花にまつわる幾つもの話

子供時代の花にまつわる思い出や、他さまざまな興味のあることについて書いていきたいと思ってます。

天然石標本~スコレス沸石~

2010年08月24日 | 天然石標本
変わった形状の天然石第五弾としてご紹介するのは
和名『スコレス沸石』――スコレサイトです。
沸石(=ゼオライト)グループの仲間で
針状結晶が放射状に束になったものです。
そのユニークさは説明するまでもなく一目瞭然ですね。
鉱物に分類するにはあまりにも不思議な天然石です。
天然石コレクターでなくても
ちょっぴり好奇心をそそられてしまうのでは?


購入したのは以前のブログでも紹介した
新宿ショーと呼ばれるミネラルマーケットにて。
グリーン魚眼石と同じく、インド人の老舗のお店でした。


『Scolecite』
India産





細い透明な針が集まった針山のような形状をしています。
指に刺さると棘みたいに若干痛いです。
非常に脆く壊れ易いので
撮影のため、保管箱から取り出す際には
細心の注意を要しました。
(それでも数本折れてしまいましたが・泣)





横から見た画像です。
透明な先端部分の光の反射が
絹糸の光沢に似て艶々しています。





真上から見た画像です。
針の部分がもう少し太いタイプ(いわゆる柱状ですね)や
もう少し細身の束は結構よく見かけますが
これだけ綺麗に丸く広がったものは
意外と珍しいのかなと思いました。


あまりにも脆いので
研磨して宝石にするのは不可能と思われていましたが
近年、宝飾品として加工されたものもあるようです。


ちなみに名前の由来はギリシャ語で『skolex』から。
熱を加えることで虫のように曲がることからきているそうです。


今週末は旅行に出かけるため
次回更新は来週木曜日になります。
来週で変わった形状の天然石紹介は
とりあえず終了です。



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天然石標本~空晶石~

2010年08月18日 | 天然石標本
今週二度目のご紹介は
キャストライト――空晶石です。
別名クロスストーンとも呼ばれるこの石は
天然石コレクターの間ではとても有名ですが
一般的にはあまり聞きなれない鉱物かと思います。
キャストライトは接触変成岩(=ホルンフェルス)中で
産するアンダリュサイト(和名『紅柱石』)の変種で
長柱状結晶の横断面に十字状に炭素質を含み(=インクルージョンと言います)
“砂時計構造(砂が落ちる部分のくびれ部の形に似ることから)”を示します。
この構造を“空晶石構造”といい
そのため和名を『空晶石(くうしょうせき)』と名付けられました。
ちなみにキャストライトの由来は
ギリシャ語の対角線的な配列の意味『chiastos』からです。


『chiastolite』





黒い十字部分が炭素質です。
画像はキャストライトのタンブルです。
外見は地味ですが、珍しい形状という意味では
一、二を争うかと。





かなりはっきりと十字模様が確認できますね?
自然が産み出した造形美はとても不思議です。
他に十字の形をした天然石として
スタウロライト、その名も十字石というのがありますが
こちらについてはまた後日ご紹介したいと思います。





裏面です。
天然のものなのでちょっぴりキズがあります。


ネットで調べたところ
クリスマスの日が誕生石という聖なる石だそうです。
十字模様がキリスト教との関連性を
イメージするのでしょうか。
宗教的な繋がりの強い石と言われています。
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天然石標本~クリソベリル~

2010年08月16日 | 天然石標本
変わった形状の天然石第三弾は
クリソベリル――金緑石をご紹介します。
名前の由来は、ギリシア語で黄金を意味するkhrusosと
beryl=緑柱石の造語から。


クリソベリルの名称よりもむしろ
変種としての『アレキサンドライト』(=1842年ウラル山脈で発見。
時のロシア皇帝“アレキサンダーⅡ世”に因んで命名。
太陽や蛍光灯の光では緑、ランプや電球の光では赤く見える。
変色効果はこの宝石で始めて見出された現象)の方が有名かと思います。


クリソベリルは、多くの宝石鉱物の中で産出はかなり稀で
産出地自体も少ない天然石です。
同様に、宝石名でもあるアレキサンドライトも
非常に稀少なため、とても高価な宝石の一つとなっています。
また、クリソベリルの方は
双晶することにより星形となった美しい結晶は
コレクター垂涎の的です。
斜方晶系の鉱物なので、本来六角形にはなりませんが
“輪座双晶(りんざそうしょう)”と呼ばれる
三つの結晶が互いに貫き合い重なった結果
六角星の形となるそうです。


このクリソベリルの輪座双晶タイプは
私にとって長年の憧れでした。
まだ一度として完璧な結晶形としての実物を見たことはなく
唯一、ネット上でコレクターの方が公開しているのを
目にした限りです。
値段は恐らく標本としては
目が飛び出るぐらい破格かと(苦笑)


『Chrysoberyl』





輪座双晶の半欠片です。
いわゆる三つの結晶部分ですね。
購入したのは、以前ブログに載せたアパタイトボールと同じ
ジェムアート展にて。
ひっそりとさりげなく店頭に並んでいて
名称の記載もなく(アートに力を入れているせいか
標本カードや産地名の明記がされていない石が多かったです)
店主も白人男性だったので
あえて尋ねる勇気もなく(たまたまだったのか
通訳の方もいなくて)
それでも、名前のとおり金色がかった色合いと
宝石質の独特の結晶形でクリソベリルだと判りました。






星の結晶部分がよく見て取れます。
これがもうあと半分あれば完全な
輪座双晶になるのですが(苦笑)
画像では小さすぎてわかりづらいですが
透明度が高く、とても美しい一品です。





反対側から見た画像です。


実はこのクリソベリル
サイズが米粒程度でかなり小さめですが
思いがけずも安い値段で入手できました。
恐らく、通常のミネラルマーケットでしたら
これだけの結晶なら倍以上の値段がついても
おかしくないはず。
そこがやはりジェムアート展なわけですね(笑)


次回更新は木曜日を予定しています。
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天然石標本~溶解アクアマリン~

2010年08月12日 | 天然石標本
今週二度目にご紹介する変わった形状の天然石は
溶解アクアマリンです。


アクアマリン――藍柱石(または藍玉とも)は
ベリル(=アクアマリンとエメラルドを含む
一連の石に対するグループ名。
あるいはベリリウム鉱物の総称。和名は緑柱石)中で
特に淡青色をしたものを指します。
同族のエメラルド(こちらも和名は緑柱石)に比べると
大型の結晶になりやすく、インクルージョンが少ないのが特徴です。
また、アクアマリンを始めとするベリルの特徴は
結晶が六角柱に成長することにありますが
この溶解アクアマリンは、熱水鉱床で溶解結晶した
ちょっと不思議な形をした石です。


入手したのは通称『新宿ショー』と呼ばれる
ミネラルマーケットでした。
添え書きの標本カードにより
アクアマリンと判明しましたが
軽い手触りや繊細な外見から
最初、鉱物というよりも
プラスチックか何かかと思いました(笑)


『Aquamarine』
 Minas Gerais,BRASIL産





発色の原因は鉄が含まれるため
画像の溶解アクアマリンは
とても淡い水色をしているので
一見すると無色透明にも見えてしまいます。





中央部分に少しだけ六角柱の名残がありますね?
本来のアクアマリンよりも透明感があって
水面に輝く光の反射のようにキラキラしています。





上から見た画像です。
こういった淡い色合いの天然石を
撮るのは難しいです。


アクアマリンは文字通り『海の水』を意味し
かつてヨーロッパの船乗り達は海難除けの守護石としていたそうです。
3月の誕生石としてもよく知られていますね。
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天然石標本~パイナップル・アメシスト~

2010年08月09日 | 天然石標本
先週までは青い天然石についてご紹介してきましたが
今週からは珍しい形の天然石特集をしたいと思います。


第一弾は、過去ブログにも
何度も登場したアメシスト――紫水晶です。
紫水晶は色形とも、変り種がとても多い天然石の一つです。
その中で今回ご紹介するのは、
ウルグアイ産の通称『パイナップル・アメシスト』
(こちらはフォールス・ネームというよりは
むしろその形状から名付けられたような気がします)
と呼ばれる紫色が鮮やかで美しいクラスター(=群晶)です。


『Rose do France』の回でも書きましたが
本来の意味での紫水晶の色合いはこちらが主流で
水晶の色変種の最高位に位置します。
また、加熱すると変色、脱色し、光によっても退色するので
取り扱いには注意が必要です。
このへんはローズクォーツと一緒ですね。
ちなみに発色の原因は、微量に含有された鉄イオンといわれています。
色ムラが少ないほど、高品質のアメシストとなります。


『Amethyst』





玉髄を中心に紫水晶の結晶が成長した結果
こんな風変わりな形になりました。
パイナップルというよりは、ウニみたいですよね?





水晶の結晶としても一つ一つが非常に端整で
色もくっきりしています。






上から見た画像です。
根元部分が若干白っぽいのがわかるでしょうか?


アメシストは2月の誕生石です。
語源の意味は、ギリシャ語の『amethystos』="酒に酔わない"から。
その由来どおり、昔から悪酔いを防ぐ効能があることで知られています。


次回更新は木曜日です。
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