北浜駅で旅情を深め、再び国道244号を走り始めました。
ナビにはワッカ原生花園が入力されています。
車は網走市郊外の丘陵地を越えてゆきます。
ヨーロッパの風景を思わせる、美しい景色が続く道で車を停めて、カメラのシャッターを押しました。
何処を走ったかは分かりませんが、北浜駅を出発した2時間後にワッカ原生花園に到着しました。
最初は、十勝の晩成原生花園のような荒涼とした原野の光景を予測していましたが、駐車場に着くと、舗装された遊歩道に二つの周遊コースが設けられ、ネイチャーセンターに園内専用のレンタサイクルが備えられていました。
ワッカ原生花園の「ワッカ」はアイヌ語で「真水」を意味し、海水のオホーツクとサロマ湖に挟まれた砂洲のワッカの森に、真水が湧きだす場所があります。
最初にネイチャーセンターを訪ねると、サロマ湖の歴史が解説されていました。
「およそ1万年前に氷河期が終わり、海水面が上昇し、約9千年前にサロマ湖の辺りが海になります。
およそ4千年前に砂嘴がつながり、サロマ湖は海と遮断されます。
120年前に開拓民が入りますが、雪解けの増水期に水が溢れ、農地が水浸しになるので、人々は湖と海をつなぐ水路を掘削しました」
植物に関しては
「鮮烈な香りが好まれる山菜のハマボウフウは砂丘深く、1mほどに根を伸ばす」
「ワッカ原生花園の看板花のエゾスカシユリは、花弁の付け根に[すかし]が入る」
等々、数多くの解説が示されていました。
私はいつも、このような場所の解説は撮影するに留め、詳細に読みません。
旅先の時間は以外に乏しいので、解説を丁寧に読むより、その場でしか観察できない現象や、見学に時間を割くことにしています。
ワッカ原生花園は、歩いて回れる規模ではないので、レンタサイクルを利用することにしました。料金は650円で「一日乗り放題」です。
ネイチャーセンターから4.5㎞先のワッカの森を目指し、自転車を進めました。
遊歩道を1kmほど進むと、明治の文豪大町桂月が「この砂洲を龍宮街道と名付けた」と記された掲示板が掲げられていました。
サイクリングロードをゆっくり進み、
3.5km進んで、第二湖口をまたぐ橋を渡り、橋から湖口を覗くと、結構な速さで、海水が海から湖に流れ込んでいました。
第二湖口の先は未舗装ですが、泥道ではありません。
目の前にワッカの森が見えてきました。
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