*歴史的名曲『GOODBYE DAY(1981)』付
1970年代から80年代への時代の根底からする変容の中で、私は依然として《わたし》であり続けた。2010年代も終りに近づいている現在から振り返っても、大したものだと思う。すぐ上の【団塊の世代】の人々と社会の随所で遭遇することもあったが、彼らはもはやかつての全共闘でもヒッピーでもなかった。まだそんなことやってんの、もしかしてあの時のママ・・?などと、ただの説教好きのオヤジでしかなかった。私とはいえば、彼らは眼中に無く、すぐ後ろに続いた断崖のような【元祖新人類】や一回り年下の【ディープ新人類】に視線を向けざるを得なかった。彼らが決まって《わたし》に向けて言うのは、もしかして【古いひと】でしょう。団塊たちに置いてけぼりにされつつも、心の何処かで何ものかとまだ闘い続けていたわたしたちのあり方を指しての烙印であった。わたしは終っていないが、始めることも出来なかった木偶の坊のような存在であった。わたしはそのことを必死で隠し続けた。そうやって、1980年代が深まっていった。・・・《続く》

団塊の世代で80年代初頭に頭角を現したシンガー&ソングライター来生たかお。彼らの同世代が、どのようにこの時代の激変を乗り切ったかが、その音楽に深く・・淡々と刻まれている。おのれをノスタルジーの対象にすることで、動かし難い1960年代の《自我》を圧倒的な生活の激流に抗して純粋培養することに成功した。その辛辣な第二の闘いのあげく、00年代には脳梗塞を患い、見事に死に花を散らした。
来生たかお 『GOODBYE DAY(1981)』 1990 LIVE IN NAGANO
https://youtu.be/klKQDRAeYN0?t=33