早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十四年九月 第二十八巻三号 近詠 俳句

2022-02-24 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十四年九月 第二十八巻三号 近詠 俳句



    近詠
初秋や夜明けぬ船に目ざまされ

南蠻黍畳にころげ人も秋

土うれし露の秋なり掌に撫づる

蝿取瓶今朝からはまた秋の蝿

   桟庭出水
秋の水脛で押しゆく板のうへ

咲き張りて出水のぞける野菊かな

空わたる朝の蝶や秋知つて
   
大地いま朝日みなぎり一葉あり

(偶感)燈籠も賜りものや人の恩

この秋は鉢に植ゑたき芋植えて

猫の子の尾の眞ツ立ちて秋の風

送りまぜ草の間を水いろもなく

残暑なる船脚入つて鐡を積む

なにがしに桔梗の花のたしかなる

のこる蚊の執念頬を去らぬかな

かまきりは小智に傾しぐ顔もちて

月明や窓の朝顔實たくさん

徹宵が夜をはなれたる鉢芒

   子規忌併早春社友追悼會を前にして
經木書くその名その名に夜は澄む

     早春社八月本句會
欄涼し秀枝のちゝり鈴なりに

齒朶涼しふかく見透す遊魚あり

全山の蝉に気うとくもあり涼し

夏山の麓かそけく普清打つ

南へ岑々ひくし照りかすみ

松頭の参差鞘の間のたばこ盆

日さかりを附下する村の國旗哉

庭渓やまいまいの水此處に盡




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