散歩者goo 

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サイバー攻撃と戦争

2011年10月25日 16時00分31秒 | 政治・経済・社会・法律・文化
最近日本に対するサイバー攻撃のニュースが続いている。事態はいずれも深刻なものだ。今日は衆議院のパソコンやサーバーがウイルスに感染し、パスワードが盗みとられた疑いがあるという報道があり、衆議院事務局が事実を認め、全衆院議員にパスワード変更要請する騒ぎになっている。最近も三菱重工他の防衛産業へのサイバー攻撃が明るみに出た。戦闘機、ヘリコプター、原子炉等の情報流出の可能性も疑われている。

ネットのニュースサイトでは、このような中国側からのサイバー攻撃を具体的にうかがわせる記事も掲載されていた。「その証拠とは2011年7月16日にCCTV7軍事・農業チャンネルが放映した番組「軍事科技」の特集「ネットワークの嵐がやってきた」。サイバー戦争について解説した番組だが、中国人民解放軍謹製のサイバー攻撃ソフトが映し出され、しかも米国の大学がターゲットになっていたことがはっきりとわかってしまった。」KINBRICKS NOW(http://kinbricksnow.com/archives/51736701.html)

それ以外にも、「中国の大手チャットサイトなどで満州事変80周年の18日に日本の政府機関にサイバー攻撃を行うよう呼びかけがあり、人事院など3機関のウェブサイトが一時、閲覧しにくくなったことが19日、警察庁の調査でわかった。  中国の大手検索サイトの掲示板でも、日本の金融機関や民間企業を攻撃対象として書き込まれ、地方自治体の外郭団体のHPが「China-Hack・愛国同盟」というタイトルの中国語のページに改竄(かいざん)されたことも確認された。」(産経ニュース2011/9/19)という記事もある。このタイプのサイバー攻撃は妨害工作だけなので情報漏洩よりは被害は軽いが、重要情報の漏洩は致命的な被害を受ける。

「攻撃依頼を募る代行サイトの大半は中国語とされ、中国軍と「民兵」が連携したサイバー攻撃に米側が懸念を強める中、サイバー領域でも対中戦略が日米同盟の最重要課題に浮上してきた。」(産経ニュース2011/10/25)といったことも報道され、事件に中国のサーバーが絡んでいる可能性が疑われ日米の重要問題にもなってきているのだ。

日本には先端技術を保有する民間企業はたくさんある。サイバー攻撃に対し充分警備しているはずの国や防衛産業ですらこの状態であれば、当然日本の優良企業にも産業スパイ行為をするため、サイバー攻撃を仕掛けられ、知らないうちに重要情報が他国に漏洩している可能性も考えられる。

中国が必要とする情報は、官や民の機密情報であることは推測される。重要情報の漏洩は、日本人が積み重ねてきた科学技術の知的財産であるノウハウが無価値になることであり、相手に知れることで、その分野での日本の優位性は失われることになる。これは科学技術の価値に関しては根源的問題なのだ。漏洩前は千金の価値あるものが、皆に知れ渡れば、誰でも知っている一般の物・事になるのだ。防衛面では、情報漏洩は、日本と同等又はそれ以上の高性能兵器の製造につながる。また日本側が秘密にしている、国家戦略や企業の戦略が漏れると、その情報を逆に相手が利用することにより、戦略的に立場が逆転するであろう。中国側から見れば、サイバー攻撃をかけることで相手の重要情報を得ることは、孫子の言う「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」なのである。

情報戦は実際の戦争と同等の効果を持つものと思われる。前に述べたように、こちらでいくら戦略を立ててもその戦略が漏洩すれば、相手がこちらの裏をかき立場を逆転できる。その意味でも国家として、民間とも協力して、あらゆる情報戦に対応できる最強の組織を防衛省内に作るべきではないか。そしてその成果を民間セキュリティー会社に還元し、日本の企業・大学・研究所も、他国からのサイバー攻撃から防御できるようにすべきだと思う。
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