メキシカンプロレス)にアメリカンとストロングを掛け合わせた感じだと思っています。メキシコのプロレスラーは小柄ながら、色とりどりの覆面を被って華麗な跳び技を見せます。ももクロちゃんのアクロバットな部分がまさにそれです。そこにさりげなく混ぜてあるストロングな部分と、様々な演出を加えた見せ方をするアメリカンな部分。
ももいろクローバーが初見の人でもその魅力に気づきやすく、ハマりやすいのは、そういうエンターテイメントな部分の輪郭がハッキリしている事にあるのではないかと思います。
昨日、「しゃべくり007」という番組にももいろクローバーが出演しました。メンバーは自己紹介をしながら特技を披露。かなこぉはアクロバットを見せ、あーりんはぬいぐるみと会話する。最後はメンバー全員が「男性の腕まくりをするしぐさに弱い」というプチ情報も披露。のストロングとエンターテイメントを取り混ぜた見せ方はまさにももクロちゃんの真骨頂だったと思います。ももクロちゃんをよくわからない視聴者もそれなりに楽しめたに違いない。
しかし私は笑いながらテレビを見つつ、エンターテイメントと一言で言っても見せ方は色々ある筈だとも思うのでした。さゆみたく悪役レスラーになる生き方も立派なエンターテイメント。
現在アイドルとバラエティというとAKBとアイドリング!!!が代表格でしょうか。この両者を語る時によく言われるのが、「バラエティで体を張っている」という事。でも、ぶっちゃけて言えば体を張るという笑いの見せ方は「覚悟」があるかどうかというだけで、それならば素人でも出来る。いわば凶器を使って闘うデスマッチみたいなもの。
AKBはどうかわかりませんが、アイドリング!!!の笑いの部分の見所は「間の置き方」にあると思っています。誰かが変な事を言った時のズッコケ方。誰かが体を張った時に駆けつけるタイミング。こういう動きが実によく教育されているなと想いながら番組を見ています。これは素人には簡単にすぐ出来ないエンターテイメントです。
しかし、そういう「間」とか「空気」とか「動き」ってなかなか一見さんには伝わりにくい。アイドリング!!!大相撲みたいな体を張った笑いは一見さんにも伝わるとは思うのですが、間がどうのなんてパッと見では伝わりにくい。
あかりんはそういう意味ではパッと見で伝わりにくいのかもしれない。「ミライボウル」のMVでの男装などわかりやすく魅力が表現されている例はあるけれど、昨日のバラエティみたいな場では彼女はどこか浮いて見える。やはり、早見あかりの居場所は現代アイドル界にはないのか?
ないのならば作ってしまえばいい。ももクロスタッフはプロレスファンらしく、演出には様々なプロレス的な演出が取り入れられていますが、そこにヒントがある。
私は密かに思っています。「次のシングルでボーイッシュを通り越して、美少年そのものな子が新加入する」。髪の短いその美少年な新メンバーはひたすら男の子のように振る舞う。特技は「腕まくり」だ。
そうです。すでに着々とネタは撒かれているのです。なんてね(苦笑)。