早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

壺はからっぽ 早春第二巻第三号 

2020-05-01 | 宋斤の俳語・句碑・俳画、書
     壺はからっぽ

      こヽに一つの壺があります、それは俳句という壺であります。
      周囲の人々は、この壺の中に何か入っているのかと思っております。
      覗いて見ても解らぬと云ひます。その壺、実はからっぽであります。
      それに、人々は何時までも、この空壺から何かつまみだそうとしてゐます、
      恰も寶玉が充満しても居るかのように。
      俳句の壺は、見て居れば何時までもからっぽであります。
      だから、その中へは是非何か入れなければなりません。
      なにか入れやうと自由であります、なんでも大抵入ります。
      俳句を作るのは、壺の中から壺の中から摘み出すのではなくて、
      壺の中へ自分のものを入れるのであります。
      俳句という壺はからっぽであります。



       

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