老ゆる身に十一月の果てしなく 孤独死の三人十一月を押してゆく 薄れゆく松の根っ子よ十一月 散歩犬闇にまぎれて十一月 十一月しどろもどろの愛よろし あまりにも聡明十一月の爺と婆 大アンデス展十一月の空の濃し 明日きっと十一月の茫とせり 酒井弘司コージにあらず十一月(「朱夏」退会) 母の忌よ十一月の夜と霧 十一月極東トランプ日和なる(日中韓歴訪) 十一月光と闇のハーモニー 『まるめろ』といふ十一月の句集あり 十一月のフォアグラどこが美味いのか 十一月天上大風またも逸れ 十一月泥から生まれ風となる 火を吐いてみよ十一月の風小僧
交叉する手の神殿秋野を巡りゆく まほろば 最新作
東京上野の国立科学博物館で、2月まで【古代アンデス文明展】が開催されている。いずれ足を運ぶつもりだが、南米の未知の文明について考えてみたい。10年ほど前だったか、ペルーの東端からボリビアにかけてのアマゾン川上流で未知の文明がTVで紹介された。ボリビア北部のモホス大平原の【モホス文明】である。この辺りはいくつものアマゾン上流域の支流が張り巡らされていて、大規模な灌がい工事が実施され、農業と自然との共生が果たされていたという。それなら、せいぜい2000年ほど前の話かと思いきや、紀元前数千年にまで遡るようだ。私たちは、世界4大文明としてメソポタミア文明(BC3200年)、エジプト文明(BC3000年)、インダス文明(BC2000年)、黄河文明(BC1200年)とされて来た。南米アンデス文明は、ゆうにこれらを包含し、さらに古いことになる。これは、私たち現代人の常識という名の既成概念を揺さぶり、全く別の新たな自己認識を迫るものである。私たちはどこから来たのかという、人類の一員としての自覚の起点を更新する必要があるからだ。私たちが何者で、いつどこから来て、どこへ向かうのかという文明の指針が、21世紀のいま何より求められている。とりわけ、私たち日本人は、その地理的特殊性【地の東の果ての日出る国】から、西欧の近代(キリスト教)文明の発展の中で、常に【約束の地】とされて来た。縄文式土器が遠く南米エクアドル(ペルーの北)で発見されるなど、その太古海洋文明としての一体性が主張されてもいる。決して他人事ではないのだ。・・・《続く》