吉野家は敗北の味夏の雨 北大路翼 (その1)
吉野家はファーストフードの老舗である。牛丼店は、他に松屋・すき屋などがあり、この3店が上位3社を構成し、売上順位が目まぐるしく入れ替わる。吉野家は1970年代初めから存在し、最も古典的な和風焼肉の味付けを踏襲し、豚・チキンなど他メニューの導入で出遅れている。それが祟ったのか、このところ売上が減少し、3位に転落した。また、味噌汁が付かず、サイドメニュー無しの牛丼のみの客は店の片隅に追いやられている。昼夜を問わず、この種の客はかなりの貧乏人であることは間違いなく、仕事・家庭・ギャンブルなどでの【敗北者】のイメージに重なって来る。作者自身がどうなのかは判然としないが、彼の眼差しが【敗北者】に向けられていることは確かだ。そして、少なくとも現代の【敗北者】の何たるかについて、よく承知していることも否定出来ない。・・・《続く》
北大路翼第一句集 『天使の涎』