素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

「美空ひばり燃えつきるまで」(森 啓著・草思社)を読み終わる

2023年05月29日 | 日記
 同姓同名というだけの理由で衝動買いのように買った「美空ひばり燃えつきるまで」(森 啓著・草思社)だが、読み進めているうちに引き込まれてしまった。十三回忌を終えてからの回想記だけに感情を抑えた淡々とした語り口だが伝わってくるものがあった。今まで観てきたたくさんのライブイベントと重ね合わせその裏方で支える職人気質というものも強く感じた。

 本を読み終わったその日の夜にタイミングよく、BSテレ東で【昭和歌謡の偉人たち~初めての挑戦~・美空 ひばり】があった。2022年3月19日に放映されたものの再放送で、放送局にとっては番組枠を埋めるだけのものだと思うが私にとっては願ってもないものですぐに録画予約をした。

 今日の午後、ゆっくりと番組を楽しんだ。森さんは「美空ひばりは”初めて”が好きだ」と書いていたが、番組では3つの「初めて」が取り上げられていた。
   
 東京ドームのこけら落としコンサートまでのいきさつは「事実は小説よりも奇なり」という言葉通りの巡り合わせの不思議さを強く感じた。森さんの著述にテレビの映像が加味され感慨深かった。
ひばり初の長期入院と東京ドーム完成の巡り合わせ。
 

 この公演はひばりだけでなく、すべての芸能活動に関わる人たちにとっても初めてのことで、これまでに培ってきた知識、技術の集大成のようなものであったことが本からも映像からも伝わって来た。

 私が森さんの存在を知るきっかけになった別のドキュメントではピンスポットの担当者が主役だった。本でもふれていたが何気なく見えるものの裏にある技術のすごさを再認識した。また、残響音の話も面白かった。
 

 森さんと消防局との間でも、安全面に関して協議が重ねられてきたことが本で紹介されていた。最後に100mの花道を歩き終わった時の花火とスモークのシーンの映像、それまでの両者のやりとりと妥協点を読んだ後では見方が違った
  

 ひばりの復帰曲「みだれ髪」ができるまでの過程は、別の番組などで何度か見たが、森さんの本と映像からあらためてぷろのなせる業に感心した。二中で一緒に勤めた音楽のH先生は歌謡曲嫌いで有名だった。しかし、唯一「みだれ髪」だけは認め、自身もカラオケで歌われていたらしい。その話を聞いた頃の私は40代前半で「フ~ン」ぐらいだったが、今回、Hさんが認めていたことに納得した。
 

 いい本と番組に出会えてラッキーだった。


コメント
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