70年安保後の世界で、私は《第一次シラケ世代》《プレおたく》として世紀末という【あるあるの壁】を素通り出来た。いま彼女たちに降りかかる新たな壁とは・・。
今夜、NHK総合の再放送枠でおたくたちの再生ドラマ『トクサツガガガ』の第5回を観た。ストーリーはいたって簡単。主人公の21歳のOLは社内外の特撮オタクたちとチームを組み、幼い頃からの【おたく】を満喫している。彼女の中では【スキナモノハスキ】というもう一つの自我が覚醒している。この自我はどのようなことがあっても譲れない、唯一つの自分の生きる拠り所である。その背景には、母親のオタク否定と既存の社会への順応の強要があった。しかし、それでも彼女の【おたく】としての即自性に疑いの余地は全くない。自分はオンナやオトナである前にオタクなのである。何故、彼女たちはそのように在ることが出来るのだろうか?答えは唯一つ【世界の崩壊】であろう。彼女たちは、自我に目覚める前にこの【世界の崩壊】にさらされてしまった。ポストモダンと言われる人間の客観(他者)性の消滅である。彼女たちは、誰に言われなくても特撮が大好きだし、その登場人物に自分を重ねることが出来る。例えばアニメの世界は、決してこの世界(現実)と区別することなくひとつのものとして受容されてしまう。そのリアル感こそが生きて在る証しである。・・・《続く》
NHKドラマ10 トクサツガガガ 番組の見所