
『宋斤は昭和十九年五月十二日 ついに闘病叶わず永遠に俳句の眼を閉じねばならぬ日が来た。
芸術は永く生命は短し、宋斤はこうして敗戦を知らずして逝ったのである。享年五十七歳。
皇風萬里鯉風亦萬里
この年の正月に、宋斤が初孫東君の誕生を祝って描いた兜の色紙があって、臨終前の重態を押して筆を取り、その色紙に自画自賛したのが、宋斤の辞世句であり、絶筆である。』 藤本阿南著「俳人永尾宋斤」より
宋斤の俳句「思い出の記」より
昭和十九年
病牀句
三月ある日蝶空をゆくかぎりゆく
春の露葉先おさえてそよがしぬ
春落葉川中川の汀なり
たんぽぽ土筆あざみ未だと開始中
於病床見舞句會 (四月九日 六橋観)
舟つけてあがるいづこも蓬かな
春光に牛乳一石青きかな
磧行蓬母子と露白み
絶句(昭和十九年五月十一日午後八時作句)
空吹ける風はれ満ちて鯉薫る
皇風萬里鯉風亦萬里
今年二月九十五周年を迎えた早春社では、毎年この時期に「宋斤忌句會」が催され、
豊中曽根崎 萩の寺の墓前・句碑にも参詣していただいています。
早春や枯れたるものに光あり 宋斤

※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます