早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十四年一月 第二十七巻一号 近詠 俳句

2022-02-09 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十四年一月 第二十七巻一号 近詠 俳句




    近詠
初光り神の潮路の嶋小嶋

八十嶋や初日はこれを顯に 

初日かげ洽し浦のこぼれ嶋

東方に嶋あり初暁大倭

元日や神の在せば嶋茂り

月冱てこの下聖戦千里あり

東亜地圖小春日南すかくもあれ

春仕込みの銃後大阪を想ふべし

門燈を最合に柳枯れ垂れて

入営列車夜半しばらく驛もなく

虎落笛思ひ出すこと旅にあり

凍鶴の嘴がぬけ羽を惜しみけり

街道へ野をあがりけり師走人

窓あけて川をたのしむ冬ひととき

火事のあと早や川向ひ建ち年の内

焚火あつし背向け同士に話また

大鋸の彼方木挽きの嚏あり

障子洗へばこれを受け取る橋の欄

冬の燈に店の硯の磨りえぐれ

船けむり収めて眠る岬山

松稚きなかに踞めて冬日南

牡蠣船へ日頃の橋の裏を見て

桟庭にあつめて枯枝のひと握り

   ソーダ水
ソーダ水散歩の汗を少女もす

ソーダ水そのストローを手は弄ぶ

  蜻蛉
瀧の下蜻蛉ゆくと見えしかど

河原ゆきて連るゝ蜻蛉同じからず

  早春社十二月本句會  兼題「十二月の人事」 席上「島の風景を詠む」 
日あたるや島の茶店にゆげのもの

南へ松岬して島の冬

高きより川へちらしぬ掃き納め

   星冷會
岑裏へ鷲のやうにも傾しき去る

まなざしをおらぬところへ檻の鷲

山荘に鷲の番ひの欠けにけり















最新の画像もっと見る

コメントを投稿