早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤忌 5月十二日 

2021-05-14 | 宋斤の俳語・句碑・俳画、書


『宋斤は昭和十九年五月十二日 ついに闘病叶わず永遠に俳句の眼を閉じねばならぬ日が来た。
芸術は永く生命は短し、宋斤はこうして敗戦を知らずして逝ったのである。享年五十七歳。
    皇風萬里鯉風亦萬里
この年の正月に、宋斤が初孫東君の誕生を祝って描いた兜の色紙があって、臨終前の重態を押して筆を取り、その色紙に自画自賛したのが、宋斤の辞世句であり、絶筆である。』 藤本阿南著「俳人永尾宋斤」より


宋斤の俳句「思い出の記」より 
昭和十九年 
 病牀句
三月ある日蝶空をゆくかぎりゆく
春の露葉先おさえてそよがしぬ
春落葉川中川の汀なり
たんぽぽ土筆あざみ未だと開始中

  於病床見舞句會 (四月九日 六橋観)
舟つけてあがるいづこも蓬かな
春光に牛乳一石青きかな
磧行蓬母子と露白み

  絶句(昭和十九年五月十一日午後八時作句)
空吹ける風はれ満ちて鯉薫る
皇風萬里鯉風亦萬里


今年二月九十五周年を迎えた早春社では、毎年この時期に「宋斤忌句會」が催され、
豊中曽根崎 萩の寺の墓前・句碑にも参詣していただいています。

早春や枯れたるものに光あり 宋斤



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