2ヶ月ほど前に「腎臓疾患と食餌」というテーマで記事を書きました。
ご質問を頂いたことに答えるために調べたことを、他の方にもお役に立つかもしれないと思って書いたものですが
その後「腎臓の療法食はタンパク質を低く抑えて、その分脂肪分を多めにするため膵臓に負担がかかり始めた」とご相談をいただきました。
それでまたそのお答えもここで共有しておこうと思い、書いておくことにしました。

「また面白くないお話ね。」
ま、確かにね。でももしかしたらどなたかの役に立つかもしれないじゃない。
膵臓は消化酵素を分泌して、それを消化管に送り込む働きをしています。
皮肉なことに腎臓の療法食は、食餌としてのバランスが悪くて消化酵素を分泌する膵臓に負担がかかります。
膵臓をいたわる食餌は高タンパク低脂肪が基本で、これは腎臓療法食の正反対。
腎臓を悪化させずに、膵臓もいたわる方法を探さなくてはいけません。
まず、膵臓をいたわるのに一番良い方法は食事をしないで消化器官を休ませることです。
食べなければ消化酵素を分泌する必要がないですからね。
週に一度、断食の日を作ります。丸一日が無理なら半日だけでも良いです。
鶏肉のスープの煮こごりなどだけあげるというのでもOK。
断食は膵臓だけでなく、肝臓の数値が悪いなんていう時にも有効です。

「なにそれ?ごはん抜き?サイアクー。」
最悪じゃないよ。体にいいんだから。
膵臓はインスリンや消化酵素を分泌するために働く器官ですから
食事をしなければ完全に休むことができます。
動物の体は、空腹の時に体を調整するためのホルモンは十数種類あるそうですが
満腹の時に分泌するホルモンはインスリン1種類のみです。
もともと動物の体は空腹に耐えられるようにできているのですが
現代人やペットは空腹の状態になることが少ないので、空腹調整のホルモンが分泌されにくくなっています。
たまにお腹ペコペコの状態を作ってあげることは、内分泌系の調整にもなります。
消化酵素を分泌する膵臓を助けるために、食餌に消化酵素とプロバイオティクスをプラスするのも有効です。
ペット用の乳酸菌や酵素のサプリメントも販売されていますが
手軽なところでは強力わかもとやエビオス錠を体重換算して与えている人も多いようです。
強力わかもとやエビオス錠はビール酵母、消化酵素、乳酸菌を含みます。
ビール酵母に多く含まれるビタミンB群は穀類などの糖分を分解するのに必要です。
糖分のための消化酵素分泌を助けるので、膵臓にもヘルプになります。
これはペット用の発酵食品。口コミで評判の良い商品です。
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こちらはペット用プロバイオティクス
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また消化の負担を減らすために、一回の食餌の量を少なくして1日に3回以上に分けて与えるのも良いそうです。

「1日3回以上ごはんが食べられるのはいいこと!」
手作りの食餌を与えている場合は食材の組み合わせにも注意します。
肉と穀類、野菜、脂肪はそれぞれ消化吸収の代謝速度が違うので膵臓はそれぞれ別の酵素を分泌しなくてはいけません。
膵臓の機能が低下している時には一度に多種類の消化酵素を分泌するのは難しく負担になるため
消化の度合いが同じようなものを組み合わせて与えます。
1日に何度かに分けて与える食餌で、「穀類と野菜」「穀類と果物」「肉類と野菜」「肉のみ」などの組み合わせにします。
肉と穀類は消化に必要な酵素が大きく異なるので一緒に与えるのは避けます。

「肉類と野菜とか肉のみとかはいいけど、穀類と野菜だけの時ちょっとさびしい。」
今のところ、ニコには膵炎対策は必要ないよ。
でも食事の回数を変えるとか、食材の組み合わせを変えるだけなら、副作用の心配なしにトライできますもんね。
参考になることがあれば幸いです。
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