森岡 周のブログ

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OLD M1とNEW M1

2011年06月02日 21時42分53秒 | 脳講座


一次運動野は前方(anterior)・吻側(rostral)をOLD M1といったり,4a野といったりします.
後方(posteior)・尾側(caudal)をNEW M1といったり,4p野といったりします.
進化のプロセスに基づいてOLDとNEWを区別しています.

OLDは運動実行の性質が強く,図のとおり,出力は皮質脊髄路から脊髄介在細胞を経由して脊髄のmotoneuronを興奮させます.
一方,NEWは図の通り,脊髄motoneuron上に直接シナプスを形成します.
こちらは,高度にスキル化された運動に関係し,単なる出力系ではなく複雑な運動に関係すると言われています.
OLDは髄節レベルでいうとより上位に,NEWは髄節レベルでいうとより下位に結合しており,
ヒトの上肢でいうと近位の筋群はOLDの支配を受け,遠位の筋群はより多くがNEWの支配も受けることがわかっています.



Rathelot JA, Strick PL. Subdivisions of primary motor cortex based on cortico-motoneuronal cells. Proc Natl Acad Sci U S A106(3):918-923, 2009

Peter Strickは皮質運動野の多種再現をPrestonともに若い時に発見して,現在はピッツバーグ大学で教授をしています.
一度生理学会で講演を聞いたことがありますが,もちろん運動野に関連した知見を報告していました.
最近は基底核や小脳に関する仕事もされているようです.



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