早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

定本宋斤句集  秋 1

2018-09-04 | 永尾宋斤の句集:宋斤 思い出の記・定本宋斤句集


定本宋斤句集  秋 1


今朝の秋 今朝秋の机に拂ふ蟲の翅
    聖観世音禮讃
     うつゝゑむくだらほとけに今朝の秋
    住吉神社々頭
初 秋  松に鷺の御絵扉も秋はじめ
    香取神宮
     参道の桜秋なり左右散れり
    穴太、藤田
     草秋に村の餅屋が搗くひびき
     蝉聴いて秋ひやゝかに棕櫚林
     口誦む津の宮渡しなど秋や
紀伊白濱にて
      一湾を秋の澄むさまめぐりけり
     温泉の窓に秋照る波をさし覗く
     この壺のつめたさ秋は膝のうへ
     栗虫が出て栗這へり縁の秋
     峠から渡船も眞下秋ひろし
     旅信みな秋書き來なる病ひ倦む
    紫野大徳寺虫干拝観  
     古文書に秋の夕闇そまりけり

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