「日本は狭い」という人がいます。面積は確かに狭いかもしれないけれど、日本は南北に非常に長い国。今の時期に北海道に行けば氷点下10度以下の極寒の真冬。しかし、沖縄に行けば20度を超える暖かさ。
私は昔、9月に鹿児島の志布志という町から北海道の稚内まで鈍行を乗り継いで縦断をした事がありますが、日本はなんと広いのだと実感しました。気候、風土、文化、気質、地域が変われば全て変わる。
社会人になると時間的制約などで旅行はついつい飛行機や新幹線や高速道路を使った移動になりがちですが、鈍行や路線バスで移動してみると日本の広さを実感出来ると思います。
昨夜は岡山に泊まりました。当初の予定では広島県内を考えていましたが、翌日の移動の事を考えてもう少し東に移動しました。
iPhoneからウェブ予約して訪れた格安料金なホテルは、ホテルというより旅館と呼んだ方が良さそうな建物でした。小さなロビーのフロントには誰もいない。間もなく私の後ろから、玄関先で携帯て話をしていた女性が入ってきました。この方が支配人、という表現よりも「女将さん」と呼んだ方が合いそうな、つまり旅館みたいなホテルの女将さんでした。
料金を支払いながら雑談をしました。「岡山は晴れの国と呼ばれるくらい気候が暖かい土地」、「私は岡山には何回かわからないくらいやって来ているが、泊まるのは今日が初めてだという事」、「次はサッカー(J2のファジアーノ岡山)を観に訪れたい」などの話をしました。女将さんは是非またここに泊まってくださいと笑顔です。
女将さんから部屋で飲んでくださいとインスタントコーヒーのセットをいただき、「エレベーターが無くてごめんなさいね」という、鉄筋ながら古びた旅館みたいなホテルの、少し煤けた階段を上り部屋に入りました。
部屋は割と広くて、ベッドもセミダブル。ガラステーブルを挟んでチェアが二つ。料金が安いのですから、これで充分です。私は風呂に入り、やっと落ち着いた気分で、コンビニで買ってきたウイスキーを開けました。そして、テレビをつけました。
今日は東に向かって電車を乗り継いできました。岡山も神戸も大阪も京都も名古屋も浜松も快晴。東に向かう電車は変わらない日常を乗せて走っている。私は青空を見上げながら、広い空はずっとこの先のどこかまで続いている。どんな場所にも太陽は昇ると思いながら、日常を乗せて走る電車で想いを巡らせていたのです。