早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十年七月 第二十巻一号 近詠 

2021-10-12 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十年七月 第十九巻七号 近詠 



挿菊のいのちたしかな萎れかな

鳥瓜と思ふ葉なればうりは蟲

噴水と柳と風の違ひけり

月見草咲きしは赤で河岸の蝿

垣の外は夜の若者月見草

たかきより干衣のしづく夏の朝

短世の六つ並びたる地蔵かな

夏陰の地を走りたる雀かな

茂り中君見る我眼青きかも

百合の花しぼみて露に飽ける哉

客来に起きて陶枕撫しにけり

町裏や蘆青く細き煙筒と

羅のしゝむら締めてまろき哉

蝉鳴いて麓の村の聲のして

夜を踏みて喜雨の村坂仰ぎけり

井戸側の苔つけて麥茶冷やし哉

(新町)夜も日笠御田戻つて廓練り

湖に付く町々夏日射返しぬ

班猫の失せし思へば我影に

早乙女のいとまの顔に雨の玉

雁爪を腰にし胘を乗せてゆく

五月雨の笹間を暢びし花薊

苔舟や五月大雨打ちけむり

テニスコートいとも梅雨降る夕かな

梅雨川の町貫いて海指せる

梅雨霽れや草の節くれ壁に立つ






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