早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十二年四月 第二十三巻四号 近詠

2022-01-04 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十二年四月 第二十三巻四号 近詠 


   近詠
娘があれば承知すまじき雛を購ふ

藁灰を替へてしたしき春火鉢

冱え返るひとつのこりし河鹿にて

坊主桐一本植ゑて風光る

添へ土の乾くは早し桔梗の芽

木蓮のいつまで裸青あらし

蝿生れて川をわたつてゆきにけり

行く雁の雲には入らぬ羽打ち見ゆ

蝶若く楚をもつれのぼりけり

囀りや不意の一羽が空さしぬ

桃の花渉れる水ときめいて往く

花近し夜風を頬に皆が皆

花鳥
肩の柴おろす響きに花鳥かな

花鳥みな霞にかへる夕ぐれよ

雲になほつめたさあるを花鳥かな

木の中や花鳥入るほどかがやきに

  初虹
初虹や廣丘に松と二三戸す

初虹や顔にさす日のあたゝかし

初虹の下耕人のにぎはしく

  葉牡丹
葉牡丹とその影大や壁の隅

葉牡丹や正月よりの籠り癖

  早春社三月本句會
ひとくれの春の土より蔵すもの

天王寺の塔はなけれど種もの屋

人好さの老の言葉に種を買ふ

   早春社青鈴句會三月例會
風光る雨の水輪の忘れ忘れ

白日に炎匂ふて蠑螺やき

   早春社二月例會 
白魚汁年忌ふるきは目出度けれ

白魚のそろわぬゆがみうつくしく

   霜田山魚追悼俳句會
若く逝きし汝を楚にかなしみぬ
















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