散歩者goo 

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グスコーブドリと地球温暖化

2011年10月19日 16時21分50秒 | エッセイ &余談 ・短感・片言雑事
私は、朝に私の3食分の食事を調理して冷蔵庫に保管し、食事前に出汁をいれ電子レンジで過熱して食べる。調理の時間は退屈なので、いつもラジオを聞いている。以前は、FMでクラシック音楽を聴くことが多かったが、最近は第二放送を聴くことが多くなった、

その中に朗読の時間という番組がある。普段は、専門書や新書はよく読むが、小説をほとんど読まない。そういう私にとって朗読の時間は、文学に接する貴重な時間と思うようになった。

少し前まで、太宰治の「斜陽」の朗読を聴いた。太宰治の本は余り読んでないが、朗読を聞いて、なぜ彼の本が人気があるのか少し分った様な気がした。

今日まで、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」の朗読があった。科学者らしいSF的小説で楽しかった。火山のエネルギーを利用するとか、爆発をコントロールするとか、当時の最新の学説を利用しながら執筆したであろうことがよく分る。

この話には、当時の社会では社会保障や人権保護もなく、農民が大凶作に見舞われると起きる飢饉=逃げることの出来ない格差問題・不条理に対する悲しみを描き、金のためにあくどいこともする人を通して、当時存在したであろう金儲け第一主義の粗野な資本家の暗部を示しつつ、農業技師として農業や農民への愛情が感じられる。

その中で驚かされたことがあった。 最後のほうで炭酸ガスと地球温暖化の話が出てくるのだ。まさに現代の我々が真剣に取り組んでいる地球温暖化問題と本質的なものは同じだ。小説では火山の炭酸ガスを利用して、炭酸ガスを放出し土地を暖め農作物の収穫を増やし、農民が幸せになるという話しだ。(下記参考参照)
実は、人類が生きてきた石器時代から地球は何度か大規模な気候変動を起していて、それが人類の文明の興亡や日本人の源流に影響を与えている可能性があるという。後日そのような話に触れてみたいと思う。


参考
青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/index.html
宮沢賢治作 グスコーブドリの伝記より(http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card1924.html)
ところが六月もはじめになって、まだ黄いろなオリザの苗や、芽を出さない木を見ますと、ブドリはもういても立ってもいられませんでした。このままで過ぎるなら、森にも野原にも、ちょうどあの年のブドリの家族のようになる人がたくさんできるのです。ブドリはまるで物も食べずに幾晩も幾晩も考えました。ある晩ブドリは、クーボー大博士のうちをたずねました。
「先生、気層のなかに炭酸ガスがふえて来れば暖かくなるのですか。」
「それはなるだろう。地球ができてからいままでの気温は、たいてい空気中の炭酸ガスの量できまっていたと言われるくらいだからね。」
「カルボナード火山島が、いま爆発したら、この気候を変えるくらいの炭酸ガスを噴《ふ》くでしょうか。」
「それは僕も計算した。あれがいま爆発すれば、ガスはすぐ大循環の上層の風にまじって地球ぜんたいを包むだろう。そして下層の空気や地表からの熱の放散を防ぎ、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろうと思う。」
「先生、あれを今すぐ噴かせられないでしょうか。」
「それはできるだろう。けれども、その仕事に行ったもののうち、最後の一人はどうしても逃げられないのでね。」
「先生、私にそれをやらしてください。どうか先生からペンネン先生へお許しの出るようおことばをください。」
「それはいけない。きみはまだ若いし、いまのきみの仕事にかわれるものはそうはない。」
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