日印 海洋での安全保障協力で合意した。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120430/k10014816411000.html
この問題は、国内では大きく報じられないが、国際的に見ると日米同盟も含め、軍事的には非常に大きな動きの中で展開されている駆け引きの一つで、南沙諸島の問題も含め、軍事大国の日本は、既に好むと好まざるとにかかわらず、非常に大きなパワーゲームの中に引きずり込まれてる。
中国の尖閣諸島での行動や発言を見る限り、軍事的対応なしの場合、沖縄まで中国領と言い出しかねない。
(事実沖縄は、江戸時代、薩摩が支配したが、同時に琉球王国の沖縄は中国への朝貢国の一つでもあった。そのことを盾に沖縄は中国領と言い出しかねない。)
又南沙諸島では、中国海軍と、フィリピン海軍が対峙していて、それにベトナム軍と中国軍も向き合っている。
アメリカとフィリピン・ベトナムは急速に軍事協力を深めつつあり、軍事演習も行われている。
中国は、南沙諸島の領有権を主張し絶対に譲れない線としていて、場合により軍事行動も起こすという。
日本の尖閣諸島もそれに含まれる。(第一次列島線)
インドと中国は、中印国境紛争があり、長年敵対関係にある。
パキスタンと中国は、軍事協力を強化している。
インドは、パキスタンとカシミール地方で領土問題を抱えていて、度々交戦している。
このような関係の中、中国海軍はパキスタンとの関係も含め、インド洋を視野に入れている可能性もあり、そのような目で、今回の日印安全保障協力の意味を考えるとわかりやすい。
(昨年5月には、「中国政府が、パキスタン南部の港湾都市グワダルに海軍基地の建設を求めるパキスタン側の要請を受諾したと報じた。・・・中略・・・中国は既に、インド洋に面した各国に海軍基地を建設し、インドを包囲してきた。中国は、バングラデシュのチッタゴン、ミャンマーのシットウェ、スリランカのハンバントタなど、インドの東と南を囲む軍事的要所で、海軍基地の建設工事や計画を進めている。中国が、インドの西方にあるパキスタンのグワダルにまで進出した場合、インドは四方から中国に囲まれることになる。」といった2011/5/24の朝鮮日報の記事もある。)
ところで、このような状況を見る限り、軍事問題は相手のあることで、中国の場合こちらが平和第一で引き下がれば、無条件で領土に進駐してくる可能性があるであろう。
憲法にあるとおり、ほとんどの日本人は平和を希求し、武力での紛争解決は望まない。
しかしヒットラーのような人物に対しては、そのような話は通じない。
現実問題、日本周辺には北朝鮮のような国もある。
そのためには、抑止力として自衛隊は必要だし、相手の力を抑止できる能力が必要であると考えている。
基本は専守防衛と、国連機関指揮の下の平和維持活動であろう。
中国の問題は、国家が民主化されていないここと、軍が国政に強い発言力を持っていることだ。
シビリアンコントロール効いているのか疑わしい。
多分中国軍の考え方は、国益にかなうことなら何でもするということだろう。
資源の為なら、侵略も辞さないのだろうし、中国の関係する南沙諸島や尖閣諸島でそれに近いことが起きたり、主張されている。
残念ながら、今でも世界の常識は、実効支配した国が、その状態を固定化することが一般化しているのが現実で、竹島問題ですら、韓国は国際司法裁判所での解決を拒否している。
アフリカや中東で現在起きている様々な国境紛争の例を見れば明らかだ。
無論この状態を良しというつもりは毛頭ないが、交渉事は相手あってのことで、現実にあわせなければならない。
イギリスですら、フォークランド紛争の例もあるし、アルゼンチンでは未だにこの問題がくすぶっているという。
世界で実効支配とは、軍事力に他ならない。
その論理で行くと、軍事力は大きいほど良いことになり、願わくば世界一が良いと、どの国も思っているだろう。
どの国も、軍事力は自分の国の経済力以上のものを持ちたがるし、軍拡競争は常に起こりうる。
戦前の日本軍がそうであったし、今の北朝鮮はその典型だ。
しかし、軍事力だけで物事を解決しようとする、帝国主義的考え方は、後発組の帝国主義国の日独伊が引き起こした第二次世界大戦で幕を閉じ、その解決策として、国際連合ができた。
だが、現実には紛争解決の手段として、武力解決が今も主流で、国同士の戦闘がある程度落ち着いた段階での、国連の仲介によるPKOが主流である。
中小国の武力紛争では、大国(常任理事国)が合意した場合のみ話し合いでの解決が計られ、大国や有力関係国の利害が一致しない場合は、代理戦争が延々と続くことになる。
現在の日本は、侵略はしないが、今の領土は守らなければならないと思う。
無論、憲法9条は変える必要は無い。
平和主義でありながら、国の存立を守る自衛権を有するのは、当然のことだと思う。
今のアジア情勢で、無防備で国益は守れないし、警察力だけでは他国から、わが国を虫食い状態にされるだろう。
仮想敵国の実際の攻撃力を、抑止力で抑制するだけの防衛力は必要だろう。
従って、その装備は仮想敵国の状況に応じて、変化せざるを得ない。
防衛に関しては、鶏が先か、卵が先かの議論もあるが、専守防衛で、防御だけは完璧にすべきだろうと思う。
その意味で、日米同盟は、現状では不可欠だと思う。
しかし、世界の警察官としてのアメリカの肩代わりについては、断固反対すべきだ。
日米安保だけでも、アメリカも充分恩恵を受けているはずだ。(日本が盾となっている。)
国連決議があればPKOは問題ないだろう。
戦争はいかなる場合も避けるべきだ。
戦争は国家による合法的殺人行為である。
同時に、戦争中にありとあらゆる場面で、違法行為や不条理を起こし、戦場の非日常は、人間の人格を変える。
過去や現在のの戦争・紛争では、こうしたことは当たり前のことであった。即ち、民間人への、殺人、暴行、強姦、窃盗・・・・・が戦争という名の下に覆い隠され、一部が表に戦争犯罪行為として出てくる。
万一他国に侵略された場合、どのような形にしろ、弱者(障害者・傷病者・老人・子ども・女性)が最も犠牲を強いられる。
たとえ、戦争しなくて無血状態で侵略されても、占領者の意志で、無政府=無法状態(占領者の意のまま)になることも想像される。
近代でも、ナチやソ連の統治下の状況を見れば分る。
スターリンの統治下のソ連・東欧諸国では多くの自由を求める人たちが、虐殺され自由を奪われた。
芸術家は、自分の意思に反した陳腐な作品を作らされた。
ハンガリー動乱や、チェコでは多くの人が虐殺され、人々の自由は奪われた。
敗戦後、進駐軍により平和的に占領された米軍統治下の日本でさえ、治外法権の進駐軍に庶民は苦しめられた。
ましてや、武力で侵略され、相手が非民主主義国の場合、その統治は、推して知るべしであろう。
このようなことを考えると、生命、財産や基本的人権を守るための、抵抗権=自衛権は認められるのだろう。
ただし、今の日本で現実的にはそのような事態は考えられないが、国際情勢はいつ急変するかもしれないことは、歴史の教えるところだ。
軍事面のみから上記の事項を見ると、中国軍は国益重視で資源のあるところには、領有権を主張するという側面があるので要注意だが、だからといって、中国が、軍事力を振りかざして、日本に対し軍事的な小競り合いを起こすということではない。
だが、現実には、中国軍が台湾や南沙諸島や尖閣諸島を含む第一列島線や第二列島線を決めているのも事実であり、それに沿って中国海軍は活動していて、日本が平和友好を唱えても、丸く収まる話ではとても無い。
相手は、いかなる犠牲を払ってでも死守するという強い信念を内に秘め、ひそかに時が熟成するのを待っているのだ。
だが現実には、日本は実質的軍事大国であり、中国軍がうかつに日本に手出ししても、ベトナムやフィリピンのような小競り合いというわけにはいかない。
さらに、背後にはアメリカも控えているということもあって、現状を維持する限りそのようなことは、考えられない。
台湾や南沙諸島にしても、中国軍は、米軍を気にして、本格的侵攻には踏み切れないが、フィリピン軍やベトナム軍との小競り合いや、台湾の金門島への砲撃等は、可能性はある。
その一方、経済面では台湾とは、既に結びつきも強く、香港のような、平和的統一も視野に入れているのだろう。
以上のように防衛問題の物理面だけ考えると、近隣諸国で当面の具体的脅威の国は中国とロシアということになる。
この問題について、果たして、軍事力のバランスだけ考えて、それでいいのだろうか。
先に述べたように、軍拡競争をすると切がなく、経済の実力以上の資金を軍事につぎ込むことになりやすい。
そこには、あらゆる巨大軍隊(旧日本軍や米軍、ナチス・・・)につき物の産軍複合体や、死の商人の問題もある。
彼らが、儲けの為に、意図的に民族主義を煽り、カネで政治家やマスコミを操り、戦争をあおる側面も見逃せない。
軍事力は、シビリアンコントロールがしっかり出来ていないと暴走する。
防衛は、軍事面だけでなく、外交も有力な武器である。
冒頭で問題にしたのは、中国の海洋進出の実態である。
軍事力等の物理的側面のみ見ると、非常に中国は危険に見えてくる。
果たしてそうであろうか。
日本と中国は、経済的にも、文化的にも、過去から現在まで非常に深い結びつきがある。
経済関係では、お互い縁を切ることのできないパートナーになっている。
いまや日中貿易は、日米貿易の倍になっている。
中国市場に関しては、世界の大企業の多くが、中国に進出していて、日本も例外ではなく、今後世界最大マーケットになるだろう。
経済文化面では、我々は、今後とも中国とも友好関係を築きたいと思うし、平和的関係であるべきと思う。
現実問題、経済面では、日中関係はきっても切れない関係になっているのではないだろうか。
無論インドの消費も中国同様期待できる。
インドは、今まで見てきたことからすると、軍事的にも、日本の友好国であることが理解できる。
中国の軍事面での動きも今は活発であるが、それでも中国の潜在的な市場の魅力は大きいだろう。
今後更に経済が豊かになり、経済的結びつきが強くなれば成るほど、民間レベルでの人的結びつきも強くなり、相互理解も深まる事により信頼関係が増すことになり、軍事的警戒心は、お互い自然に低くなる可能性が強くなる。
そのような状況になると、相互理解が更に進み、価値観を共有出来る人も増えるだろう。
その意味で、お互い領土問題を強調しすぎて、経済関係を損なうのは両国にとってよくない。
日本は、中国とも平和友好と経済交流をもっと積極的に推進し、両国の価値観の共有が進むよう努力するべきである。
その上で、防衛問題も同時にしっかりと対応するという、矛盾した対応を続けるしかなく、万一中国軍に侵略的兆候が見えた段階では、事務的にはっきりした警告を出すべきであろう。
現実に問題が起きれば、実務的に防衛と外交の両面でしっかりと厳正に対応し解決すべきである。