Sera の本棚

感動した本のことや映画を見たり、コンサートへ行ったりした感想、高槻の写真など記録できたらいいなあと思います。

石坂洋次郎文庫13「あじさいの歌・寒い朝」ー石坂洋次郎作

2023-07-01 10:55:16 | 

上の写真は何?と思うくらい古びた本でわかりません。「石坂洋次郎文庫13」で「あじさいの歌・寒い朝」が集録されています。友達と「あじさいの歌」の映画の話になったので、懐かしくなり原作を読みました。石坂洋次郎作品は中学生の頃に気に入って読みました。「若い人」「陽の当たる坂道」などです。石坂作品は根底には暗い複雑な人間関係があるのですが、青春らしい面も生き生きと描かれていて好きでした。懐かしくなって、「あじさいの歌」は題名も良いし季節もピッタリですぐに図書館に予約しました。字の大きさが文庫本より小さいので読みにくかったです。「寒い朝」は字が小さいので今回は読みませんでした。登場人物の河田藤助は「商業美術のようなものでも、結局は、自然の美を、その目的に副うように再現することにあり、それを怠っていると、かんじんの仕事も、マンネリズムに陥ってしまうのだ。」と言っています。この言葉で河田藤助に好感を持ちました。私も自然の色の美しさや造形が素晴らしいと思っているので、色の組み合わせなどファッションに取り入れられたらいいなと思いながら見ています。ファッションセンスはありませんが、「こんな色のこんな服があったら着てみたいな」とか思って。素晴らしい服があっても似合うとは限っていないのが惜しいところです。さて、あじさいの花ときれいなお嬢さんを写真に撮った河田藤助はその写真に「あじさいの花」と名付けて展覧会に出品します。そこからドラマが始まります。やはり複雑な家庭環境です。主人公倉田けい子と母の長沢いく子。「1人は教養もあり信仰も厚く、男に触れたことがない処女であり、1人は自分の身体を、大勢の男たちが急行列車のようにかすって通りすぎていった、汚れた経歴の女であることを、誰が判別できるであろう?してみると、人間の風格というものは、肉体ではなくて、目に見えない心の営みにより多く影響されていると考えてもいいのであろうか。」話しても書いても何をしてもしなくてもその人となりが表れます。心の持ち方が大事、どんな心の持ち方をすればいいのか、考えました。いくら装ってもみんなお見通しということでしょう。久しぶりに石坂洋次郎の作品を読んで若い頃が懐かしく思い出されました。

2023-7-1(土) 図書館資料 請求番号:918.6/イシ

コメント (2)
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