舶来物のキャンデーの空き缶を灰皿代わりにした
丸い形のその表面には
アルフォンス・ミュシャを真似た
アール・ヌーヴォー的な女性が描かれる
煙草の吸殻を揉み消す度に
彼女が
「吸いすぎよ 身体に悪いわ」
と品の良い声でささやくような気がしたのは
果たして本当に気のせいだったのだろうか
建物は山の頂上付近に立っていて
そこで40代半ばの男が
「ソクラテスの弁明」を読んでいた
牧歌的に空を眺めている僕にきずき
彼は
読むかい?
と皮肉に微笑む
空を眺めているほうが楽です
こう応えると彼も不満げに空の風景を一瞥した
何度も読まれていらっしゃるんですか、プラトン?
毎日欠かしたことが無い
面白いですか?
興味深いがごく稀に飽きる時もある。君は・・
君は何をしているんだい?
空を模倣しています
彼は皮肉に微笑みながらキャンデーを薦めた
どうもはっかが苦手でね
君は好きかい?はっかは。
そうですね、嫌いじゃないですよ
それなら
それなら缶ごと持って行きなさい
どうせもうはっかキャンデーしか残っていないから
三ヶ月と一日過ごして
僕はその建物の敷地を出た
キャンデーは残っていなかったけれども
空き缶だけは灰皿代わりに持ってきた
学生だった僕も
いつしか大人の真似事を始めた
合いも変わらず喫煙だけが止められないでいる
キャンデーの空き缶は
灰皿代わりに今でも手元にある
馬鹿げた話だ
大切な物ばかり捨ててきて
空き缶だけが時を止めてそのままだ
吸いすぎじゃないかしら?
貴婦人がささやく昼食後の一服
時代に逆行しているのさ
僕は相変わらずはっかは嫌いじゃなかった
丸い形のその表面には
アルフォンス・ミュシャを真似た
アール・ヌーヴォー的な女性が描かれる
煙草の吸殻を揉み消す度に
彼女が
「吸いすぎよ 身体に悪いわ」
と品の良い声でささやくような気がしたのは
果たして本当に気のせいだったのだろうか
建物は山の頂上付近に立っていて
そこで40代半ばの男が
「ソクラテスの弁明」を読んでいた
牧歌的に空を眺めている僕にきずき
彼は
読むかい?
と皮肉に微笑む
空を眺めているほうが楽です
こう応えると彼も不満げに空の風景を一瞥した
何度も読まれていらっしゃるんですか、プラトン?
毎日欠かしたことが無い
面白いですか?
興味深いがごく稀に飽きる時もある。君は・・
君は何をしているんだい?
空を模倣しています
彼は皮肉に微笑みながらキャンデーを薦めた
どうもはっかが苦手でね
君は好きかい?はっかは。
そうですね、嫌いじゃないですよ
それなら
それなら缶ごと持って行きなさい
どうせもうはっかキャンデーしか残っていないから
三ヶ月と一日過ごして
僕はその建物の敷地を出た
キャンデーは残っていなかったけれども
空き缶だけは灰皿代わりに持ってきた
学生だった僕も
いつしか大人の真似事を始めた
合いも変わらず喫煙だけが止められないでいる
キャンデーの空き缶は
灰皿代わりに今でも手元にある
馬鹿げた話だ
大切な物ばかり捨ててきて
空き缶だけが時を止めてそのままだ
吸いすぎじゃないかしら?
貴婦人がささやく昼食後の一服
時代に逆行しているのさ
僕は相変わらずはっかは嫌いじゃなかった