早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和四年十月 第八巻四号 近詠 俳句

2021-05-24 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和四年十月 第八巻四号 近詠 俳句

   近詠
碪邉やともしび漏れてひと増ゆる

庭下駄の日あたるを履くや野分あと

月下弦道一筋を談じ行く

秋雨の人に降りけり細木原

花雛来て谷々葛のみだれかな

橡餅や霧につゝまれほろ苦がし

刈り入って舟尻のこす蘆の中

穴まどひ零餘子こぼしてのぼりゆく

   螢
胸に来て火を失えし螢かな

螢やすだれのすそは水にあり

庭掃いて宵のほたるを迎けり

筆墨を亭に運ぶに螢かな

神の鈴鳴らせば来たる蛍哉

   良夜舟遊  <尼崎句會主催観月の舟を浮かべる>
船の中ひろしと歩るく月の三五

舷は月の細江となりにけり

   早春社八月本句會
稲の花水の茜を徒ちわたり

稲の花所の富士を仰けり

   早春社中央句會
艸の實の艸にわかしや露そみて

艸の實の池塘の風に出たりけり

秋隣畠中何か焼く暮れの

   早春社岡町例會
湖騒にはなれて来たり艸の花

ほど遠くひとつの燈艸の花

   早春社神戸例會
初嵐野に摘む花に吹きにけり

西瓜船市のあかつきまちにけり

   早春社上町倶楽部
橋高く燈りて喜雨の往来かな

濠水に喜雨の波立ち乙鳥

蚊火低く雨にくだりて行にけり

雷鳥の雪にかげさし御来光

   早春社妙見創設二周年記念大会
山の上雲は丹後へ竹の春

山の木に風まちまちや秋の蝉


朝暁の峡おろすや鮎の水

青栗に朝焼さして徑の上

   早春社同人会
鶏頭のたつ莖そまり来りけり

苧殻折るまづは心に父のはし

   
   打出句會
ずたずたの芭蕉の葉間月若し

釣りの糸吹く風芦に秋の聲

   編輯所寓座
木の上にましら来てゐる泉哉





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