SMILES@LA

シェルターからやってきたミックス犬のニコとデカピンのニヤ。どちらの名前もSMILEの犬姉妹の思い出を綴ります。

年をとったなあという実感

2017-10-07 21:05:43 | ひとりごと
犬と全然関係ない話なんですが、ちょっとどこかに書き残しておきたかったので。


「またニコに関係のないお話なんだって。」

2008年の映画でアカデミー賞外国語映画賞も受賞した『おくりびと』はご覧になったことがありますか?
本木雅弘さんが演じる主人公が、思いも寄らずに納棺師という職業に就いたことから、亡くなった人を送るということを丁寧に丁寧に描いた映画です。

私も大好きな映画なので、今までにも何度も観ています。
先月、母が亡くなって葬儀社の方と打ち合わせをしていた時「こちらのプランには含まれていないのですが、納棺の儀というものがあります。」と説明を受けました。

(ちょっと余談だけど、お葬式ってすごくシステマティックにパッケージになっているんですね。
葬儀社の方はとても親切で物腰も柔らかく、マナーも心得ていらっしゃるんだけど、よく考えたらけっこうガンガン営業かけられてるなと思って、笑いそうになる部分もありました。
お身内を見送られた経験のある方は心得ていらっしゃるかと思いますが、お葬式って自分のことでもお身内のことでも、元気なうちに具体的に考えておく方がいいなあとしみじみ思いました。
互助会とか葬儀の早割(本当にあるんですよ!)とか、早いうちから下調べしておいて邪魔になることはないと断言できます。)

で、話は戻って「納棺の儀」
うちでは母のためにこの儀式をお願いしました。(自分が見てみたかったというのもあるんだけど。)
結論から言うと、この式はお願いして本当に本当に良かった。

お通夜の前に、病院から運ばれた母の髪や体をきれいに洗って、着物の着付けをして、お化粧をして棺に納めてくださるまでの儀式なのですが
納棺師の方お二人が、母の体をこれ以上はできないというくらいに丁寧に丁寧に大切に扱ってくださるのを見ることで、自分たちの気持ちがとても鎮まったんですね。

病院の看護師さんも医師の方々も、とても親切で丁寧にしてくださったんですが、医療措置というのはどうしても患者にとっては辛い場面もあります。
そしてそれを見ている家族にとっても辛い部分もやっぱりあります。その辛かった部分が納棺師の方が母を美しく扱ってくださったことで、ものすごく救われました。


『おくりびと』の予告編。なぜかフランス語字幕がついてるけど。


実際には映画と違って簡易浴槽を持ち込んで、本格的にシャンプーや入浴をしてくださいました。
その間も映画と同様に絶対に肌は見せないの。
見とれるような手際の良さと美しい所作で、本当に儀式と呼ぶのがふさわしいものでした。

私は外国に住んでいるために、親しくしていた人のお葬式に出られないことが多いです。
そのせいで、その人が亡くなったという確かな実感を持てないこともあって
「お葬式って、残された人送る人の心の整理のためでもあるんだなあ」と常々思っていました。
そして今回、送る側の心の整理という役割を一番強く感じたのが『納棺の儀』でした。

決して他の方にも勧めるというわけではなく、個人的な体験として書いて残しておきたかっただけです。



「人間っていろいろ面倒くさいのねえ。」

うん、確かに。
でも若いころはニヤの言うように面倒としか思わなかった儀式というものが
意味のあることなんだなあと実感としてわかるようになったことで
いい年をしてやっと大人になったと言うか、年をとったんだなあと心から感じる2017年であります。


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コメント (5)
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