北風の向こうから、春がやってきた。
頭のてっぺんで柔らかな日差しが、静かにまどろんでいる。
同時に快いけだるさが足元からゆるゆると昇ってくる。
そう、春とは何と素晴らしい季節なのだろうか。
道端に咲くタンポポの黄色が鮮やかだ。
時折、ほの暖かい風が頬をかすめていくのが気持ちいい。
私の靴音が、軽やかにアスファルトに響く。
そこの犬小屋では、大きな黒犬が体半分はみ出したまま眠りこけて
いる。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/dog_sad.gif)
道端で、びしょ濡れの雨蛙が、腹を見せて、日光浴の最中だ。
おい、どうだ。
こんな日に部屋にこもって出てこないなんぞは、どう考えても、
犯罪だぞ。
同じごろ寝でも、野っ原で太陽の光をいっぱいに浴びながらのほうが
よほど気持ちがいいというものじゃ・・・
ええっ?! まぁ・・・、それは人それぞれ、
・・・分かった!!、分かった!! 好きにするさ。
確かに、お前は、昨晩徹夜だったものな。
いいさ、好きなだけ布団でも、何でもひっ被っているさ。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0202.gif)
俺は一言、言ってみたかっただけだ。
そう、言うべき時に言うべき事を言う勇気を持たないと、結局何も
言えなくなる。
そんな気がしたんだ。
そう・・・、で、俺は表に、お前はここに・・・。
・・・・・
痛っい・・・!!![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0144.gif)
横から何かが勢いよくぶつかってきた。
まぁ、よくある事だ。
・・・・・・・・・。
瞬間、見回したが、何がぶつかってきたのか?
それらしき物は何も見えない。
野良犬か、それとも野良猫か、・・・まぁ、そんな事はたまにある。
・・・エッ? 犬や猫がたまにでもぶつかってくるかって・・・?
そりゃ、あるだろう。
けど、見回してみたが、犬も、猫も、鳥も、近くには見えない。
何も見えない。
まわりがやたらに明るい。
何やら、騒がしい。
何、何だって・・・?
何故か、背中が温かい。
この光の柔らかさ・・・!!
あぁ、満ち足りた気分・・・などと言うのはあまりに陳腐だ。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0199.gif)
今は春・・・。
柔らかな風。
眠気を誘う心地よさ。
世界は今、春真っ盛り・・・。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0001.gif)
すぐ向こうで、騒々しい足音と物音が聞こえる。
こんないい日に、よりによって・・・、どなたかは知らぬが、何と
も因果なお仕事だ。
近くで、また犬の声・・・。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/dog_happy.gif)
傷んだ外套を着た男は、快い振動に運び去られた。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0034.gif)
後に、盛んに吠え立てている野良犬。
ひそひそとお互い呟き合いながら、その場を離れがたそうな野次馬。
プファー、プファー・・・、プファー、プファー・・・、
これは、何と間の抜けた音なんだろう。
それにしても春、・・・どうにも、眠くて仕方がない。
このまま、眠り込んでしまっても、後で誰か起こしてくれるよな。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0197.gif)
北風が、心地よく足元をすくって通りすぎていく。
<了>
頭のてっぺんで柔らかな日差しが、静かにまどろんでいる。
同時に快いけだるさが足元からゆるゆると昇ってくる。
そう、春とは何と素晴らしい季節なのだろうか。
道端に咲くタンポポの黄色が鮮やかだ。
時折、ほの暖かい風が頬をかすめていくのが気持ちいい。
私の靴音が、軽やかにアスファルトに響く。
そこの犬小屋では、大きな黒犬が体半分はみ出したまま眠りこけて
いる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/dog_sad.gif)
道端で、びしょ濡れの雨蛙が、腹を見せて、日光浴の最中だ。
おい、どうだ。
こんな日に部屋にこもって出てこないなんぞは、どう考えても、
犯罪だぞ。
同じごろ寝でも、野っ原で太陽の光をいっぱいに浴びながらのほうが
よほど気持ちがいいというものじゃ・・・
ええっ?! まぁ・・・、それは人それぞれ、
・・・分かった!!、分かった!! 好きにするさ。
確かに、お前は、昨晩徹夜だったものな。
いいさ、好きなだけ布団でも、何でもひっ被っているさ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0202.gif)
俺は一言、言ってみたかっただけだ。
そう、言うべき時に言うべき事を言う勇気を持たないと、結局何も
言えなくなる。
そんな気がしたんだ。
そう・・・、で、俺は表に、お前はここに・・・。
・・・・・
痛っい・・・!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0144.gif)
横から何かが勢いよくぶつかってきた。
まぁ、よくある事だ。
・・・・・・・・・。
瞬間、見回したが、何がぶつかってきたのか?
それらしき物は何も見えない。
野良犬か、それとも野良猫か、・・・まぁ、そんな事はたまにある。
・・・エッ? 犬や猫がたまにでもぶつかってくるかって・・・?
そりゃ、あるだろう。
けど、見回してみたが、犬も、猫も、鳥も、近くには見えない。
何も見えない。
まわりがやたらに明るい。
何やら、騒がしい。
何、何だって・・・?
何故か、背中が温かい。
この光の柔らかさ・・・!!
あぁ、満ち足りた気分・・・などと言うのはあまりに陳腐だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0199.gif)
今は春・・・。
柔らかな風。
眠気を誘う心地よさ。
世界は今、春真っ盛り・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0001.gif)
すぐ向こうで、騒々しい足音と物音が聞こえる。
こんないい日に、よりによって・・・、どなたかは知らぬが、何と
も因果なお仕事だ。
近くで、また犬の声・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/dog_happy.gif)
傷んだ外套を着た男は、快い振動に運び去られた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0034.gif)
後に、盛んに吠え立てている野良犬。
ひそひそとお互い呟き合いながら、その場を離れがたそうな野次馬。
プファー、プファー・・・、プファー、プファー・・・、
これは、何と間の抜けた音なんだろう。
それにしても春、・・・どうにも、眠くて仕方がない。
このまま、眠り込んでしまっても、後で誰か起こしてくれるよな。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0197.gif)
北風が、心地よく足元をすくって通りすぎていく。
<了>