「ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論」を読みました。ルネサンスとはフランス語「Renaissance」で再生を意味し、古代ギリシャ・ローマの自由な理念を復興しようとする文化運動です。14世紀イタリアで始まったそうです。ルネサンスの3大巨匠は「ラファエロ、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ」です。登場する芸術家がみんな変人です。ヤマザキマリさんがもし配偶者として選ぶなら、ラファエロだと書かれています。人として画家として長くリスペクトしていられそうだからです。理想の男性のタイプだそうです。画家の描く女性像で画家の人格を推し量れるそうです。ラファエロは「女性の美」を重視した画家で、
「無口な女」(凛とした表情)で精神性を見出して描いているそうです。心遣いの細やかさに、「なんていい人なんだろう」と思ってしまうと書かれています。ラファエロは「職人」としての絵描きらしさを受け継いでいるそうです。
「アテナイの学堂」「古代ギリシャのアテネに実際にあった学堂を舞台に、哲学者のプラトンとアリストテレスの師弟を中心とする、およそ60人もの人物を描いた群像画です。3大巨匠をはじめ、この時代の多くの画家たちの姿が描き込まれており、ルネサンス絵画の記念碑ともいうべき絵です。」と書かれています。そして先輩に気を遣いながらも、どこか如才なさも持ち合わせているそうです。対してミケランジェロはプロレスラーかと見まがうほど筋骨隆々、色気も何もあったもんではないそうです。ミケランジェロは「完全主義者の変人」らしいです。ユーモアに欠けて「ふざけ心」「遊び心」が全くないそうです。厳格すぎて真面目すぎる。システィーナ礼拝堂の
「最後の審判」は神々に人間くささを感じられなくて、現実離れしたものに見えて息がつまるそうです。私は大塚国際美術館で観たときは色がきれいでため息が出ましたが、今度観たらまた感想が変わるかもわかりません。
「ピエタ」・「ダヴィデ」 ミケランジェロは古代ギリシャ・ローマの神々に魅せられ、その結果「人間至上主義」に陥らざるをえないほど「人間であることとは何ぞや」という問いに真剣に向き合ったそうです。レオナルドはーホモセクシャルだったと言われていますがー美しくはあっても温かい母性や柔らかさを感じられない女性を描いているそうです。「マルチな才能を持った変人」で「万能人」として生きることが人生を謳歌する1つの道として確立したそうです。軍事兵器もたくさん発明し、世間のニーズに自分の作風を合わせていくことを、まったく考えなかったそうです。
「ジネヴェラ・デ・ベンチの肖像」 注意が人より後ろの木の方に向けられている。「わが道」をマイペースで行く人だと書かれています。
「マギの礼拝」 見る人に無きみな印象を与えます。見る人に媚びない変人でした。
まだまだ私の知らない芸術家がいっぱい出てきます。印象に残ったのは上の3大巨匠です。こういう見方もあったのかと気づかせてもらいました。今度から男性画家の絵を見るときはどんな男性で好きなタイプかどうか想像を巡らしてみるのも面白そうです。
2022-12-17(土) 図書館資料 請求番号:792.0/ヤ