早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十五年十一月 第三十巻五号 近詠 俳句

2022-07-15 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十五年十一月 第三十巻五号 近詠 俳句 

   近詠
  奉祝紀元二千六百年の秋
まさ道はすめらみ土に菊さかる

荒魂和魂世々を天高し

草の花に日照るあまねし祝ぎまつる

とこしへに國のまなかの菊の花

秋光に祝ぎつ正しつ血と心

   ○
露ためてしろきはしろし蕎麥の花

清澄を地に見て木賊林する

字々を綴る湖汀に竹春す

茸狩りをこゝに離れて山気あり

菊の花ひとに嚴しき時のあり

茨の實垣のうちまで川氾る

信濃人の話の中の霞網

秋の道林に入れば班ラ日南

大案山子うしろも顔の描き損じ

頬を掻いて白き瞼の露の鳥

秋出水道頓堀は炭屋河岸

一亭へ一木もなき芝紅葉

鳥居より社見えずに夕花野

秋の海の島奥まつる瀛津神

屯して辻のむすめら秋まつり

夜學子のたちて畳に椎こぼるゝ

菊人形の顔かはいそう何を何處を

燈下親し稽古をあげし土俵の砂

鵙の聲冷たし西の照ながら

ゆうべより今宵冬近か天の川

春の神祗
供進使の横顔さむし祈年祭

遠隅に社家の干もの祈年祭

塗沓に風花ちるを祈年祭

祈年祭雜木あらしにすみにけり

  花のあと
花のあと雨しらしらと日毎ふる

日々詣る社頭いつしか花のあと

花のあとならび浮びし魚の顔

  瓜の花
瓜の花闇あるときのしらけたる

瓜の花に遭ひては村に迷ひ居り

  枯葉
峠吹く風を枯葉に避け入りて

うしろより枯葉捲き散り下山みち

山日南枯葉しごきて風なかり

  早春社十月本句會
松籟のほかを往くなる秋の人

艸紅葉岐るゝみちのあれば入る

草紅葉こゝみて風を一掬す


  一番町會第六次俳句會
とんぼうの何れとまらず雨後の樹々

出來秋の凪いであつさを蜻蛉飛ぶ

壁に居てはなちゃらんも破れとんぼ

   横山操女惜別句會
筑波おもへば日立思へば君がもと

忘れざれ十三堤のむしの夕







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