その③からの続きです。
これまで片野鴨池を中心に、観た鳥について紹介してきた。
冬場に水を張り面積を増やしても、たった10haしかない片野鴨池に、なぜこんなに多くのガンやカモが集まるのか、それにはこの池の歴史が大きくかかわっている。この池の歴史について触れておこう。
片野鴨池の原型は、今から500年前に出来たといわれている。海からの風で砂が運ばれてきて砂丘ができ、谷が埋められて水が溜まって池となった。今でも周囲には砂丘と砂岩地帯が広がっている。当時はもっと大きな池で、山の中腹あたりまで水があったようだ。
その後17世紀後半に、水田を作るため、池の水を抜く干拓工事が行われた。現在の鴨池の大きさは、その後大きく変わっていない。
鴨池に水田が開かれてから10年後に、ここで坂網猟が始まっている。カモは夕方薄暗くなったころに池を飛び立ち、周辺の水田へ餌を食べに行く。この飛び立つところを、池の周囲の丘の上でY字型の投げ網を使って獲るのが坂網猟だ。この坂網猟のお陰で、鴨池では冬季の人の立ち入り禁止、周囲の森林の伐採禁止、銃猟禁止が長い間維持されて来た。
一方、周辺の池沼では銃猟が行われてきた(現在は禁止となっている)ため、ガンやカモが安全なこの池に集まった。
ちなみに、坂網猟は鴨池の周囲の丘で行われており、この池で行われているわけではない。ガンやカモは丘は危険だと思っても、この池は安全だと思っているようである。
さて、その④(最終回)ではコハクチョウ、ガン、カモ以外の鳥について報告する。
■タシギ
Snipe
チドリ目シギ科
Gallinago gallinago
田鷸/L26cm
雌雄同色。ジシギ類4種の識別の基準になる鳥。頭には黄白色の頭央線がある。眉斑、目の下の線、頬の線がある。
肩羽の外線は黄白色で、それが連なって線に見える。次列風切の羽先は白く、飛ぶと白線に見える。
タシギが2羽、観察館の目の前の田圃で餌を探していた。長い嘴を泥の中に差し込んで、餌を探していた。
餌となるのはミミズ類、貝類、甲殻類、昆虫の幼虫などで、動物食の鳥である。
■ダイサギ
Great Egret
ペリカン目サギ科
Andea alba
大鷺/L88~98cm
ダイサギは観察館から少し離れた池の端で餌を探していた。餌は魚類の他、カエルやザリガニなどを採られて食べる。
■モズ
Bull-headed Shrike
スズメ目モズ科
Lanius bucaphalus
百舌・鵙/L20cm
雄のモズが観察館から30mほどの所に生えているヨシに止まった。
数分間止まっていて、飛び去った。鴨池を縄張りとしているのかもしれない。
■その他
片野鴨池の上空は、小松空港へ着陸する飛行機の航空路となっている。そのため何度か旅客機が上空を通過した。
ガンやカモは気にする様子は見せるが、驚いて飛び立つようなことはなかった。
自衛隊の戦闘機やヘリコプターが近くを飛ぶと、音量が大きいのでガンやカモが騒ぎ立てることがあった。
近くの道路をトラックが通過する際も、気にした様子が見られた。
■カンムリカイツブリ
Great crested Grebe
カイツブリ目カイツブリ科
Podiceps cristatus
冠鳰/L56cm W85cm
この鳥を観たのは片野鴨池ではなく柴山潟だった。雪が舞い、大きな波が立っていたが、潜水を繰り返して餌を探していた。
2羽が近づいたところを撮影した。
石川県の片野鴨池と柴山潟周辺でコハクチョウ・マガンなどを観てきた(完)
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
次回は、あけぼの山のウメ、ロウバイなどをご覧いただく予定です。
これまで片野鴨池を中心に、観た鳥について紹介してきた。
冬場に水を張り面積を増やしても、たった10haしかない片野鴨池に、なぜこんなに多くのガンやカモが集まるのか、それにはこの池の歴史が大きくかかわっている。この池の歴史について触れておこう。
片野鴨池の原型は、今から500年前に出来たといわれている。海からの風で砂が運ばれてきて砂丘ができ、谷が埋められて水が溜まって池となった。今でも周囲には砂丘と砂岩地帯が広がっている。当時はもっと大きな池で、山の中腹あたりまで水があったようだ。
その後17世紀後半に、水田を作るため、池の水を抜く干拓工事が行われた。現在の鴨池の大きさは、その後大きく変わっていない。
鴨池に水田が開かれてから10年後に、ここで坂網猟が始まっている。カモは夕方薄暗くなったころに池を飛び立ち、周辺の水田へ餌を食べに行く。この飛び立つところを、池の周囲の丘の上でY字型の投げ網を使って獲るのが坂網猟だ。この坂網猟のお陰で、鴨池では冬季の人の立ち入り禁止、周囲の森林の伐採禁止、銃猟禁止が長い間維持されて来た。
一方、周辺の池沼では銃猟が行われてきた(現在は禁止となっている)ため、ガンやカモが安全なこの池に集まった。
ちなみに、坂網猟は鴨池の周囲の丘で行われており、この池で行われているわけではない。ガンやカモは丘は危険だと思っても、この池は安全だと思っているようである。
さて、その④(最終回)ではコハクチョウ、ガン、カモ以外の鳥について報告する。
■タシギ
Snipe
チドリ目シギ科
Gallinago gallinago
田鷸/L26cm
雌雄同色。ジシギ類4種の識別の基準になる鳥。頭には黄白色の頭央線がある。眉斑、目の下の線、頬の線がある。
肩羽の外線は黄白色で、それが連なって線に見える。次列風切の羽先は白く、飛ぶと白線に見える。
タシギが2羽、観察館の目の前の田圃で餌を探していた。長い嘴を泥の中に差し込んで、餌を探していた。
餌となるのはミミズ類、貝類、甲殻類、昆虫の幼虫などで、動物食の鳥である。
■ダイサギ
Great Egret
ペリカン目サギ科
Andea alba
大鷺/L88~98cm
ダイサギは観察館から少し離れた池の端で餌を探していた。餌は魚類の他、カエルやザリガニなどを採られて食べる。
■モズ
Bull-headed Shrike
スズメ目モズ科
Lanius bucaphalus
百舌・鵙/L20cm
雄のモズが観察館から30mほどの所に生えているヨシに止まった。
数分間止まっていて、飛び去った。鴨池を縄張りとしているのかもしれない。
■その他
片野鴨池の上空は、小松空港へ着陸する飛行機の航空路となっている。そのため何度か旅客機が上空を通過した。
ガンやカモは気にする様子は見せるが、驚いて飛び立つようなことはなかった。
自衛隊の戦闘機やヘリコプターが近くを飛ぶと、音量が大きいのでガンやカモが騒ぎ立てることがあった。
近くの道路をトラックが通過する際も、気にした様子が見られた。
■カンムリカイツブリ
Great crested Grebe
カイツブリ目カイツブリ科
Podiceps cristatus
冠鳰/L56cm W85cm
この鳥を観たのは片野鴨池ではなく柴山潟だった。雪が舞い、大きな波が立っていたが、潜水を繰り返して餌を探していた。
2羽が近づいたところを撮影した。
石川県の片野鴨池と柴山潟周辺でコハクチョウ・マガンなどを観てきた(完)
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
次回は、あけぼの山のウメ、ロウバイなどをご覧いただく予定です。
こちらから書きます。
坂網猟でカモを捉えるのですか。
何だか可哀想です。
この池は安全なんですね。
タシギと言う鳥は、名前さえ知りませんでした。
この複雑な模様で、見分けがつきますね。
本当に嘴が長い!
モズは猛禽類ですが、こうして見ると可愛いですね。
カンムリカイツブリも分かります。
人間が作った空飛ぶ物体は邪魔ですね。
鳥達をそっとしておいてあげて欲しいです。
遠くまでお出かけになって、沢山の鳥を見せて下さって有難うございました。
こんばんは。
その他の鳥、笑ってしまいました。
大きな音のする鳥でした。
片野鴨池にそのような歴史があったのですね。
坂網猟、テレビで見たことがあります。
大きな三角形の網を真上に放り投げていました。
素人がやると、なかなか真っすぐ上に投げられないようでした。
坂網漁で捕えたカモを、私も子どものころに食べていました。
どういう伝手があったか知りませんが、毎年1羽いただいていました。
年によっては坂網漁が不猟で、鉄砲で捕えたカモをいただいたこともありました。
可哀そうに思われるかもしれませんが、この猟のお陰で鴨池は禁漁区になり、多くのカモが住み着くことになりました。
タシギはブログでよく見る鳥です。
実物を間近で観るのは初めてでした。仰るとおり、嘴が長い鳥です。
シギの仲間はどれも嘴が長く、中には上に反ったり下に反ったりしているシギもいます。
モズは動物食ですが、猛禽類には入らないと思います。
猛禽類は、タカとフクロウの仲間(タカ目、ハヤブサ目、フクロウ目)を言います。
モズは猛禽類に匹敵するような、鋭い嘴を持っていますね。
今回は人間が作った空飛ぶ物体のお陰で、鴨池まで行けました。
羽田から小松まで65分ですが、実質飛んでいるのは40分ほどです。
片野鴨池の歴史は500年前にできた池から始まっているのですね。
その後の干拓工事やカモ猟の歴史を経て、現在の鳥獣保護区が生まれたのですね。
鳥たちも身の危険を感じないから、片野鴨池に集まるという理由がよくわかりました。
鳥に限らず、動植物たちの安息の地を、人間のエゴで狭くして来ているんですね。
絶滅危惧種に指定されてから、初めて保護活動に乗り出すのは遅いような気がします。
その点、この片野鴨池の取り組みは優れた保護活動かもしれません。
でも、最盛期は10~50万羽いた越冬する鳥が5~6千羽に減ったのは残念です。
コハクチョウ、ガン、カモ以外の鳥の中では私が知っているのはダイサギとモズです。
特にダイサギは私が初めて手賀沼で撮影した、記念すべき鳥なのでよくわかります。
4回に渡る片野鴨池に飛来する渡り鳥のレポート、楽しませていただきました。(^.^)
片野鴨池の歴史を読んでくださり、ありがとうございました。
加賀市は私の郷里です。加賀温泉として知られる、山中・山代・片山津温泉があります。
他に市内には、九谷焼美術館、北前船資料館、山中温泉芭蕉の館、深田久弥 山の文化館、魯山人寓居跡、月うさぎの里などの人気スポットがあります。
坂網、素人がやってもうまくいかないようですね。
では、これからBS朝日を観てきます。
先日、飛行機から写しておられました諏訪湖は一昨日からの気温の上昇で、
一部を残して融氷してしまいました。
コハクチョウは居ますが、多数の他の渡り鳥が殆ど以前程見られません。
冠カイツブリも群れを成していたのですが・・・
現在は数羽しか見られません。
今日、私も、凍り付いている諏訪湖の一部でオオバンと採餌している「タシギ」らしきを目にしました。
余りの風の強さに吹き飛ばされそうになって、
何枚も写しているのですが、どれもピントが合って居ない写真ばかりです。
尾やお腹の模様が酷似しています。
嘴が少し短いかな~??
今度しっかり写してきた際には名前を教えて下さいネ。
モズは葦の間を飛び回っている光景をこちらでも良く見かけます。
色々な水鳥の様子、とても楽しく拝見させて頂きました。
歴史をみると、鴨池は銃猟から逃れたカモたちにとって、最後の行き場だったことが分かります。
では、どうして鴨池のカモが減ったかというと、それは周辺の湖沼で銃猟が禁止されたからです。
カモは周辺の湖沼も安全だと分かったので、狭い鴨池より広い湖沼へ移っていきました。
つまり、全体の数が減ったのではなく、分散したということです。
ですから、必ずしも残念なことではないかもしれませんね。
先日、手賀沼へ出かけてみました。
しかし、広い手賀沼のどこへ行ったらいいのか分からず、お目当ての渡り鳥には会えませんでした。
次回はしっかり調べて出かけたいと思います。
はい、たくさんのコハクチョウ、ガン、カモを観てきました。
カモは遠くにいて、よい写真が撮れなかったのが残念です。
写真を撮るには、都会の公園の方がよいらしいですね。
都会へ来るカモたちはあまり人を恐れず、近くで撮れるからです。
タシギをご覧になられましたか。
私はこんな近くで観たのは初めてでした。
以前観たのはずいぶん昔で、写真はありませんでした。
今回、写真が撮れてよかったです。
ヨシ原では小鳥が飛び交う姿をよく見ます。
しかし、すぐに藪の中に入ってしまい、うまく写真が撮れたことがありません。
先日、谷津干潟で初めてヨシ原での撮影に成功しました。
しかし、撮れたのはシジュウカラとスズメだけで、残念でした。
モズの方が値打ちがあると思います。
1500年、戦国時代に出来たとは、
それから冬鳥たちが、良いところを見つけたと
やってくるようになったんですね。
でも、たくさんの冬鳥たち、現在は、
制限されているのかもですが、猟もあるんですね。
そりゃ、昔の人には、冬の食料として、
貴重なものだったんですよね。
どうも猟って身近にないので、
のんびり日本の冬を楽しんでいるのかと思いきや、
今でも、あるんだと言うことを知りました(@_@)
へぇぇ~でした。
片野鴨池の坂網猟は17世紀末に始まって、今も続いています。
年間に獲るカモの数は200羽程度で、獲るのはマガモだけです。
獲ったカモは加賀市内の料亭で、鴨の治部煮や鴨鍋として出されます。私も食べたことがあります。
また、60年も前のことですが、いただいた鴨を自宅で祖母が料理していたのを覚えています。
最近の鴨料理のほとんどには、飼育した合鴨が使われています。
天然の鴨は身が締まっていて、味が濃いのが特徴です。
伝統の味として、自然との調和をはかりつつ、残していけたらよいと思います。