安倍晋三首相は15日午前、国会内で自民党の石破茂幹事長らと会談し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する意向を伝えた。昼には公明党の山口那津男代表と会談し、理解を求めた。首相は同日夕に首相官邸で記者会見し、交渉参加を正式に表明する。自由貿易の推進の重要性などを訴える考えで、官邸主導で臨むTPP交渉に向けた体制づくりを急ぐ。
首相は自民党幹部にTPP参加の意義に関し「アジア太平洋貿易圏が誕生する。そのルール作りをしていかなければならない。国内総生産(GDP)世界第3位であるわが国が同盟国の米国とともに主導的にルールを決めていく」と表明した。
この時期に決断した理由については「仮に(7月の)参院選後になるとほとんど交渉することは不可能で、参加しないか、すべて決まったルールに従って入ることになる」と指摘。「日本として守るべきものを守り、取るべきものは取ることを強い交渉力を持って実現することが必要だ」と述べた。
中略
TPP交渉は今後、5月と9月の会合が決まっており、早ければ10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場での大筋合意を目指している。茂木敏充経済産業相は15日の閣議後の記者会見で首相の参加表明後、直ちに交渉参加国に通知する考えを示した。同時に「(交渉会合は)場合によっては7月という話も出ている。早い段階で協議に入るのが望ましい」と強調した。
併せて、政府はTPP参加に伴う経済効果の統一試算を公表する。輸出の増加などでGDPを3.2兆円(0.66%)押し上げると試算。安価な農産品の流入で農林水産業の生産額は3.0兆円落ち込むとの見通しも示すが、他の産業の伸びがそれを補う。TPP担当相を兼務する甘利明経済財政・再生相が15日夜の記者会見で明らかにする。
後略
-以上、日本経済新聞の記事から抜粋-
さて、TPPへの参加を最も望んでいる人達はいったい誰だろう?
TPPの善し悪しは、置かれた立場によって全然違うものになる。
その代表的な例は農業者と工業製品製造者だ。
どこの国もTPP参加によって最も利益を得る人達のために、TPP交渉を強く推し進めているのが現状ではないだろうか?
だから、日本のTPP参加に対して異議を唱える国々があっても不思議ではない。
かのアメリカでさえ、日本の参加には自動車業界から猛烈な反発を食らっていると言う。
もともと四ヵ国でスタートしたTPPがアメリカの参加によって巨大なマーケットに変わろうとしている。
それに日本が加わればこの二ヵ国だけでTPP全体の8割だか9割の取扱高になると言う。
アメリカにしてみれば、同盟国の日本を抱き込んでヨーロッパや中国のマーケットに対抗するしか生き残る道はないのかもしれないが、巻き込まれる日本にどれほどのメリットがあるのだろうか?
その当たりの検証はほとんどなされていない。
今日の新聞記事に「輸出の増加などでGDPを3.2兆円(0.66%)押し上げると試算。安価な農産品の流入で農林水産業の生産額は3.0兆円落ち込むとの見通しも示すが他の産業の伸びがそれを補う。」とあるが本当か?
この試算は付け焼刃みたいなもので、3.0兆円落ち込むというのはMAXではなく、もし聖域が取っ払られたらそんなもんでは済まされないだろう。
そうなると日本の農業は産業として成り立たなくなるし、農業・農村地域そのものが崩壊してしまう。
その時日本人は自分達の食料をどのように確保するのだろう?
もし、諸外国からほとんどの食料を調達しなければならなくなれば、日本はまさしく諸外国の植民地と化してしまうことは想像に難くない。
だから、我々は自衛的農業を目指している。
TPPへの参加が決まった今、これから日本の食卓を守るためには、生産者と消費者の連携・協働による地産地消を拡大して行くしかないだろう。