眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

曇り空

2009-04-02 | 
眺めたはずの空は曇っていた
 木々の枝には寒々しいほどに何も存在していなかった
  窓際から離れ机に向かった僕は
   タンブラーグラスにウイスキーを注ぎ
    未来を想像し過去を撫で回した
     地球儀を回し
      月のクレーターを脳内モルヒネで空想する
       手法という物は幾つも提示されるべきなのだろうが
        僕は酔いの淵から世界を模索する
         白黒の世界は単一なモノクロームで
          一片の希望的観測を妥協しない
           未だに世界は冬なのだ

          琥珀色の猫の瞳が哀しみに濡れる時
         僕らはいっそ旅にでる
        存在の幾ばくかを抱え込み
       いつかあの広大な空へ白い羽を広げるが
      残念な事に羽は片方しかなかった
     飛べないのだ
    永遠に
   誰かが絶対の虚無を持って非情にも宣告する
  君は飛べないのだよ
 懺悔が足りなかった
君の原罪は永遠に購なわれなかったのだ
 
      ラジオから雑音に混ざって
       君の声が囁く
       
        永遠ハ孤独デスカ?
         其レトモ
          永遠ノ意味スラ忘レタノデショウカ?
           何時ノ記憶ノ様二
            私ヲ忘レタ様二

         時計台が深夜零時を知らせる
        重たい鐘の音が鎮魂する
       報われなかった魂のひとひら
      もはやこの世界に共通された希望など見当たらない
     道化師が煙草を咥え
    化粧を落としながら呟いた
   ライオンもカメレオンも
  不思議な生き物も滑稽な仕草の猿も
 象や熊や鳥や魚や
人魚や珊瑚や透き通った海も
かつて存在した空を飛ぶ者
 地を這う存在全ては情報の洪水に飲み込まれてしまった
  消去された記憶

    あの教師の事を憶えているかい?
     神経質な英語の丸眼鏡のことかい?
      ちがうよ、あの丸々と太った音楽教師のことさ。
       僕らは ククク と嘲笑した
        奴、黒板に白墨で愛なんて書いたんだぜ。
         ククク
          フクロウが笑いを噛み殺した
           ところで
            ラテン語が得意げな
             いつも金の指輪を回しながら喋る
              あの校長先生はどうしているんだい?
               フクロウが答えた
  
             東京の修道院で神父に刺されて死んだよ

            どうして?

           詳しくは判らないが人事のイザコザがあったらしい

          そう

         記憶がジャックダニエルの雫で濡れている

        まるで琥珀色の猫の瞳が濡れる様に

       窓際から空を眺めている

      いつからこうしているのだろう?

     
     月も日も無かった

    
      曇った空







     
   
コメント
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