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・松永和紀さん基調講演

2015年12月06日 | セミナー

科学ジャーナリストの松永和紀さんは消費生活コンサルタントの森田満樹さんと共に
FOOCOM.NET」(フーコムネット)科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体を運営しておられます。

松永和紀さんの文章を書籍やインターネットで読みながら深く頷きどれだけ参考に、頼りにさせて頂いている事でしょうか。
今回、その松永さんの基調講演がある事を知り、しかも今話題の「機能性表示食品」がテーマという事で、
大阪から三重県津市まで車で駆けつけました。研究者、企業、消費者団体、三者の立場からの
ご講演は、バランスの取れたセミナーでした。

*クリックするとプログラムは大きくなります

 

鈴鹿医療科学大学の長村先生は医薬品、食品、食品の中でも保険機能食品と一般食品(いわゆる健康食品)の区分を
わかりやすく丁寧に解説する事からお話を始めて下さり、その上で「いわゆる健康食品」の問題点、危険性を語られ、
今回の機能性表示食品制度により問題解決の線引きのひとつにはなるのではないかと語られました。

事例報告としてサラダコスモの「大豆イソフラボン子大豆もやし」。
もやしは、小売では安売り商材の代表として扱われています。
主婦向け雑誌では節約レシピの代表。
売っても売ってもそんなに儲からない商品。
もやし事業を立て直せ、大豆もやしの良さを知ってもらいたいという思いがきっかけで機能性表示食品の開発をされたそうです。
発表されている大豆イソフラボンと骨に関するデータ、査読システマティクレビュー論文が豊富だったから、
フジッコのトクホの製品例があったから、などなど最も安上がりに取り組めたと正直にお話頂きました。

元々サラダコスモの「大豆イソフラボン子大豆もやし」は
もやしの中ではちょっと高いけれど質が良くておいしいからと購入していました。
サラダコスモの野菜工場を併設する、ビュッフェスタイルのレストランまで行き、
大豆もやしの料理用途の広さを堪能した私達にとって、
申請のご苦労話は、そこまでして取得したかったんだ・・・が正直な感想。

 「大豆イソフラボン子大豆もやし」機能性表示食品の生鮮品1号の発表があった後も、相談窓口には拍子抜けするぐらい
問い合わせが全く無かったそうです。
販路は広がったそうですが、既存店の売り上げが飛躍的に伸びた訳ではないとの事。
野菜売り場で大豆もやしをみかけ、美味しそう、食べたいと思って購入する事はあっても
「骨の健康に役立つ」から買おうと思う消費者がそれ程多くなるとは想像しにくいです。
買うかどうか判断する数秒間に頭の中でよぎる事は
「機能性?」「栄養食品っていうのもあったような・・」程度だろうと思われます。
本当に、付加価値として購入して貰いたいならいずみ市民生協の店頭POPのように
「機能性表示食品」の認知からのスタートが必要ではないかと思いました。
 
(クリックすると写真は大きくなります)
 

松永和紀さんは消費者庁には「消費者の誤解を招かない自主的かつ合理的な
商品選択に資する表示制度」とは書かれているけれど、一般消費者にその判断が出来るのだろうか。
また、機能性表示に必要な科学的根拠(エビデンス)の出し方について、素となる論文のレベルが低い、
質の低い臨床論文ひとつで機能性を表示している商品もあるなど、様々な問題点を提起されました。
個人的な見解とされながら
「本当にこの程度のエビデンスで機能性を表示していいと思っているのかと、企業の方々に本音のところを聞いてみたい」
「業界としての品質管理ガイドライン、広告ガイドライン等が必要」と。

消費者団体の強い批判や厚生労働省が全面的に支持している制度でない事もあり、
2年をめどに見直しもあるそうです。
そして、先日のクローズアップ現代にご出演された時にも
お話されていましたように
「食材に偏らずバランスよく食べる」
「適度な運動」「塩分の摂りすぎに注意」が
食生活の原典である事をお話されました。
それにしても、松永さんのお話は、課題の方向性を
消費者視点に戻してくれる唯一の存在でした。

 ご著書に「一緒に頑張りましょう」とサインを頂き、今後も主婦っとサーベイ
「プロのお客として消費者と企業の通訳」として励んで行く元気を頂きました。
もっと勉強して行きます。ありがとございました。



 

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