SMILES@LA

シェルターからやってきたミックス犬のニコとデカピンのニヤ。どちらの名前もSMILEの犬姉妹の思い出を綴ります。

避妊去勢を考える(続き)

2016-06-16 23:46:22 | まじめな話
前回書いた後に「どうまとめようか?」と考えていたら、どんどんまとまらなくなってしまって
考えてみたら、自分のブログなんだし自分が思ってることをただ書いてみればいいかと思い直し
「伝える」ことよりも自分の考えていることを洗い出すために書いてみます。


「ふーん。人間てややこしいんだね。」

そうだね。おかーさんも本来はややこしいことは好きじゃないんだけどねえ。

前回も書いたように、ニコニヤは避妊手術済みであることが当たり前の前提でうちに来ましたし
アメリカに住んでいると、避妊去勢は責任ある飼い主として当然という気風があるので
ニコと暮らし始めた当初は特に何の疑問もありませんでした。

子犬のうちに手術をすることも、シェルターから新しい飼い主に引渡し前に済ませておかなくてはいけないので
それは仕方のないことだよねと思っていました。
でも色々な書籍やネットの情報に触れていくうちに「手術は早い時期に施すほど傷の回復も早いし
体への負担も少ない」という意見にはなんとなく違和感を持つようになりました。
ちゃんと資格を持って開業している獣医師からも、こういう意見はありました。
自分には医療の知識はないし、あくまでも自分の感覚だけの話だから、声をあげて反論したり質問したりはしなかったけれど。

とは言え、避妊去勢手術を普及させることで犬猫の殺処分数を減少させるというアメリカがとった方法は
評価に値すると思っています。
唯一にして最善という方法ではないかもしれないけれど、選択肢の一つとしては良い方法だと思います。
だから「アメリカとかカナダでは、避妊去勢を当たり前のように行っているから遅れている。」というような
コメントなどを目にすると大人気なくムカッとしたりもする。



「ああ、あれね。自分で自分のダンナの愚痴言うのはいいけど、よその人に悪口言われると腹立つみたいな。」

日本でも、行政の協力を得て安価な避妊去勢手術の普及が出来たら、変わってくる部分もあると思うんですよ。
富士丸のとうちゃんこと穴澤賢さん、今は二代目三代目の犬たちと暮らしていらっしゃいますが
二代目の大吉くんを迎えた時にどこかで書かれていたことがすごく印象に残っています。
大吉くんは白くて毛の長い和犬系雑種ですが、大吉くんの出身地域には彼とよく似た毛色の放し飼いのオス犬がいて
毎年のように近隣のメス犬たちが、白い毛の長い子犬を産むのだそうです。
メス犬たちも外でつなぎ飼いが普通の地域なんですね。
大吉くんは保護団体に保護されて、良いお家に迎えられてラッキーだったけれど
「あーまた生まれたよー」って問答無用で保健所に連れて行かれる子犬たちも多くいます。

この一例だけで日本全体を「こうだ」と決めつけるつもりなど全くないですよ。
でもこういう例は、確かに日本のあちこちに存在しているんですよね。
だから頭ごなしに避妊去勢を否定する人たちを見ると、とてつもなく歯がゆい気持ちになる。



「歯がゆいって言うより、おかーさん時々すごい怒ってるよねー。」

もちろん頭ごなしではなく、色々考えた上で避妊去勢を選択しない人もいますよ。
前回も書いた避妊去勢が健康に及ぼす影響などを勉強して、その上で「しない」と結論を出した人。
それは正しいことだと思うし、飼い主さんがきちんと考えて出した結論は尊重されるべきで
他人がとやかく言うことは間違っていると思います。
こういうタイプの人は無責任な繁殖などもしないし、シーズン中の犬の管理もきちんとする人がほとんど。

問題なのは特に何も考えずに「めんどくさい」「お金がかかる」「かわいそう」などの理由で放置する層。
そこまではっきりと無責任でなくても、中途半端に「ヨーロッパでは避妊去勢ってしないんだって。」とか
「避妊去勢するとガンになりやすいんだって。」と、情報のほんのちょーーっとの一部分だけを聞きかじって
「じゃ、やっぱりやめとこうか〜」という層もいる。

以前に発表された避妊去勢済みのゴールデン/ラブラドールの関節炎とガンの発症率の関連、
先月発表されたジャーマンシェパードの同種の研究、アメリカ発の研究なので
当然ながらアメリカでも話題になっています。
避妊去勢とその処置を行った時期別に、関節炎やガンなどの疾患の発症率の統計を取り
避妊去勢と健康への影響を調べるというものですが、前回も少し書いたように
「ちょっと待って」と鵜呑みにすることに警告を出す獣医師もいます。
私がこの種の情報を目にするといつも思うのは「あーきっとまた都合のいいところだけ飲み込んで
やっぱり避妊去勢はしないほうがいいよね〜って層がまた生まれる。」ってこと。

もちろんこういう情報を知っておくことはとても大切だし、判断の重要な材料にするべきことです。
でも権威のある機関や博士の研究というだけで、社会で実際に起きている現実から関心が奪われていく。
そういうことが心配になって、毎度みぞおちにイヤーな重い塊がモゾモゾしている気持ちになります。

(批判されるのは承知で個人的な気持ちを書くと、この研究をしている博士「シェルターにいる犬というのは
なんらかの問題があって、そこに連れてこられた犬です。」とか言っちゃう人なので、どうしても好きになれない。
って言うか、はっきりぶっちゃけて言うと「やかましいわ。何もわかっとらんなボケ。」と思う。)


「また延々と書いたわね〜。スッキリした?」

うん、わりと。

自分の大切な愛犬に手術を受けさせるかどうかで頭を悩ませるのは当然のことです。
そんな飼い主さんのためにも、前回も書いた手術無しの去勢方法などの選択肢が増えるといいなと思っています。
メス犬の避妊方法は、今のところ強い副作用の可能性が高いホルモン療法か手術しかありませんが
避妊手術が卵巣と子宮を全部切除する方法と、卵巣のみを切除する方法を選択できる獣医さんも増えているようですね。
卵巣のみの切除は腹腔鏡手術になるので、傷口も小さく術後の回復も早いので負担が少ないようです。
子宮は残っても、卵巣からの性腺ホルモンは出ないので子宮も小さく縮んで、子宮の疾患の発症率もとても低くなるそうです。
ただし、卵巣が取りきれずに少しでも残ると避妊効果が無くなる場合もあるので、医師の腕の見極めが大事とか。
また、もともと子宮に疾患のある場合には卵巣子宮両方の切除が必要になります。

卵巣のみ切除ができる動物病院も増えているそうなので、これから手術を考えている方は
一度獣医さんに相談してみると良いかもしれません。

長々とおもしろくもない話に付き合ってくださった方、ありがとうございました。



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コメント (7)
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