早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十七年十二 月 第三十四巻六号 近詠 俳句

2023-09-25 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十七年十二 月 第三十四巻六号 近詠 俳句

  近詠
  十二月八日を迎ふ士気日本
初霜のひとつ落葉に濃かりけり

倖せを落穂ひとひつ申しけり

村の子のこゝろ苅田に親しめる

冬に入る鶏頭かげること多し   

冬ぬくゝ南天漂と疎なりけり


冬の燈はみなが寝てより頬にぬくし

稚き葉は白縁うたん枇杷の花

鷹の舞ふ蒼空雲のきれてゆく

筏解いてその一本に冬の人

街路樹の木の葉を拂ひ飯櫃畚賣れる

あやまちし墨のひろごり冴ゆる夜ぞ

冬籠り川に鷗のいまだ來ず

(脚痛)あるときは湯葉も憎しまゝならぬ

足袋を履く微塵つゞくりあたゝかし
暖擄の前に二三轉して忙し去る

短日の工場渡船銅鑼を打つ

石崖の日にかげ去りし鶲かな

石佛冬野の何處へ運ばるゝ

松凍てゝわだつうみ神白夜なる

冬日いでゝ川波遡るこまやかに

水鳥にかくれてやりぬ治水の碑

蓮の骨晴れて人馬の道高し

残月の茶室寫して硃砂根染む

山茶花の日透くはなびら散り易く

落葉坂下りためらへば登り來る



    新樹
朝はなれゆくにやみつゝ新樹雨

無帽見る鎌倉山は新樹なり

新樹一木ながうして橋のなし


    紅葉
紅葉山暾わたり露の梢にも

茶店焚く煙のかげが紅葉樹下

橋のうへ一木ひろごる紅葉かな


    

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