森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

実質的な新年度スタート!

2013年04月10日 19時09分42秒 | 日記
今日から学部の授業が始まりました.

今日は午前中看護医療学科の講義でした.ここでは「感情体験の脳科学」というものを担当しており,自己,他者,患者さんの感情の変化をとらえ,それを脳の科学から分析し,その脳を健全に機能させるためには,どのような関わりが必要であるか,事例を通じて考える場にしています.最終的には内科,脳外科,小児科,整形外科,認知症ケアなどの事例でみられた現象や情報を通じて,脳の諸問題を捉え,ケア方法を考えていければと思っています.その前に,自らの脳実験を通じて人間の感情を科学したり,コミュニケーションの重要性を脳の実験からも考えていきます.

今年は授業時間の関係で10名足らずでゼミのようになってしまいました.これ幸いですので,彼女ら,彼らと密なノンバーバルコミュニケーションをとっていきたいと思います.去年は20名,その前は30名,その前は70名,その前は20名と,時間割が変わることに選択する学生が変動するため,こっちも臨機応変さが必要になります.ある意味,私の前頭葉は鍛えられるわけです.

感情体験の脳科学.感情を理解する上で,自分の感情の一人称的な変化を感じ取ることが一番の教科書.患者さんのため,という前に自己を評価し,分析する能力を高めないとね.

午後はまずは理学療法学科の講義.神経系理学療法学Bですが,ここでは高次脳機能障害と失調症,パーキンソン病,神経難病を取り扱います.運動障害を中心としたものは神経系理学療法学Aで松尾先生が教えてくれます.松尾先生よろしく!

今日は高次脳とは何かを説明し,失語モデルから脳内ネットワークを考えてもらい,その後,失認の序論を話しました.来週から半側空間無視に入りますが,今日は二つの視覚経路を理解してもらうのと同時に,相貌失認から,人間の脳の複雑さを考えてもらいました.ラマチャンドラン博士にビデオに出てきてもらいました.彼のネクタイはいつも派手です.彼は「脳のなかの天使」というおしゃれな本を出しましたね.私の「リハビリテーションのための神経生物学入門」とどういくでしょう?

この授業では標準理学療法学「神経理学療法学」を教科書としてさっそく採用していますが,まだ彼らには届いていません,医学書院の皆様お早めによろしくお願いします.

しかしながら,今日の授業は雑談ばかりで進みませんでした.相貌失認を説明するにあたり,松尾先生,冷水先生の入職時の写真をみせてバカ受けでした.彼ら彼女らは相貌失認ではありませんでした!そして,そしてfacebookにもいますが,田平隆行先生にも登場してもらいました.みんな「田平先生」って言っており,兄弟,遺伝子なわけですね.形態は.

そして,先ほどまで教育学の「発達脳科学」を授業していました.この授業は我々ニューロリハ研究センターの面々のオムニバスです.私の方が脳の進化と発達,道徳と脳,学習と脳を担当し,岡田先生が男女の脳の違いと教育を,松尾先生が脳とコミュニケーション,社会脳を担当し,冷水先生,前岡先生は実際の脳イメージング装置を利用して,コミュニケーションや学習・認知課題時の脳活動を実験実習し,教育課題を考える場にしています.

今日は冗談を交えながら,脳の構造と機能の概要を大まかに理解してもらいました.その前に,「人間」「ロボット」「爬虫類」「人間以外の霊長類」と対比しながら,出てきた行動や現象の違いがなぜ起こるのか,進化や脳・CPU/HDの違いから科学的に解説し,人間の脳の発達には環境要因がとても大切であることを理解してもらいました!?


いずれにしても,今日は彼ら彼女らとアイコンタクトをとりながら,注意をコントロールし,時にアイスブレークをさせ,感覚モダリティを変えたり,情動を作動させるような馬鹿話をしたりしながら「脳を考えること」の楽しさを感じてもらおうと意識していました.

さあ,前期の学部授業スタートです。

今年は僕は教育スタイルを少し変え,彼ら彼女らとコミュニケートを大切にしていこうと思います.しゃべりすぎで,喉は腫れあがっていますが..