[Report]全日本選手権ロードレース 木村圭佑が2年連続3位表彰台! シマノレーシングはトップ10に4人送り込む!
第86回全日本自転車競技選手権大会ロード・レース 男子エリート
6月25日(日)階上岳登山口周辺周回コース(約14km/周)
・8:00~ ME 個人ロード・スタート 210.0 km (14.0 km×15 周)
出走選手:入部正太朗・木村圭祐・秋丸湧哉・湊諒・秋田拓磨・西村大輝
2017年の全日本自転車競技選手権大会ロード・レース、最終日の6月25日は日本一強い男を決める男子エリートのロードレースが行われ、シマノレーシングの木村圭佑が2年連続の3位表彰台を獲得、さらにチームはトップ10に4選手を送り込む強さを見せつけた。
青森県階上町で行われた2017年の全日本選手権。男子エリートのロードレースはアップダウンの厳しい14㎞の周回コースを15周する210㎞の長丁場で争われる。
今大会は119選手が出走。UCIワールドツアーで活躍する別府史之(トレック・セガフレード)も参戦し、大きな注目を集めている。
シマノレーシングからは入部正太朗、木村圭祐、秋丸湧哉、湊諒、秋田拓磨、西村大輝の6人が出場。約2週間前からこの地で合宿を行い、コースの特徴を頭と体に叩き込み、コンディションを整えて、万全の準備でこの日を迎えた。さらに青森県三戸町出身、八戸工業高校卒業の湊は、高校時代からこの階上町のコースを練習やレースで走り込んでおり、正真正銘のホームレースとなる。
シマノレーシングの野寺秀徳監督は、例年通り最後は実力ある選手たちだけが残るサバイバルレースになると考え、好調のキャプテン入部、昨年3位の木村をエースとしながらも、他の選手もチャンスがあれば勝利を狙いに行かせる作戦で送り出した。
■前年王者がリタイアする波乱の幕開け
前日よりも雲が広がり涼しい気候の中、昨年3位の木村は最前列でスタートラインに並び、午前8時にレースの幕が開けた。
しかし、1周目に早くも波乱が起きる。下り区間で集団落車が起こり、昨年の全日本王者・初山翔(ブリヂストンアンカー)、今季好調の吉田隼人(マトリックスパワータグ)ら優勝候補が早くもリタイアになる。
入部もこの落車で足止めさせられたが、次の周回で無事に集団復帰を果たした。
前方では、窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)、高木三千成(東京ヴェントス)がそれぞれ単独で飛び出すも長続きはせず、集団に吸収される。
シマノレーシングは秋丸、秋田らが他チームの選手の動きをマークしつつ、入部らは集団後方で勝負のタイミングに備えた。
5周目には、シマノレーシングから西村がアタック。他の選手が合流することを期待したが、結局単独に。約1分のリードを築いたものの、7周目には再び集団に戻った。この時点で、集団の人数はすでに約40人まで絞られている。
9周目には、鈴木龍(ブリヂストンアンカー)、雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)ら4人が抜け出し、約2分のリードを築く。入部ら6選手がこれを追走し、11周目に再び集団はひとつにまとまるが、その人数は約25人と早くもサバイバルな展開に。シマノレーシングは秋田が上りで遅れたものの、5人を集団内に残す有利な展開が続いている。
■レース終盤、シマノレーシングが攻勢に出る
太陽が昇るにつれて青空が広がり始め、気温が上昇して選手たちにとっては過酷なコンディションに。そんな中、12周目の後半に湊が鈴木龍(アンカー)、森本誠(イナーメ信濃山形)とともにアタック。体を絞り込んで地元での大一番に臨んだ湊が、シマノレーシングの攻撃の口火を切った。
ここに土井雪広(マトリックスパワータグ)、畑中勇介(チーム右京)ら有力選手が合流し、先頭は5人に。
そして13周目の後半、先頭5人から畑中が不意を突いて抜け出し、周りの選手がけん制する間に独走態勢を築く。入部が単独でこれを追うが届かず、約10人にまで減った追走集団にシマノレーシングは入部、木村、湊、西村の4人と最多人数を残して最終周回に突入した。
畑中がすでに2分ほど先行する中、表彰台を目指して再び入部、西村がアタックし、別府がここに合流。しかし、下りで別府が落車し、追走はシマノレーシング2人となった。
過去2年の全日本では上位に食い込めず、悔しい思いをしてきた入部だが、今年はツール・ド・熊野の第1ステージでUCIレース初優勝を挙げるなどチーム最年長のキャプテンながら進化を続けている。そしてこの日は、積極的な走りでレースを盛り上げている。
腰の故障で約2年間実戦から遠ざかっていた西村も、エリートに昇格して初の全日本で光る走りを見せている。
一方、この2人の後方集団で他の選手の動きをマークしていた木村だったが、最後の上りの中腹で飛び出し、チームメイトに合流を図る。
5月ツアー・オブ・ジャパンは不調でリタイアした木村だったが、その後、減量やポジションの見直しを行い、1カ月でコンディションを合わせてきた。
この木村に小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ)が合流して、入部、西村に追いつき、追走は3対1の構図に。チームで上位のリザルトを占めたいシマノレーシングは、数的優位を利用して小林に攻撃を続ける。
一方、先頭では畑中が力強い独走で、悲願の全日本王者を獲得した。
その後方の2位争いでは、まず入部が残り1.5㎞でアタック。しかし、ラスト500mで後方の集団が追いつき、スプリント争いに。西村のリードアウトで木村が加速するが、落車から復帰したばかりの別府が木村を抑え切って2位に入った。
木村は、全日本で2年連続の3位表彰台。続いて西村が5位、湊が9位、入部が10位とシマノレーシングは4人がトップ10に入る活躍だった。
完走わずか20人のサバイバルレースで、ラスト2周までチームメイトを集団にまとめ上げた秋丸も17位でフィニッシュした。
前日24の横山航太のU23タイトル獲得に続き、今年の全日本でチームとして大きくアピールしたシマノレーシング。ここ数年は世界に通用する若手を育てることをテーマに、成績よりも育成に主眼を置いてきたが、その若手たちが全日本という大舞台でも成績を残せるまで成長したことを証明した。しかし、この結果に満足することなく、さらに上を目指す戦いは続いていく。
■コメント
木村圭佑
「チームで勝ち取った3位という意識が強く、去年の3位とは違った重みのある3位でした。僕が(チーム内で)一番成績がよかったけど、一番強いのは僕じゃなかったというイメージで、周りのシマノレーシング(の選手たち)はすごく頼りがいがあって感謝しきれないです」
※他の選手のコメントは動画でチェック
■リザルト
第86回全日本自転車競技選手権大会ロード・レース
<男子エリート(210.0㎞)>
1 畑中勇介(Team UKYO)5:32:46
2 別府史之(Trek Segafredo)+01:43
3 木村圭佑(シマノレーシング)+01:44
4 鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+01:44
5 西村大輝(シマノレーシン)+01:44
6 早川朋宏(愛三工業レーシングチーム)+01:45
7 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)+01:45
8 平井栄一(Team UKYO)+01:47
9 湊諒(シマノレーシング)+01:48
10 入部正太朗(シマノレーシング)+01:56
17 秋丸湧哉(シマノレーシング)+08:36
DNF 秋田拓磨(シマノレーシング)
動画
Text&Photo&Movie:Tatsuya Mitsuishi