早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十三年十二月 第二十六巻六号 近詠 俳句

2022-02-06 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十三年十二月 第二十六巻六号 近詠 俳句

      近詠
歸り花たかたかありて雲乾く

竹林の奥の小春に縁ひろし

朴葉散るや谷へ入り込む徑さがり

鳰の池産業道路背を走る

象の下も動物園の落葉掻き

夜を襲ふ大なる一つ冬の蝿

神農祭久し往かざる船場かな
 
津の國の能瀬人が説ふ亥の子

草々の實枯れの日南暑きかな

炭河岸や薪も一船いま著きし

顔見世やいつかのことの京の雪

新縄を奢りながらに干菜かけ

満開と云へば云はれて枇杷の花

天王寺に今日何もなき冬日かな

大根の土出し首ぞ確と冬

   木瓜の花
金閣寺出て夕暮れの木瓜のみち

厨のひとにもの問ひよるや木瓜咲けり

崖に來てまた往ける徑木瓜の花

   穂麥
日の暈の沈みて穂麥畠かな

町外や海の外なる穂瀑照る

海女の群れ穂麥を遠く歸るかな

   早春社十一月本句會
鶸の夕巴瓦のみなづりて

鶸啼いて雲夕ぐれの切り通し

   奈良西部
    不退寺
参道や鶏頭こゝもこぼれ生え

秋色を睡蓮ひそとまどかなり

弾きつゝ壁に蝗の枯れにけり

不退寺の障子入り來る稲雀

鴻池
秋色を山にしばらく擽ゆく

秋の蝶森ふかきよりあらはるゝ

秋の蝶二タたび三たび稲に見し

   般若寺
奈良の秋夕日の石が佛さま










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