この御堂筋が美しい理由は街路樹の銀杏と、建物の高さが百尺(現在、制限は緩和されている)に統一されていることにあるのでしょうね。
自動車の時代が来ることを先読みした大正時代の偉人には尊敬です。
そのモダンな御堂筋の、商業施設の代表格は心斎橋の大丸とそごうの両百貨店です。
大丸心斎橋店は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計、1933年竣工の重厚なネオ・ゴシック様式の名建築。
一方のそごうは村野藤吾設計、1935年竣工のモダニズム建築の傑作だったが、バブル期の無理な出店戦略が災いして業績が悪化。
この心斎橋店も閉店後、あっさり解体されてしまいました。
民事再生手続きの終了後、御堂筋の容積率の規制緩和を機に、再起を期してこの心斎橋の地に地下2階・地上14階、約40,000m?の売り場面積を誇る百貨店を再オープンしたのが2005年のこと。
先日、その心斎橋そごうが大丸に売却されるとの報道があり、衝撃が走りました。
でも冷静に考えれば理解できなくもない。
大阪2011年問題と呼ばれる、市内、各百貨店の新規出店・建て替え・増床の大半が出揃う2011年以後の「パイの奪い合い」競争に、そごう・西武連合が利あらずと見て早くも撤退を決めたのでしょう。
一方の大丸も、ヴォーリズ設計という歴史的価値のある建物によって、増床をしたくてもできない状況の中、真横の約40,000m?の売り場は魅力的であるに違いない。
この際、大丸にはそごうの建物に売り場の大半を移ってもらって、現建物を竣工時のモダンな姿に戻して、高級ブランドを中心としたなど、プレミアムな構成にしてもらいたいもんです。
その際は、売り場増床のために潰してしまった大吹き抜けと、大食堂の再生もお忘れなく。
ところで、そごうが大丸になると、「大丸、そごうを東へ…」と歌う「カメラのナニワ」のCMソングはどうなるのでしょうねぇ…