早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十一年十月 第二十二巻四号 近詠  岸和田地車祭 俳句

2021-11-28 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十一年十月 第二十二巻四号 近詠  岸和田地車祭 俳句

  岸和田地車祭
和泉路は風車にぎはし在祭

みちみちの田舎も祭尾花坂

秋暑し町地車にふさがりて

祭してこゝら古る町赤蜻蛉

來りて先づ岸和田の城に秋高し

城あとの残暑の砂に沓を入る

本丸に松疎なりけり秋の日の

城に立ち海見て海へ秋暑いく

在祭辻々に見て海へ出し

秋風の阿波淡路より崖の波

この里の祭うしろに海に佇つ

漁翁あり矍鑠としてまつり顔

入日海を祭へ戻るかな

車の岸和田の空鳥渡る

車の大綱が地に宵闇に

車の十六七臺秋夕日

走り來る殿り地車秋夕日

  貫清の叔母の家に冬尊と三人往きて世話になる
祭客となりて小庭の竹の春

  この日の祭肴に蟹を食ふと
茅海の秋の幸なる蟹祭

夕凪をきこえて地車囃かな

夜は燈の地車据えて天の川

  子規忌 
  昭和十一年九月十九日 午後五時より恒例の曽根萩の寺東光院に於いて 早や晝すぎよりの参會者もあり見頃の萩を楽しんで萩の寺の風趣は夕となり夜となる。
  『ほろほろと石にこぼれぬ萩の露』早春社建立から三年の秋を迎え、丈に茂る萩の花と芙蓉の白きに裾を埋もれて秋天に高く、碑面はやゝさびよろしくなている。 

  


  蟲の聲
まどしめて蟲一面ときこえけり

水の面に映つてきたり渡鳥

  紅詠社室生一泊行(室生吟社と合同句座)
八峰に星の花咲き佛法僧

山の闇ほのとそよぎて佛法僧

龍穴の空とも覺ゆ佛法僧

夜を出でゝ河鹿覗くや佛法僧

蛍や田植すませし村の闇

  秋六題
  天高し
天高し草にある燈の窗にゆく

天高く散りてきらめく木葉かな

  星月夜
星月夜庭にて聞ゆ浪の音

星月夜海に一列友と並ぶ

  秋時雨
秋時雨雲湧いてゐる空のあり

秋時雨簾をいまにたらす哉

  草の實
ぬれてくる雨の草の實あざやかに

草の實を庭から採つて鷽にやる

  竹の春
竹春の涼しさ顔に山の風

竹春の藪前藪後朝の水

  去来忌
去来忌や嵯峨に求めし一硯

去来忌や庭より蟲の句を申す

  早春社九月本句會
濱へ來てあることうれし鰯網

桔槹の林夕に棉畠

棉吹いて露の旦の和泉かな

野に浅く住んでむしろに棉の桃

  早春社櫻宮七月例會
かはせみの枝潜り去り雨長し

  小柳土筆氏歓迎句會 七月廿八日早春社楼上
夕顔の夜半の垣が海一重

夕顔に水のひらめき流れけり




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